無双の花 無双の花
葉室 麟文藝春秋 2012-01-27
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葉室麟著

立花宗茂の義について書いた小説。
と、書き出したのは、この作品の前に 火坂雅志さんの「真田三代記」を読み終えたところだからである。 「義」と言っても人によってなんと違う事だろう。
「その人にとっての義」は他人にとっては常には義となりがたし。
しかしその人の義が人の心を打つほど見事であれば…それはまさしく「義」として認定される。…みたいなことを思って読んでいた。
この作品にも真田幸村が登場し、最近では? 義といえば上杉…上杉といえば直江兼続の義が一番に思い起こされるが…戦国時代にあって燦然と輝くのはなんてったって幸村! だけど彼の場合私は義というよりも心意気! というわけでうちの旦那の好きな武将の一人に数えられるこの武将立花宗茂の義は人生を分かち合った妻に誓った「大名として返り咲く」事だった…というのが…義であるかどうか?  それはさておき彼と妻の心の旅にはある種の感銘を受けた。 解かるから重くなり、重くなるから遠ざかり、遠ざかるから推し量り…結局は結び合っている。 こういう心模様にはなんとなく心当たりがある…つまりは心底は自分だけのもので愛する人にさえ知られたくない。でも知ってくれる人はかけがえない存在でもある。
相手を真実思わなければ知ることはないのだからね…などと、ごちゃごちゃこの夫婦の在り様を思っては見たが…。見事かもしれないが…その実心底淋しかったろうなぁ…妻は。
そっちの方に関心がいってしまったので、彼の返り咲きの話がすんなりとは私の腑には収まらない。ただこれだけは確かだと思うのは彼が歩む道に喜んで付き従った多くの見事な男たちがいたことだ。 これは男を測るのに最高に確かな目安だ。 彼の義を肯う男たちがいたってことにこの義の見事さは尽きるかも。戦国時代の武将は誰を取り上げても面白い。それだけ個が際立っていたのだなぁ、すごい時代だ。