思い出探偵 思い出探偵
鏑木 蓮PHP研究所 2009-02-14
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鏑木蓮著
この作家も初めて。 友人の推薦です。 読み終えて、非常にいい読後感があったので、その他の作品を検索してみたのですが・・・残念ながらまだ余り作品が無いし、すぐ読みたいと思う作品もまだないかな。そのうち・・・と、思いますが。
さて、この際物でない?探偵。 探偵というとまず思うような探偵とは一線を画す、思い出を探索する探偵。 確かに探偵って職業を使うとどんな物語でも出来るんだなぁ・・・という感嘆。 冒頭の警察を辞しこの職業をえらんだ経緯がそのまま縦線になって様々な事件?依頼が来て・・・探偵社が仕事に掛かります。 物語が始まるわけですが、この探偵社を始めた実相浩二郎とその妻、ここに彼を慕い彼に心酔してここで働くようになった人々群像がとてもいいのです。 みんな心に負の何かをそれでも大事に抱えている。人の痛みが判る人ばかりです。そこへ持ってきて思い出を大切にする人々が依頼者として集まってくるのですから・・・いやな事件はありません。 (唯一橘さんの悲惨な過去に関わる厭な後味を残す事件があるが)暖かい気分が充満しています。 その優しさは・・・手の届かないウソのような・・・それではなく、その辺に手を伸ばせば手が届くような優しさでもあるのですね。 思いやりがあれば・・・届くんだっていう身近さですか。 伸ばされた手がふっくらと丸まってそっと掬い上げようとしているみたいなんですね。心を大切にしている人々を、よそ目でも見させてもらうってことは、こちらも満たされ、過去を大事にしたいとおもわされる感じです。だから素直に読み終わって「ああ、優しくて思いやりがあって、満たされたなぁ・・・」って気分です。 過去を大事にしないと現在の立ち居地がぶれるんだろうなぁ・・・