阪急電車 (幻冬舎文庫) 阪急電車 (幻冬舎文庫)
有川 浩幻冬舎 2010-08-05
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有川浩著

グッドタイミングで図書館から届いたので、映画を見に行くことになったとき、ちょうど半分まで読み終えたところだった。 で、私だったらこんな脚本にするかなぁ…という方に頭が行ってしまった。 なんか程をよくしすぎて…だってこの本が実に程がいいのだから…もう少し押し込んでもいいんじゃないか?って気がしてしまったのよ、あ、映画の方ね。
で、この映画、保護司をしていらっしゃる人と見に行ったのだけれど、彼女の日常とほとんどシンクロしてしまったのが…ちょっとできすぎだった。 宮本さんの演じた醒めた常識的な口出しのきちんと!できるお祖母さんは、そのまま一緒に行った人だったから。
案の定、見終わったら「あれ、普段の私がしていることじゃないのね。何が珍しいんだか」と彼女は言った。
つくづくこのごろ人は絆を、縁を求めているんだなぁ…。震災の後だったからなおさらヒットしたのかもね、この本も映画も。本当は都会に出てきて、都会で住んでいる人の多くは濃密すぎる近所付き合いはごめんです!っていう人だったはずなのに。
田舎はうるさくて…この都会の無関心さがありがたいと思っていたはずなのに。 誰かが誰かに声をかけて、それが心に響いたから、今度はその人が他人に声をかけて…連鎖反応をしていく。それって一昔前の東京では当たり前のことだったのに。っていうか近所付き合いってそういうものだったはずなのに…なんか新しい優しい世界を見ちゃったような気がしている。 近所のおじさん、おばさんって、私が子供の頃はあんなもんだったよ。お隣のおじいちゃんは縁台に座っていて通っていく子に声をかけたり怒ったり。おとなしい私でさえ弟の面倒をちゃんと見ているかっていつもチェック入れられていたっけ。
近所のおばさんに手をひかれたり、叱られたり…あああ、あのおばさんたち、おじさんたち、私の母のように、もうみんなお亡くなりになったんだろうなぁ。
そして今、彼女が普通にしていることが…奇跡…って言われるんだ!震災後の当分だけの現象だろうか?それとも取り戻したい何かに気が付いたのだろうか?
それだけ声をかけるというただそれだけのことが普通じゃなくなっているんだ…そのことに奇妙なほど実感があった。
奇跡じゃないよ、これは郷愁!!!

本と映画を一緒に読み見て…しまったので変な風に感想が一緒になっちゃった。

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