三月の招待状 三月の招待状
角田光代集英社 2008-09-04
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 角田光代著

「角田光代さんってどんな小説を書くの?面白い?」と、先日知り合いに聞かれました。
「どんなってねぇ~私もまだ2冊くらいしか読んでいないから言えた立場じゃないけれど・・・そうねぇ、人の心の襞を丁寧に穿り出して、熨斗を掛けてみましたけど・・・どうでしょう?って聞かれている感じ?」
「面白いか?って聞かれると・・・う~ん、面白くはないかもって思う。」
でもね、何処かひきつける何かは確実にあるのです。好きじゃないけれど、覗いてみたくなる人の心?特に女性の心なら?私にはもう遠くなりかけているあの年頃の・・・苦闘という言葉が少し思われるあの頃の・・・そのときと同じ年頃を今生きている女の人たちの心の襞、しっかりとお平らに?繰り広げて延べてくれている感じ。実際心の窓から覗いている感じ?これが癖の元かな。でも、なんかいやらしい。だから好きじゃない。そんなところかな?
それで・・・だから・・・どうなの?傷?あったら嘗める?それとも同じに傷があるんだ・・・そうか同類か?なんだ、君もそうなのか・・・だから君が嫌いなんだ・・・乃至は君が好きなんだ?                                                 三月の同級生の離婚式から始まって、翌年の5月の結婚式までの一年余り、そろそろ学生時代の腐れ縁も伸びきって薄れかけても良さそうな?お仲間の有様、現況。
大学の時の友人仲間・・・十数年も立っていても、会えばあの頃に戻れる・・・そう得難い最後の仲間・・・それでも実際は足を引っぱれるし、相手の弱みは知り尽くしているし、そして時には助け合えもする、そして懐かしい殻の中の居心地はやっぱり悪くない。お互いがお互いにとって羨ましい存在であり、疎ましい存在であって、傷つけあう存在でもあるのに・・・でも許しあえる最後の仲間。それを丁寧に拾い上げて・・・ほら、やっぱりアイロンでしっかり伸ばして影を明るみに広げちゃって・・・で、だから何を考えろって言うの?ああそうですか?そうですよ!そういう時確かにあったかもなぁ・・・目を細める私であります。