岡本かの子全集

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岡本かの子著

先生が以前ラジオで岡本かの子の朗読をなさったことがあって、その朗読を聴いていた。 聞いて、その世界を垣間見た?のではあるけれど、実際手にとって読んでみようとは思わなかった。
ちょっとばかり重苦しいし、じっとりと絡みつくような湿っぽい情緒がご遠慮申し上げたい!という気にさせたのだろう。 耳から入ってくるその世界は少々異界の気味があって、現在を暢気に生きている私には理解が難しいだろうと思われたこともある。
それなのに、私の課題に「何か一つかの子さんの作品に挑戦してみろ」・・・と、まぁけしかけられたのだ・・・ろう?
それでとうとう手にとることになったのだが・・・この一冊を読み終わる頃には、私はすっかりイメージを入れ替えることになった。
古臭い情緒のように思われていたものの奥に、思わぬ柔らかい・・・確かに湿っぽくはあるのだが、女なら何処かに抱いている、思いがけなくも自分の底からひっぱり上げられる、そう忘れていたような意識していなかったような感覚を思い出させられた・・・といった風だろうか。 好きではないし、分かったともいいたくないのだけれども、それでも・・・本当は私もこの世界知っている・・・というような。
そしてその中の美しさをも確実に読んでいる私は感じているのだということも白状しなくてはならないだろう・・・と、思う。
描き出そうとした世界は確実に受け取ったという気すらする。
表現できるとは思わないながらも、共感とか同感とはずーっと遠いながらも、心当たりのあるこの世界を暫くさ迷ってみようかな?と・・・私はとりあえず?課題を「家霊」にすることにした。 母から娘へ譲り渡される情念の呪縛みたいな物を、そこに絡む意志や諦念や糾える様々な柵や運命や・・・怖い世界ではあるけれど・・・とまだ思いながらも。

獣の奏者

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上橋菜穂子著

Ⅰ、闘蛇編
Ⅱ、王獣編

Ⅲ、Ⅳ、も出版されているようですが、今のところⅢ、Ⅳは130人待ちで、何時手に入るか分かりませんし、この2冊で一応物語としては十分終っているような気もします。
友人から年末に「正月用に借りてきた」メールに続いて、あけましておめでとうメールに続いて「夢中で読み終えて・・・面白くて面白くて最近稀な読みふけり方をして・・・図書館でこの作家の手に入るすべてを借りこんできた!」と。
本の虫の彼女の「ファンタジー好きのあなたには絶対お薦め!」でした。ただ静岡では棚から拾える上橋さんの本。調べてみたら江東区では長い「待ち!」
とりあえず手に入ったこの2冊ですが、本当に読み始めたら・・・もう夢中でした。
すでに私の中では「ロード・オブ・ザ・リング」に次ぐ傑作!です。上橋さんは当然沢山のファンタジーを読んでこられたのでしょうが・・・過去の沢山の作品の上に素晴らしい物語を構築なさったと万歳気分です。日本にはこんなに素晴らしいスケール感もあるファンタジーは無かったなとさえ思います。って、実は私はあまり日本の作家のファンタジーは読んでいないんですが。
その世界に引き込んでくれる力さえあったなら、ファンタジーに関して書く感想は要らないと思っています。
そしてこの作品は覗き込む私にこの世界この王国を目に見せ感じさせ生きさせてくれる力を十分以上にもっていました。5感すべてにこの世界もこの世界に住む人も動植物全ても社会さえも、あらゆる物にリアリティを感じさせてくれました。この世界の片隅で生きられると思いましたね。そしてこんな小さな力ながらもエリンを支える助けになりたいと願いましたね。それで十分じゃないですか?
わたしはこの世界の一人になりました。この王国の良い面も悪い面も私は愛し始めています。この後私の心の中でこの王国はどんどん広がって厚みを増していきそうです。草木一本まで私は見分け、色を付けるでしょう。凄いロマンスです!
そんなわけで・・・これを書いている間に、Ⅲ,Ⅳを待つ余裕は無くなったかもしれません。・・・ああ、でも文庫はまだ出ていないのかな?勿論最初に書いたようにこれはこの2冊で十分だとは思います。実際その後は、私の頭の中でうまれつつあります。 でも・・・この作家によって書かれたなら・・・エリンのその後もリランとのその後も・・・王国の全ての人々のその後も・・・当然王国そのものも、その後も私は知らねばなりません!
どうやら久しぶりに買い揃える本に出会ったようです!嬉しい!!!
ここまで描いたらまたメール。「『守り人シリーズ』も読み始めたら面白いよ。」
困る!この作者いっぱい作品があるんだってことに気付いて驚いたところなんだから。

みじかい眠りにつく前に

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金原瑞人YAセレクション みじかい眠りにつく前にI 真夜中に読みたい10の話 (ピュアフル文庫 ん 1-10) 金原瑞人YAセレクション みじかい眠りにつく前にI 真夜中に読みたい10の話 (ピュアフル文庫 ん 1-10)
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 真夜中に読みたい10の話
              金原瑞人YAセレクション

十作家による十作品
有島武郎の「小さき者へ」は別格として、いしいしんじ著「サラマンダー」と恩田陸著「飛び出す、絵本」は既読。二つとも好感の持てる作品で覚えていました。
他は初めて。
で、取り立てて心に残るだろう・・・と、思うのは1作。寺山修司「踊りたいけど踊れない」
寺山修司さんの名は本当に良く知っていながら・・・私は読んだことが無い。全く作品に接したことのないまま、多能多芸多作多趣味の変人風なイメージがあって作品に出会いたいとすら思ったこともありませんでした。それがこんな小さな作品でばったり出会って・・・不思議な感じでした。
知らないまま作られていたイメージと随分違ったので。
どちらかと言うと青年期の記憶に似ています。自分が分からなかった頃というより自分を分かろうとしていたなぁ・・・知ろうと足掻いていたなぁ・・・という時に近い。今は自分がちっとも分かって居ないけれど自分がなんであろうともまぁいいやぁ・・・そんなものじゃないの・・・違ってても別にいいのよ・・・みたいにいい加減になっているけれど、いい加減ではいられなかった頃の記憶・・・それを呼び覚まされたような懐かしさ。
なんとなく抱いていたイメージより正直な人だったのかも?と、たった一つの可愛らしい作品でふと思ったのですが・・・

おちゃっぴい -江戸前浮世気質

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おちゃっぴい―江戸前浮世気質 (徳間文庫) おちゃっぴい―江戸前浮世気質 (徳間文庫)徳間書店 2003-05
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宇江佐真理著

「たば風」で宇江佐さんに大期待を抱くようになって、さらに回ってきたのがこの作品です。多分こういう短編集がこの作家の独壇場なのだろうと思います。「深川恋物語」と同系列で同じくらい好感を抱ける作品群です。良いです!この六作品に登場する人々は同じ町内の馴染みの顔ぶれのように私はすっかり顔見知りになってしまいました。毎朝「おや、はっつぁん、お早いお出かけだね」なんて声掛け合っているような。
この作家は物語の舞台で登場人物を生かせる術を本当によく知っている人なんだ!という嬉しさ。
先日「下駄屋のおけい」を朗読材料に取り上げたいとサークルのある人が言っていたけれど、私は「概ね、よい女房」を取り上げたいな・・・と、思う。家賃を払えるか払えないかのキリキリの生活の中での長屋の女房達の気概も優しさも物凄く良い!けれど、その仲に入り込んできた不協和音のおすてを受け入れるまでの経緯がなんともいえない!そしてその傍らを流れる男たちの奏でる曲想も実にいい。良質の絡み合い!
人付き合いの下手な私でも明日は何とかなるかもしれない・・・という期待を抱かせてもらえる。ちっとも心を開けないくせに・・・明日上手く心を開けるかも・・・小さく開けた隙間から誰かが微笑みか何気ない一言を注いでくれるかもしれない・・・みたいな?
生活からにじみ出る慰めやいたわりが思わずこぼれる小さなグチや悲しみを柔らかく揉みほぐしてくれる・・・まるで体内に入り込んだ異物を粘液がくるみこんで痛みを消してくれる・・・そんなような世界。
 

漱石と倫敦ミイラ殺人事件

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島田荘司著

世に言うホームズもののパスティーシュ。
私はその手の作品は読まないことにしていたから、この作品の知識も当然無かった。図書館でこの作品を見つけたときも読むべきか迷ったのだが、以前倫敦へ行った時、ホームズの足跡を辿ると漱石さんとかなり被さるのに気がついた。ベーカー街に並んで走る道を歩いていた時、漱石の通ったクレイグ先生の家も見つけたし、もう少し先へ行くとワトソンの開業したクイーン・アン街も大英博物館も意外に近い。漱石の最初の下宿もこの辺り。
しかも漱石が下宿を代えて行く先はホームズの事件の舞台とも重なっている。時も重なる。何より漱石の「倫敦塔」は好きだったしなぁ・・・。
おかしなことにその頃、風太郎さんの明治物を読んでいたので、風太郎さんならこの事を知ったら絶対漱石とホームズを作品の何処かで接近遭遇させるだろうな・・・と思ったのだ。
違う作家だったが、この作品を見つけたとき、「あ、やっぱり!このことに気が付く人って結構いるんだろうな?」と思った。って言うよりホームズが好きな人は大抵知っている?
なら、例外としてこの作品を読んでみようと思って借りてきた。
この作品のホームズを許せるか許せないか人によるだろうけれど、ホームズが奇人になるとき、まともに近く?なるとき、マイクロフトの扱い方・・・さて、これは問題だぞ!私は余り好きじゃないな・・・ぼやきながら読み進んだ。ワトソンの性格はかなり把握の仕方が私とあっているぞ!っていう気もするが。その優しさ、穏やかな知性、ホームズに対する忠誠。ま、遺憾なく描かれているのだけど。何せこのホームズじゃ・・・女装は止めてもらいたい、このふざけ方・・・ため息も出ようというもの。
それでも、事件そのものというよりその前哨となる漱石の悩まされた幽霊の事件の解決がとにかくいい!そう繋がるのか!この部分というかこの連結?が見事だから・・・お遊びだし・・・と、思うことにした。
この微妙な違和感がやっぱりパスティーシュはなぁ・・・もう一つ楽しみきれないよ。ホームズに対する愛着も人により様々だからこのジャンルは多分どんな言い作品を書いたとしても評価が高くなることは無いのじゃないかと思う。たとえどんな新しいトリックや見事な解決を編み出したとしても。
やっぱりこれだったらホームズを読み返すわ!っていう気分?
ところがとんでもないおまけがついていた!
巻尾の解説に「島田荘司は山田風太郎のホームズと漱石を描いた作品を知らなかっただろう・・・云々」というようなことが書かれていたのだ。
やっぱり!風太郎さん二人を出会わせていたんだ!
そんなわけで「これ」は「これ」より読まなくちゃいけないでしょう!と、早速図書館へ出向いた。それは山田風太郎作「黄色い下宿人」で、次回に!

吉原御免状

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隆慶一郎著

「捨て童子・松平忠輝」「一夢庵風流記」「見知らぬ海へ」に次いで4作目になります。前三作で三人の男、漫画だったら?さしずめ「漢」の字をつかうのかしら?とにかく主人公の三人の男にすっかり魅せられてしまいました。
男の人を、具体的に性格の魅力を、見せ付けるのが上手い作家だと思います。この作品が小説の第一作目だそうですから、これから読むべきだったかも。
司馬遼太郎さんも初期の小説群は本当に男を魅力的に描くのに秀でた人でしたが、それと通じるものがあります。「梟の城」とか「尻啖え孫市」などの主人公に・・・
隆さんの作品の主人公は歴史上の人にしてもあまり今まで脚光を浴びていない人を取り上げているので自由に思う様伸び伸びと描けているのだろう・・・と、思っていました。その意味ではこの作品の主人公は到底歴史上の人物ではない、全くの創作の人だと思われるので、本当はもっと伸び伸びしても良さそうなのに、意外にそうなってはいないのです。
むしろ妙に有り得なさが際立ったような気がします。
といってその嘘臭さがこの松永誠一郎という人物をつまらないものにしていると言うわけではありません。やはり見事な男です。でもこの作品の場合、主人公の魅力は二の次になったようです。吉原の開町に関する家康との密約?その経緯と柳生との複雑な関係の方がより一層面白くて松永さんは割りを喰っている感も。この第一作でもう家康影武者説が柱になっているのですね。次は「影武者徳川家康」を読まねばなりませんね。
この作家の作品の中では女性に魅力があるのは私が読んだ中ではこの作品だけです。二人の花魁の哀しさが、哀しさに花があるというと変だけど、そんな感じで心に迫ってドラマチックが盛り上がります。
それでも圧倒的に男を描くのが上手い作家だなという気は残りますが。
女性をもっと描いてもらいたかったなぁ・・・。
見事な男が増えていきますが、一番心引かれる男はまだ向井正綱です!
 

神去なあなあ日常

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神去なあなあ日常 神去なあなあ日常
三浦 しをん徳間書店 2009-05
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三浦しをん著

あああぁぁぁ・・・と、胸をなでおろしました。・・・って言っても、作家さんは喜ばないとは思いますけれど。
しをんさんの作品「風が強く吹いてる」「まほろ駅前多田便利軒」「むかしのはなし」「仏果を得ず」と、気持ちよく楽しく大好きだわ~と大好き作家に小気味よくこのお名前を登録していたのが「光」の登場でしょう?まっさかさま・・・ヒューって気分でした。ですからこの本の広告が新聞に載った途端、図書館に飛んでいきました。
話は跳びますが、先日新聞に私の知らない作家の方が書いていました。
「作家は読まれるのが嬉しいのだから・・・でも読みたいと思った本を直ぐ読まないで順番を待って読むってことは読書人としていかがなものか?」みたいなこと。全くね!経済的事情と場所的事情を鑑みても・・・お恥ずかしい・・・みたいな気持ちになっちゃいましたよ。
でも、飛んでいったお陰で?20人ほどの待ちで・・・今申し込むと145人待ちですと。
台風が通り過ぎた後の快晴の空のように、澄み渡った心の中に生まれた作品のようでした。もうほんと、楽しくいそいそ林業の知識も頭に取り込みながら・・・今度は林業なのね、文楽もよかったけれど、うんうん林業は大事よね、日本にとって。などと、頷いていたらこの数日の雨で福岡県では大規模な山崩れがあったとか。原因について色々TVでは言っていましたが・・・林業よ、山をちゃんと手入れしていれば・・・なんて思っていました。山が崩壊しつつあるって感じは山に登るたびに思います。それも里山で、です。土が乾ききって下草も生えていない杉林、下枝など刈られたことの無い細々とした杉が情けなく立っている村の裏山をどれだけ見たことか!
三重県大台ケ原の奥の方かしら?もっと奈良よりかしら?松坂から行くとすると・・・美杉?と、地図を広げて彼がいる辺りを探しているのです。三重県から紀州に抜けるとき、心細いような道で天岩戸に出会ったことがあります。神話的な気分を感じさせる幽遠な土地でした。あの辺りを想像しながら読むのは楽しかったです。
熊やんみたいな先生がいて、自分の将来を考え付かないまま社会に放り出される子がいないと良いのに・・・と、思います。学校の先生にここまで求めるのは無理としても、その子の特性を考えてやれる大人、子供に可能性を見出す方向を示してあげられる社会を切に求めます。
私も学校をでる時、自分が何に向いているのか、どんな仕事がしたいのか、それさえも解かっていなかったことを思い出します。
たまたま就職できた会社があったけれど、そのたまたま出合った場所が居心地悪く自分を必要としていないと思えたら、どうしていたでしょう?
平野勇気君みたいな子はごく平均的でしょう?こんなやる気の無い子を受け入れて丁寧に仕事を叩き込んで仕事への愛情を示してお手本と成ってくれる大人が本当に欲しいと思います。
こういう山奥での生活に彼が美しさと愛着を抱いていく様が、村人との交流の中にはぐくまれていく様が、本当に小気味よかった!
ああ、こんな本にいっぱいめぐり会いたいなぁ・・・と、思いますが、それ以上に若者をこうやって育てていってくれる社会が欲しいなぁ・・・と、思います。こんな風に破綻した山々をも生かして人間も生きていくことってできないものでしょうか?

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫) まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)
三浦 しをん文藝春秋 2009-01-09
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風が強く吹いている 風が強く吹いている
三浦 しをん新潮社 2006-09-21
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むかしのはなし (幻冬舎文庫) むかしのはなし (幻冬舎文庫)
三浦 しをん幻冬舎 2008-02
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仏果を得ず 仏果を得ず
三浦 しをん双葉社 2007-11
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ものがたりのお菓子箱

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ものがたりのお菓子箱―日本の作家15人による ものがたりのお菓子箱―日本の作家15人による
谷崎 潤一郎飛鳥新社 2008-11
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15作家、15作品が確かにきっちり詰まっていました。様々な味わいがあるという点では確かにお菓子箱ですが・・・多分に駄菓子も高級菓子もごった混ぜの気配です。コンセプトがなにかな?誰か考えてください?
小説・童話・詩など、別に甘いものとか辛いものとかを詰め合わせた気配も無いのですが・・・。不思議なごった煮です。
小川未明さんの童話など、本当に久しぶりにお目にかかりました。この方そのものを忘れていたといってもいいでしょう。最近著作権が切れたかなにかで新美南吉さんの童話に接する機会が何度かありました。最近の童話ってどんななんでしょうね?と、思いましたが・・・縁がなくなりました。
笑えたのは谷崎さんの李太白です。最初綺麗な言葉使い、高貴な?お屋敷のお嬢様、流石に時代を感じさせるお上品なお話し言葉・・・なんて細雪の世界を思い浮かべながら読んでいましたら・・・呆れました。佐藤春夫さんとの奥様譲り渡し事件?は私でも聞いたことがあるくらいですが・・・こんな腹いせを?鬱憤晴らし?と思ったら笑えました。偉大な文人もただの子供?みたいな事をするのですね。筆の暴力と言うほどではない筆の腹いせ・・・得意な物でやり込めるのは・・・上手いもんだ!です。
ま、そんなこんなでこれも久しぶりのボッコちゃんにいたっては中学以来?そういえば没後10年とか言っていたのは昨年か?中島敦さんも昨年必要があって山月記を読み返したところです。そういえば李陵とそれ以外の作品を読んだことがありませんでした。それにしても何か取り留めの無い物を読んだ気分です。
 

ある日、アヒルバス

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ある日、アヒルバス ある日、アヒルバス
山本 幸久実業之日本社 2008-10-17
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山本幸久著

先日は義姉夫婦が上京して「はとバス」を楽しんでいきましたし、父も母も田舎から親戚が上京すると昔はよく「はとバス」に乗せて同行したから、「はとバス」にはよく乗ったものだと言っていましたが、私は東京に生まれちゃったせいで、「はとバス」に乗る機会が無いのです。いつかは乗って見たいものと常々思ってはいるのです・・・が。
実際のところ東京の人間が乗ってどんなモンでしょう?面白いという噂もあるようです?大体本気で調べたことは無いのでどんなコースがあるのか知らないのですが、「アヒルバス」のコース設定は妙に心をそそられます。
冒頭の「ディープな東京でドキドキ!旦那様にはナイショでナイト」
から凄い!です。一覧表を掲げたくなっちゃいます。
「これはお得!東京名所ぐるり旅」「からだもこころもリフレッシュ!東京ぶらり自然散策」はいかにも定番、おとなしいとしてもネーミングがいいんですもの。頭に入り込んじゃう泥臭さ!一時こんなネーミング流行ったなぁ・・・
「少し贅沢ちょっと遠出!日光デリシャス大名旅行」「ブレイクまちがいなし!若手芸人に密着旅行」「絶叫必死!なごみ系もあり?東京ジェットコースターめぐり」ーなごみ系って花やしき?イやあれは恐怖系だし?一体東京にはジェットコースター幾つあるんだろ?って気になっちゃうでしょ?「あなたもヒロインになれる!月9ドラマロケ地巡礼」「大阪に負けるものか!江戸前食い倒れ」「気分は箱根か熱海?東京温泉浸かりまくり」ってふやけるでしょうが!「着物でキメる!着付け教室&江戸下町そぞろ歩き」「これでカノジョは陥落できる!東京デートスポット下見ツァー」「タモさんもここを歩いた!タモリ倶楽部取材地めぐり」亜紀さん発案「オジサマ限定エステツアー」の正式名称知りたい!読んでいるうちにもこんなんあったん?アハハ・・・「遠い宇宙に思いを馳せて。天文学ちょいかじりツァー」「東京だよおっ母さん!三時間ポッキリお手軽観光」
先日書いたこの作家の「カイシャディズ」のココスペース大好きです。
また繰り返します。「アヒルバス」大好きです。月島に「アヒルバス」探しに行っちゃおうかってマジ考えています。先輩も新人も哀歓が程よくて、会社の人の見える大きさが小気味良くて、主人公のデコさんを取り巻く人々がお客も含めて優しい等身大!この「ほど」だよ、この「ほど」!って唸りながら読みました。読み終わって、また明日、彼女たちの健闘を祈りつつ、自分も頑張るぞ!って。ありがとうございますって、頭を下げたくなっちゃういい気分です。
 

江戸の老人力 時代小説傑作選   

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江戸の老人力 (集英社文庫) 江戸の老人力 (集英社文庫)
細谷 正充集英社 2002-12
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細谷正充編
「アンソロジーなら私こんなの買ったから」とサークルの方にこれもお借りしました。本当に皆さんよく探していらっしゃいますね。
短編12作品を収集掲載。今のところこの編者で「江戸の○○力」という題で5作、本が出ているそうです。「老人力」ってベストセラーになった本があったな・・・と、思いましたら編者が解説で「拝借」したと断っていました。文字通り老人を主題とした短編ばかりです。海野弘さんと穂積驚さん以外はよく存じ上げてる作家ばかりですが全編初読。
作家の顔ぶれを見れば皆どの作品も楽しませてくれること必定!みたいな顔ぶれです。安心して読み出せるところがこの手の本のメリット?しかもそれぞれに違う風に面白い!
時代小説というより読みやすく作文されたような感があったのですけれど、海野さんの「石臼の目切」が素直にいいなぁ・・・と読めました。
白石さんの「月と老人」が一番老人力が生きていましたか。そうだ「十時半睡」を島田正吾さんのTVドラマで見てから「読もう読もう」と思いつつ忘れていた事を思い出しました。読まなきゃ。
同じ老人を描いても女性を主題に据えたものには何故か枯淡の味わいが薄くて、男性を描いたものに味わいが出ているような気がしたのは・・・なんだか納得がいかない・・・などと思っていますが。
平岩さんの「泥棒が笑った」などは最後の老人の行動がかっこよくて「いよっ!」大向こうの声が聞こえそうですよ。同じく切れがいい活躍をするのに村上さんの紅蓮さまはちょっと生々しい。
「いさましい話」は「ああ、周五郎さんだ!やっぱり好きだなぁ・・・」と直ぐ分かる作品なのに読んだ記憶が無い。こんなわけで暫く私のアンソロジー傾倒傾向は続く?

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