星と輝き花と咲き (100周年書き下ろし) 星と輝き花と咲き (100周年書き下ろし)
松井 今朝子講談社 2010-07-16
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松井今朝子著

私が今までに読んだ松井さんの作品の中では一番読みやすい作品でした。 が、「吉原手引草」「仲蔵狂乱」を凌ぐものではなかったなぁ・・・と、思う。
明治期の日本初のアイドル?明治時代のアイドル!竹本綾之助の絶頂期に至る成長の?記録といったところです。
絶頂期に引退っていうと思い出す女優さん歌手さんいますね。
でも、映画もTVも無かった時代としては物凄かったんだなぁ・・・。
日本初のおっかけも彼女をおっかけた「どうする連」だったんでしょうね。
こんな人が居たんだ!初めて知りました。大体明治にあんなに人気のあった娘義太夫というものを今聞く機会などまずありません。
先だって、安鶴さんの本牧亭を朗読勉強した時、中に新内のことが出てきたら先生に「新内聞いたことあるの?無いの?次回までに聞いておきなさいよ、実感が必要」と言われて、図書館からCDを借りてきて聞いたが・・・そのCDそのものがもう絶滅危惧種みたいだった。
だから綾之助の声がどのように描写されても、想像は付くのだが、いやつけるのだが今一どーんと心に響いてこない。 これもやっぱり聞いてみてなんぼのものだろうと思う。勿論綾之助の声が聞けるはずは無いのだが。
しかし実際に聞いてみたかった!という気分は非常なものになった。
こんなに沢山の通から素人さんまで幅広い層を虜にした義太夫語りとはどんなだったのだろう。 見ても楽しい人だったようだが、心にしみこむという義太夫をその声を、全く素養の無い今の私みたいなのが聞いてもやはり心奪われるのだろうか? ああ、聞いてみたいよ!素直にそう思わされた。 松井さんの筆力はやはり魅力だ。
しかし絶滅?してしまったのかもしれない義太夫。なんでこうなったのだろう。寄席の色物がどんどん廃れていくその廃れの走りだったみたいなのだけど、ここまで私にはこの芸の知識がない。
たったの?百年?怖ろしい百年の時代変化。あぶくのように生まれて消えていった流行の一つ、徒花?という一語が残った。