蔭桔梗

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蔭桔梗 (新潮文庫) 蔭桔梗 (新潮文庫)
泡坂 妻夫新潮社 1993-03
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   泡坂妻夫著 

短編11作。 職人の世界、昭和戦前の世界という感じ。今より家庭で仕事している父や祖父や…その背中が見える世界。 職人がいて、修行中の弟子がいて、客と仕事をつなぐ商家があって…小さな世界が重奏しているなつかしさのある世界。「控え目」という言葉が支配している世界の感じ。たとえば…恋は声高なものではなくて、ひそやかで、それより優先されるもの…謙譲や義理やおもんぱかりや…さまざまなしがらみ。そういうものが混在しながら居住まいがこぎれいな…という印象の世界。 おしこめられた感情は…底のほうに怪しげに小さなさざ波を立てていながら地表には出てこないというような世界。 かすかな行き違いや思い違いであるべきではなかった人生を生きることになったり…でもそれは自然な成り行きのように埋没していく。 ひそめた声で生きていく普通の人々がしっとりと色っぽい。表題の「蔭桔梗」実際にこの作家は紋章上絵師ということで、この作品世界の情感は際立っていた。成り行きをせつなく感じながら読んで堪能した。また「簪」という1篇があって、この作品のおぼろに包まれた無垢な恋の執念に心ひかれた。「不思議な話は他にも聞いた」炎の中で人の情念だけが燃え残って小さな光芒を放ったのだろうか。不思議に心をとらえる物語世界だった。しかもこの心情そのものがもう日本からおぼろな影になって最後の光芒ももう消え果てているような悲しさも感じてしまった。懐かしいだけで終えたくない…そんな執着を感じている。

からくりからくさ

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からくりからくさ (新潮文庫) からくりからくさ (新潮文庫)
梨木 香歩新潮社 2001-12
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りかさん (新潮文庫) りかさん (新潮文庫)
梨木 香歩新潮社 2003-06
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梨木香歩著

  今、2回目の読書にかかっています。…ってことは…つまりそう、この本買いました。梨木さん「家守綺譚」に次いで2冊目のお買い上げです。 で、すでに「りかさん」も買ってあります。 最近ではまれな現象です、上橋さんに続いてですから…私にとって。 この作品も好きでしたね。 一生色あせないで続けていける何かを見出した人って二十歳そこそこでも大人なのね? このりかさんの在る家で蓉子さんと暮らし始めた乙女たちはすでにそれぞれにしっかりした揺るぎない個性を持っているように見えます。あのころの私にはまだ自分は無かった。そう、こう生きたいという、か細い柱さえも持っていなかったし独り立ちさえしていなかった。 それなのにカルテッドを奏でるこの女性たちは…そう年齢的には乙女なのに一人前の女性の趣で…それぞれに揺らぎも恐れもあるだろうに…立っている!自分になっている。そのうらやましさに覆い尽くされてしまった。 たぶん一人一人が別々に生活していたらこうはならなかっただろうとは思う。この4人+りかさんが集中した結果の色合いが生み出す強さなんだろうけれど。そしてこう、必然的に?生み出された雰囲気が羨望のまとなのだ。 それに彼女たちがひきつけられ邁進していく仕事! その古典的な輝き! 梨木さんの世界だ。 染め、紡ぎ、織り…仕立て上がっていくなにか。

この蓉子さんの家で起こるすべてのこと、話される会話のすべてに満ちるもの、りかさんに主催される連綿としたもの。 そして古いおばあさんに充たされていた家から4人の女性と赤ちゃんが奏でるに違いないハーモニーを感じさせる新しい家への変化。 この扉を開けさえすれば、いい年をしていまだに柱のない私にもこのうら若きしっかり道を見ている女性たちに触発されるものを何かしら見つけることだろう。 もちろん、彼女たちの道には曲がり角はあるだろうけれど…それさえが彼女たちには…素晴らしいものじゃないの? 

狐笛のかなた

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狐笛のかなた (新潮文庫) 狐笛のかなた (新潮文庫)
上橋 菜穂子新潮社 2006-11
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上橋菜穂子著 

「獣の奏者」シリーズも「守り人・旅人」シリーズもものすごく楽しく読めて…他にもこの作者の本を読みたいと図書館で探したら、この本を見つけました。この作品は日本のそう…何時代にあたるだろうか…戦国?いや妖怪が闊歩していた室町時代?…時代は特定できないまでも日本の情緒があふれた時代ファンタジーだった。 私が読み落としただけかもしれないけれど。戦国入口の管領の争いのイメージだろうか?なんて、考えたのだけれど、本当のところそれはどうでもいいので、異能の持ち主である少女とこの世とこの世ならぬあわいに生まれて心ならずも虜になった霊狐の不思議な物語だった。野火と呼ばれたあの狐君…あの真情!あんな心を持つ男の子?女と生れて心疼かない者はいないよね。そして結界や妖術の世界。そうちょっとロマンチックであまやかで健気なファンタジー。少女のころに読んだら心躍ったろうに…なんて醒めたようなことを言ってみてはいるが…実際はこの年になっても私はこういうものに心躍る。魔法が好きじゃない子供なんているはずがない。 ファンタジーやミスティックなものを読むたびにこういう作品がいまだに好きってことは…私は大人の顔をして…おばあさんになりかかっていて…なのに成長していないってことか?…大人びた顔をしようとして…ウソだよ、私はまだこういう作品を楽しめる自分が本当は好きなんだ。 「スイスのロビンソン」を神田の古書店で見つけてニコニコ顔になる自分が。

外科医須磨久善

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外科医 須磨久善 外科医 須磨久善
海堂 尊講談社 2009-07-23
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海堂尊著  この本をてっきり小説だと思って予約していた・・・ら、西田敏行さんが須磨さん役のTVドラマで先に見てしまった。NHKのプロフェッショナルでも取り上げられた現役心臓外科医さんだった。 それを知ってから読み始めたので・・・なんかちょっと久しぶりのちょっと変わった偉人伝を読んでいるような気になった。「70にして矩を越えず」という言葉があったけど、この先生はお若い時から軽々と矩を越えて自分の道を歩いていかれる。 その自分を自然に貫いていくところを凄い!と、思って読んでいた。 心臓病で手術が必要になったら、是非おねがいしたいものだ・・・とそれこそ自然に思ったが・・・していただけるのはよほど幸運な人だけだろうな。 患者は物凄く多いのだし、先生は一人なんだもの・・・と悲観もした。願わくば先生の手を沢山の後進の指導に染めていただきたい。 このような先生を沢山持てる国にしていただきたい。と、勝手なことばかり考えて・・・社会になんの貢献もない自分を省みたのです。たまには、ほんのたまには、こういう啓蒙書?を読むのはいいな。 たまじゃないと自分が悲しすぎるもの。 でもとりわけ若い人に読んでもらいたいな。海堂さんには若い読者がいっぱい付いているのがとても心強い! 

プロジェクトX 挑戦者たち Vol.15 奇跡の心臓手術に挑む [DVD] プロジェクトX 挑戦者たち Vol.15 奇跡の心臓手術に挑む [DVD]
国井雅比古NHKエンタープライズ 2001-12-21
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幸せになる長寿ごはん

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幸せになる 長寿ごはん 幸せになる 長寿ごはん
吉沢 久子朝日新聞出版 2010-04-20
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吉沢久子著

昨年末ぎりぎりに図書館から届いた。絶好のタイミングだった。 想像していたように懐かしい料理が載っていた。
「ああ、この料理忘れていたわ」とか「私のと作り方が違うんだわ」とか。 正月の間超マンネリの我が家お節を食べながら楽しんで読んでいた。 それで気が付いたのだけれど・・・最近とみに私は自分の嗜好に癖が出てきた事を感じている。
確実に若いときより根菜類が好きになっている。
旦那はいまだに緑の野菜―キャベツ・ほうれん草・レタスなどが好きだというが・・・私は余り好まなくなってきている。グリーンサラダはたまには悪くないが・・・野菜は根菜に限る。
大根・レンコン・ごぼう・人参が実に美味しい。
大根一本を醤油漬けにし、柚子大根にし・・・バリバリシャキシャキ食べながら・・・「あああ、はりはり漬けを忘れていたわ。」と、この本を見ていて思い出した。
そしてまた、確実にお酢が好きになってきている。
若いときには寿司、酢飯以外酢の物にはあまり興味がなかった。 あれば頂くけれど・・・特に作って食べたいとは思って居なかったのに。 今は野菜の酢漬け(マリネ)なんかをパリパリ頂く方がサラダよりよっぽど美味しい。
そんなこんなで、慌ててはりはり漬けを作ったのだけれど・・・。酢の物が好きではない旦那はそっぽを向いているので・・・一人でしょうが多すぎかしら? 唐辛子を減らして柚子をもう少し多くしようかしら?なんて、はりはり咀嚼しながら考えている。私のと少し違う吉沢さんの柚子大根にも挑戦しよう・・・で、夏には茗荷の酢漬けでしょうね。それを使って茗荷としょうがと大葉の酢飯なんていいかも? 見ているだけでよだれ・・・だけど・・・家の息子や旦那には受けが良くない料理が多いのが不思議。
私は長寿? 私だけなんて・・・いやだぁ・・・
 

五郎治殿御始末

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五郎治殿御始末 (新潮文庫) 五郎治殿御始末 (新潮文庫)
浅田 次郎新潮社 2009-04-25
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浅田次郎著

江戸から明治に移り変わる激動の時代。その時代においてきぼりにされたような武士の姿を描いた短編集6編。
浅田さんは本当に凄いストーリーテラーだ! 改めて感嘆しつつこの6作を読んだ。 この武士たちの生き様をすべて肯えるわけは無いのだが、その描き出された心模様は心に忍び込んでくる。
特に「椿寺まで」の小兵衛と新太の二人には素直に泣かされた。
そう、こういう時代にこういう星の元で生まれたなら・・・こう生きていく男たちに心を惜しむまい。そう思えるほど生き様がいじらしく男らしい。 男ってこういう見事ないきものだったんだねぇ・・・って 周五郎さんの小説の中ではおなじみだったような男達だわ。それなのに本当に久しぶりに出会った様で、感嘆してしまった。
「五郎治殿御始末」 曽祖父のスケに語る父五郎治殿の生きた道をその力があれば私も朗読で語ってみたい。そう思うほど真っ向からのめりこんだ。最後の御始末では私も笑い泣き。 「苦労は忘れてゆかねばならぬ。頭が忘れ、体が覚えておればよい」 はい、胆に命じます、と私は答えていた。「己の身の始末は決して逃げず、後戻りもせず、能う限りの最善の方法で」見事に老後の指針じゃない?
「西を向く侍」は「西向く士・・・二、四、六、九、士(11)月」小の月の覚え方。いったい何時習ったのだろう?完璧に身に付いたこの覚え方を。その覚え方を成瀬勘十郎に負っていたとは。
この知識人の潔い消え方とともにこの名を記憶にとどめるべきか。
残り3編も笑いとともに心にしみこむ情を見事に綴って・・・上手い!なべて後味のよい、読み終えて満足の吐息の出る作品群でした。
満腹だ!

ファミリーツリー

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ファミリーツリー ファミリーツリー
小川 糸ポプラ社 2009-11-04
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 小川糸著
―長野県穂高美しく壮大な自然に囲まれた長野県安曇野の小さな旅館で生まれた弱虫な少年、流星は「いとこおば」にあたる同い年の少女リリーに恋をした。料理上手のひいおばあさんや、ちょっと変わったおじさんなど、ユニークなおとなたちが見守るなか、ふたりは少しずつ大人になっていく

この作家の作品三作目。 で、その読み終わったどの作品にも、とてもいい部分を、いい何かを感じさせてもらいながらも・・・食い足らないなにかもどかしさというか、味わいの足りなさを感じている。
この作品も、まさにそうで、前半この作品はいいものになる・・・という予感に楽しみに読み進んでいたのだが、途中で息切れがし、気分が停滞し、放り投げたくなってしまった。 
子供時代の描写には、彼らの世界には魅力があった。 風変わりな大人たちにもそこはかとない魅力があった。 だが年とともに主人公の彼らには魅力がなくなっていった。 これを時代の・・・と捉えるべきなのかもしれないし、また今の子供たちの草食系物足りなさと捉えることも出来るかもしれないが・・・でも駄目だ。
私には作者がこの中に溢れさせようとしている優しさの正体に疑問がある。それはむしろあやうさともうそ臭さとも思え、いらだたしい世界になってしまった。なにかちょっとした段差に足を取られたような不快な違和感が拭えない。
 

星間商事社史編纂室

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星間商事株式会社社史編纂室 星間商事株式会社社史編纂室
三浦 しをん筑摩書房 2009-07-11
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三浦しをん著
なんだか笑いながら読んでいて・・・しをんさんが少しわかっちゃった・・・って気分になっている。
「まほろ駅前」の大好きな彼らのかもし出す雰囲気の延長でもあるようで・・・作中に幾つも重層のように按配される幾つかの小説、幾つかの恋・・・なーんか、みんなしをんさんだ!
縦糸の社史編纂事業も猛烈に面白いけれど、よこちょにちょろちょろながれているコミケというジャンル?生活・・・最もこっちの方が幸代さんの大事な生きる柱なんだけれど・・・この捩りあわされた小説世界のどの筋もが生き生き面白くて・・・読んでいるうちに全部知らない世界ながら・・・全部あってもいいな世界になってしまって(うそです)、作中小説のどの人物の姿もありありです。 ありえない社史編纂室の上司さんたちの姿までが・・・理想の上司化しそうな恐ろしさです。 洋平君好きです!
しをんさんの小説読むのは8作目ですが、「光」以外みんな好きです。
が、その中でもこの作品は今のところしをんさんの全ての面を合わせ備えて、彼女を象徴しているように思いました。いい、いいね。生きていくのに卑屈にならない。
それに成長期の「日本商社!」を思い出したよ。 それか?妙に懐かしくも思えたのは。  これって三浦さんの小説のある種のものに対してのラブレターのようでもありますね。ま、そうなんですけど・・・テレる!

思い出探偵

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思い出探偵 思い出探偵
鏑木 蓮PHP研究所 2009-02-14
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鏑木蓮著
この作家も初めて。 友人の推薦です。 読み終えて、非常にいい読後感があったので、その他の作品を検索してみたのですが・・・残念ながらまだ余り作品が無いし、すぐ読みたいと思う作品もまだないかな。そのうち・・・と、思いますが。
さて、この際物でない?探偵。 探偵というとまず思うような探偵とは一線を画す、思い出を探索する探偵。 確かに探偵って職業を使うとどんな物語でも出来るんだなぁ・・・という感嘆。 冒頭の警察を辞しこの職業をえらんだ経緯がそのまま縦線になって様々な事件?依頼が来て・・・探偵社が仕事に掛かります。 物語が始まるわけですが、この探偵社を始めた実相浩二郎とその妻、ここに彼を慕い彼に心酔してここで働くようになった人々群像がとてもいいのです。 みんな心に負の何かをそれでも大事に抱えている。人の痛みが判る人ばかりです。そこへ持ってきて思い出を大切にする人々が依頼者として集まってくるのですから・・・いやな事件はありません。 (唯一橘さんの悲惨な過去に関わる厭な後味を残す事件があるが)暖かい気分が充満しています。 その優しさは・・・手の届かないウソのような・・・それではなく、その辺に手を伸ばせば手が届くような優しさでもあるのですね。 思いやりがあれば・・・届くんだっていう身近さですか。 伸ばされた手がふっくらと丸まってそっと掬い上げようとしているみたいなんですね。心を大切にしている人々を、よそ目でも見させてもらうってことは、こちらも満たされ、過去を大事にしたいとおもわされる感じです。だから素直に読み終わって「ああ、優しくて思いやりがあって、満たされたなぁ・・・」って気分です。 過去を大事にしないと現在の立ち居地がぶれるんだろうなぁ・・・

星と輝き花と咲き

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星と輝き花と咲き (100周年書き下ろし) 星と輝き花と咲き (100周年書き下ろし)
松井 今朝子講談社 2010-07-16
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松井今朝子著

私が今までに読んだ松井さんの作品の中では一番読みやすい作品でした。 が、「吉原手引草」「仲蔵狂乱」を凌ぐものではなかったなぁ・・・と、思う。
明治期の日本初のアイドル?明治時代のアイドル!竹本綾之助の絶頂期に至る成長の?記録といったところです。
絶頂期に引退っていうと思い出す女優さん歌手さんいますね。
でも、映画もTVも無かった時代としては物凄かったんだなぁ・・・。
日本初のおっかけも彼女をおっかけた「どうする連」だったんでしょうね。
こんな人が居たんだ!初めて知りました。大体明治にあんなに人気のあった娘義太夫というものを今聞く機会などまずありません。
先だって、安鶴さんの本牧亭を朗読勉強した時、中に新内のことが出てきたら先生に「新内聞いたことあるの?無いの?次回までに聞いておきなさいよ、実感が必要」と言われて、図書館からCDを借りてきて聞いたが・・・そのCDそのものがもう絶滅危惧種みたいだった。
だから綾之助の声がどのように描写されても、想像は付くのだが、いやつけるのだが今一どーんと心に響いてこない。 これもやっぱり聞いてみてなんぼのものだろうと思う。勿論綾之助の声が聞けるはずは無いのだが。
しかし実際に聞いてみたかった!という気分は非常なものになった。
こんなに沢山の通から素人さんまで幅広い層を虜にした義太夫語りとはどんなだったのだろう。 見ても楽しい人だったようだが、心にしみこむという義太夫をその声を、全く素養の無い今の私みたいなのが聞いてもやはり心奪われるのだろうか? ああ、聞いてみたいよ!素直にそう思わされた。 松井さんの筆力はやはり魅力だ。
しかし絶滅?してしまったのかもしれない義太夫。なんでこうなったのだろう。寄席の色物がどんどん廃れていくその廃れの走りだったみたいなのだけど、ここまで私にはこの芸の知識がない。
たったの?百年?怖ろしい百年の時代変化。あぶくのように生まれて消えていった流行の一つ、徒花?という一語が残った。
 

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