ブレイズメス1990

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ブレイズメス1990 ブレイズメス1990
海堂 尊講談社 2010-07-16
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海堂尊著

「外科医須磨善久」を読んでいたので、ハートセンターといい?読み始めになんだか須磨さんを下敷きのコメディを企んでいるような感じを受けた。 読み進んでみれば、かなり神妙な主題というか医療現場の課題はあるのにね。
しかし面白いもんだなぁ…と本を読んでいて…と言っても私の好む「探偵・警察・医療」もの限定だけれど…うならされたものほど、警察官や医者に不信の念がわく。 と言うよりむしろ正確には警察機構や医療体制そのものになんだろうけれど…「う~ん、腐敗しているなぁ…」
何かあったとき、警察に救いを求めてもいいんだろうか?本当に警察は庶民の味方・正義(ま、何が正義かという問題はさておき)の味方なのだろうか?」という素朴な不安に満たされるし、同じことで大病になったとき大学病院ないし大病院の(まぁ小さな病院でもなんだろうけど)権力闘争をしている医者たちに期待できるか?っていうこれもまた非常に質素な不安が押し寄せてくるんだね。彼らの隙間に私ら落っことされちゃうんじゃないか?って。 こういう心配の根がちゃんと!育ってしまう。 だから「神様のカルテ」なんて読んでしまうと…反対にひっくり返りそうに安心できるんだけど。  海堂さんの小説は思わずくすっと笑った分だけちゃんと苦い。 この作品は時代をチーム・バチスタをさかのぼること…何年だ? とにかく高階先生がまだ講師の設定だから…チーム・バチスタでは…同じ桜宮市のハートセンターへの言及はあったっけ? はて?結局できなかったのか? 世良先生…「光の剣」「ブラックペアン」「極北」…全部の本を持って確認しながらでないと年代や関係がそろそろ怪しくなってきた…タメ息が出る。 最初の頃はおなじみになった世界のおなじみの住人が出てくるとなんとなくそれだけで嬉しいような…仲間気分に浮かれていた?けれど、だんだんごちゃごちゃして来たよ。 ここでは「ブラックペアン」の2年後らしいが、世良さんはまだ医者の入り口で右往左往している。主人公天才心臓外科医天城雪彦氏は…当然…この後続編でお目にかかれるはずだと思っていますが…これでは壮大な物語の序章で、天城先生の紹介だけですものね。 何とか急いで書き続けてくださいね。それで世良先生の過程もわかりますように!と頼みますよー心境で本を置きました「ウソ―!」ですよ。この先こそ興味の的です。

下町ロケット

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下町ロケット 下町ロケット
池井戸 潤小学館 2010-11-24
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池井戸潤著

私にとって池井戸さんの2作目です。友人から面白いから…と押しつけられたときは、私は企業小説好きじゃないのに…と、少々迷惑に思いました。…のに、恐ろしいくらい前のめりで寝ずに読み通してしまいましたっけ。 「空飛ぶタイヤ」でした。実話が元ですよね…と、思ったことも興味を募らせた要因ではありましたが…。で、この小説、あの池井戸さんの作品であの作品では取れなかった直木賞作品? というわけで申し込んで…私が手にした後も現在 八百数十人待ちが続いています。 東野さんの新作並みの待ちです?
で、またデジャブ!これも実話が元ですかね?  夢中で読んじゃいましたけれど…緊迫感では空飛ぶタイヤの方でしょうね。 こちらの作品は…夢がありましたから…明るさがありましたね。だからか安心して読めました。 作家が意図したことかどうかはわかりませんが優しい小説でしたよ。
佃さんが困り果てているときでも…殿村さんがいましたもの。 って、トノさん?どうしてああできたんでしょう? ああなったんでしょう?というべきですか? 誠実だからとか若手に火のついた佃魂?とかは途中入社というか出向のこの銀行マンにはそもそもないものだったのに。 何処でこの社長乃至会社にひきつけられたのでしょうね。 彼の心の葛藤がもう少しあるとより緊迫したかも…なんて思っています。 始めの方でトノさんが完全にこっちについたんだ!何人力かでしょう?金融マンの頭脳に戦術に…あの誠意?
佃さんも素敵なら殿村さんも彼の部下たち工員さんたちも…でも多分…今はますます…こういう技術力のある会社は…なくても一生懸命ものを作っていた工場・会社は中国かどっかへ引っ越しちゃったか、奪われたか、なんかなんだろうな。 今一番しなきゃならないことはこういう工場の確保、就職先保全だよ…! 税率上げたって収入がなきゃ税は取れないんだから…!

カササギたちの四季

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カササギたちの四季 カササギたちの四季
道尾秀介光文社 2011-02-19
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道尾秀介著

ずいぶん待って「月と蟹」が来て読み終わったと思ったらこの作品が思ったより早く届いた。「月と蟹」はまだ図書館では二百数十名が待っているがこの作品は百人待ちだ。 賞の威力はやはり大きいのか。 それにしても前作から数か月で出た作品なのだ…と、驚いている。
読後感はこの作品の方がはるかにいい!というか資質が全然違う…という感じ。同じ作家か?というくらい。油が乗ったんだろう!そういう時期なんだ!なんてますます楽しみにしている。ただねやはり流した感じは否めない。薄味と言ってもいいかな。惜しい!
この作品は三浦しをんさんの多田便利軒を思い出させた。 男2人組の小説は掃いて捨てるほどあるから…こういう事はありがちだけれど…テイストは似ている。
読みやすくて読後感のいい小説(短編4作)でした。 が、もう一つ何かスパイスが足らないような、終了感もないような…なんだかまだ終わったという感じがしません。 次作があるのだと思えば…ここまででもいいのですが…これで終わりだと…面白い思いつきの作品ね…で、終わってしまうような気がします。
人物は少々戯画的で分り易そうに読めるのですが、実はあまりよくわかりません。もう一つ深く人も関係も背景も描きこんでね…と思います。せっかくの人物!に設定!なのですから。

月と蟹

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月と蟹 月と蟹
道尾 秀介文藝春秋 2010-09-14
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道尾秀介著
この作品をハラハラしたり不気味さを感じたり、怖くなったり気持ち悪く思わないで読める女性は少ないだろうな…と思いながら…いやだなぁ…という気持ちを抱えながら…止めよう、放棄しようと思いながら…それでも読了してしまった。  この子供たちの明日が私の後を追ってくるようで、暫くの間夜中に目が覚めると彼らのあの先を思いながら寝ていたことに気付かされた。
子供の頃残酷な遊び…カエルを膨らませたり、叩きつけたり、昆虫をむしったり…そんな遊びをした子供は命がどんなにはかないか脆いか知る…なんて聞く。  全くの東京の下町でもそういう小動物はいたことはいたが…そんな遊びをしたこともない私にはこの子供らのヤドカミ様遊びは背筋がぞわぞわ不快で気持ち悪くて…でもしている子どもから目が離せない…その状況のままで本を読んでいた。 若いのに…なんていう作家だろうとまた思ってしまった。 こういう資質は何処から生まれるのだろうか?この作家の作品を読むたびに最後にはこう考えさせられる。
私の10歳は…?なんて問うても、そして記憶の底を這いずり回っても、ここで繰り広げられる子供の世界のリアリティには遠く及ばない。 知らない子供の世界がここにどーんと押しつけられて…心を占領されてしまったようだ。 みじめで卑怯で弱弱しくて強くていじけてていじましくて哀れで逼塞していて痛々しい。 こういう「時」はどんな風に子供を育てるのだろう? こういう大人たちは子供にどんな力を及ぼすのだろう? 人々も風景も状況も何も心にはタッチできないようでいて恐ろしく影響を与えている。 その恐ろしさ。 毎日が毎日で変わらない繰り返しが重さになっていく…囚われきっていた真一の一つの時代に区切りがついたようで…ほっとして彼らがこの町を出て行くのを見送った気分だ。 どうぞ…何がどうぞ!かわからぬままに、私はどうぞ!どうぞ!と祈っている。

小暮写真館

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小暮写眞館 (書き下ろし100冊) 小暮写眞館 (書き下ろし100冊)
宮部 みゆき講談社 2010-05-14
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宮部みゆき著
「三島屋変調百物語」の「おそろし」より「あんじゅう」に近い方の雰囲気を持った現代ものだ!って感じを受けながら読んだのは私だけでしょうか?
物語の底の方に鉄壁の?素晴らしい心根の人々がガッコンと控えていてくれる安心感が…微妙な人生の不思議な絡まりあった糸をほぐしていく過程での安全弁になっていて…どんな不思議が転がってきても主人公の縁の下は完璧!って安心感があったからかな。
主人公のある意味冒険は成長をもたらし、仲間の結束力を高め、またその存在のありがたさを痛感し、その彼らをも癒していき…という人柄の豊かさかなぁ…なんなんだろうな、この居心地の良さは…と、思ったからかな?
一つ一つの霊だかお化けだかこの世に残った念だか、生きている人の心の残像だとか…まぁ…あり得ないことどもを腑にに落としてしまう手際というか…読んで満足させてしまう力はすごい!と、また私は感心して、物語の高校生の季節を堪能してしまった。キーワードは「思いやり」に尽きるんだな。
こういう子供たち…私のあの時代にもどこかに存在していたのかなぁ…物語・物語と思いながら…なお手さぐりで記憶の世界を彷徨し羨ましがっている私がいるんですね。だから一つ一つの出来事がというより作り上げられた主人公の環境が一番心に残ったのです。 彼の一日一日を取り巻いている現象や人々やなにやかにやが…切ない初めての恋心の17歳あたりをくっきりさせて…こうして力や心を振り絞って育って行けるなんて…悲しいことがいっぱい起きても大丈夫なんだねあの年頃はきっと…?そう思わせてくれる。
生きている商店街なんて、この広い東京でも、もう指で数え切れるほどしかないんですもの。懐かしさをくすぐられちゃって…あの写真屋さんにもこんな飾り窓あったなぁ…って。あのベレー帽をかぶっていたおかしな写真屋のおじさん…もう生きていらっしゃるはずはないんだけど…等とあの当時の店々を心に思い描いてしまった。
なんだか出来の良さと表情がそっくりのお子ちゃまを宮部さんの作品では散見するようで…なんでだろう? なんかふっと手塚さんのヒョウタンツギ?を思い出しちゃった。

いつか見た人

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いつか見た人 いつか見た人
香取 俊介双葉社 2000-09
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香取俊介著
新聞の書評でかなり以前「銀座線がモチーフだ」と読んだのを思い出して…というのは、伊集院静の「浅草の女」というのを図書館の本棚で見つけて…この作家読みたいと思ったことはないけれど浅草に惹かれて借りてきた。 それで、外から見ると浅草って色っぽさがあるのかなぁ…なんて思ったのだけど、不意にこの作品のことを思い出した。 銀座線なら…浅草よね?っていうのが私の基本?
銀座線の駅を順番に舞台の一部にした短編群だった。だから駅数と同じ…じゃなくて12の短編。 省かれた駅の可哀そうなこと、理不尽だ!って、気分は悪い。  でもこの短編…ほとんど気分が悪い。  何で?だってこの路線私には幼少から青春時代までの路線だったけれど…この作家の作品は…老残! いや熟年を扱ったものが多いのだけど…うらびれている…という感じが強い。  確かに銀座線は古くて…小さくて…暗くて…汚いよ…今では。 でも地表に近くて階段は少ないし…昔の、昭和の風情をせっかく色濃く残しているんだよ。 何でセピア色が勝った、懐かしさがやさしい、もう少し情緒がきれいな物語を紡げなかったんかねぇ…とタメ息が出る。悪い話はないのだけど…なんだか忘れるのがいいような…忘れるべきだよってお話が…ちょっとねぇ。それに男と女の関係で終始するっていうのも嫌だ。勝手なこっちの思いで作家には迷惑な話だね。

漂砂のうたう

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漂砂のうたう 漂砂のうたう
木内 昇集英社 2010-09-24
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木内昇著

遊郭といえば吉原、その様々な時代を描いた小説はいくつも読んでいるけれど…またはその末にあるというか対極にあるというか場末の、または土手で何とか生き抜いていく女たちを描いた小説も多々あるけれど…根津遊郭の話は記憶にないなぁ…。 しかもそれが明治になって、明治も10年という妙に半端な?不思議な時を舞台にして、主人公が男、店の立ち番をする男というのだから…。維新の命を懸けた先駆者たちはあらかた亡くなり、生き残ったのは権力を手にしたものと何とか時代に乗り遅れまいとあがくもの、あがく気力も奪われてただただ流れていくもの。 その時間の流れの中でただただ転がっていく小石もわずかずつ岸辺を洗いかすかな痕跡を…残すのだろうか…残せるのだろうか?
何しろ主人公が、御家人崩れのこの青年という字の持つ若々しさも青臭さももうすでに失って年だけは若くても若さのかけらもとどめていないような…根もなければ意地も消え果たような男なのだから…読んでいて…いらいらが募る。
しかしこの男を翻弄するこの町をうろつく人間たちの綾なす怪しさが奇妙な夢心地に読む私を魅了する。
気が付けば主人公にいらだつあまり…私は龍造に惚れ、円朝に惹かれ、時代の荒波を漕ぎ渡ろうとする群像にめまいしていた。 そしてこの小さな悪党たちの中で…やっぱり女だね…地に足をつけて生きるものは…女ですよ。…と、頷いている。 主人公を甘やかす遣り手も、そして何より小野菊のなんかすっきりとした立ち方のいなせな涼やかさ。 何と魅力的なことか。  自由という旗印で男たちは舞い上がるけれど女は得るべく得る!
なんとなく松井今朝子さんの「吉原手引き草」のあの葛城を思い出してしまった。 やるねぇ…花魁って流石!な人たちだったのか!   「茗荷谷の猫」に次いで楽しませていただいた。

モルフェウスの領域

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モルフェウスの領域 モルフェウスの領域
海堂 尊角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-12-16
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海堂尊著
さて、今回のキーワード?は「コールド・スリープ」
未来の医療水準をあてにして、治療方法が確立するまで冬眠して待つ。…という医療?
SFにある命題ですが…現実にこんな日は遠くない…なんて気がしていますが。
実際できたとして、そこまで生にしがみつくだろうか?という単純な疑問が私にはありますけれどね。目が覚めたとき周りは元の私の環境じゃなくなっているなんてリスク怖すぎますもんね。 そう私は何より臆病者なんです。
ですからこの主人公涼子さんには…頭が下がってしまいます。
母より母性豊かで、恋人より忠実。 こんな愛!そしてこのような知性、地上にあるのだろうか?ってくらいに。
今回もお役人のあまりの保身、狡さ、事を消す才能?…さまざまな無能を医療の進歩の裏側で滞っている問題をカリカチュアにして見せていただいたような。 今の内閣のというか政治家の有様のひどさの上の官僚の情けなさ…にぴったり重なって来るから…いやになりますよ。
リーダーには先を走ってもらいたいものです。 あらゆる意味で…時代を追っかけてもらいたくありませんよね。 今回は白鳥さんではなく先端技術者の西野さんが狂言回しで…いつもながらそのパワーに引っ掻き回されつつ…なんだかまた今の医療レベルと厚生省のレベルの知識をしっかり得てしまったような…気分!
でも、ちゃんとドラマとしても、眠るアツシ君を見守る涼子さん、涼子さんと西野の丁々発止、さらに曽根崎さんの人間味…などなど楽しめました。

阪急電車

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有川 浩幻冬舎 2010-08-05
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有川浩著

グッドタイミングで図書館から届いたので、映画を見に行くことになったとき、ちょうど半分まで読み終えたところだった。 で、私だったらこんな脚本にするかなぁ…という方に頭が行ってしまった。 なんか程をよくしすぎて…だってこの本が実に程がいいのだから…もう少し押し込んでもいいんじゃないか?って気がしてしまったのよ、あ、映画の方ね。
で、この映画、保護司をしていらっしゃる人と見に行ったのだけれど、彼女の日常とほとんどシンクロしてしまったのが…ちょっとできすぎだった。 宮本さんの演じた醒めた常識的な口出しのきちんと!できるお祖母さんは、そのまま一緒に行った人だったから。
案の定、見終わったら「あれ、普段の私がしていることじゃないのね。何が珍しいんだか」と彼女は言った。
つくづくこのごろ人は絆を、縁を求めているんだなぁ…。震災の後だったからなおさらヒットしたのかもね、この本も映画も。本当は都会に出てきて、都会で住んでいる人の多くは濃密すぎる近所付き合いはごめんです!っていう人だったはずなのに。
田舎はうるさくて…この都会の無関心さがありがたいと思っていたはずなのに。 誰かが誰かに声をかけて、それが心に響いたから、今度はその人が他人に声をかけて…連鎖反応をしていく。それって一昔前の東京では当たり前のことだったのに。っていうか近所付き合いってそういうものだったはずなのに…なんか新しい優しい世界を見ちゃったような気がしている。 近所のおじさん、おばさんって、私が子供の頃はあんなもんだったよ。お隣のおじいちゃんは縁台に座っていて通っていく子に声をかけたり怒ったり。おとなしい私でさえ弟の面倒をちゃんと見ているかっていつもチェック入れられていたっけ。
近所のおばさんに手をひかれたり、叱られたり…あああ、あのおばさんたち、おじさんたち、私の母のように、もうみんなお亡くなりになったんだろうなぁ。
そして今、彼女が普通にしていることが…奇跡…って言われるんだ!震災後の当分だけの現象だろうか?それとも取り戻したい何かに気が付いたのだろうか?
それだけ声をかけるというただそれだけのことが普通じゃなくなっているんだ…そのことに奇妙なほど実感があった。
奇跡じゃないよ、これは郷愁!!!

本と映画を一緒に読み見て…しまったので変な風に感想が一緒になっちゃった。

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無花果の実のなるころに

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西條 奈加東京創元社 2011-02-24
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西條奈加著

神楽坂が舞台だった。 なんだか知っている土地が舞台だと構えてしまうのかね? なんだかこんなテイストのTVドラマを数年前に見たような気がする。 あのドラマと妙に気配が似ている…と、思って、ああ神楽坂のイメージがこういう風に定着しているのかもと思った。 土地が醸し出す雰囲気は確かにあって、その感覚を共有できることも確かに多い。
先日の「浅草の女」でも、あれはどこの街の女でもいいのだけれど三社祭を背景にしたので、浅草の全国共通イメージの土地の女が立ち上がってしまっていた。 それはそれですごいんだけど、現実の浅草の人だった私からしても気恥ずかしいくらい、彼女は浅草の女だった。  で、小気味がすごくいいこのおばあちゃんお蔦さん、そのまま八千草さんにするわけにはいかないけれど…神楽坂芸者って、そうかこのイメージなんだ!と感服しちゃった。 私も人のことは言えない。 妙にこんな人々が神楽坂に本当にいる気になっている。 大体みんな気風がいいし、おせっかいで、気配りが効いて、程よいご近所関係ができているんだね。 浅草の店の客人たちもそんな気配りのいいなじみ感が良かったんだけど。
地名がしっかり実在だと良くも悪くもその土地の人ってイメージが共感できればのめりこめるんだなって思った。
それはともかく、この近隣の事件にかかわるお蔦さんと孫の関係が今実に求められている共存関係で、これは親子じゃなくて、ワンクッションある「程」が心地よいんだねぇとタメ息が出た。 親子関係は難しいんだけど…私も孫がいたらこんな風にうまく…ふふふ…あしらえるのか? いいなぁ!とこっちは大きなため息が出たのでした。

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