陰陽屋へようこそ

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陰陽屋へようこそ 陰陽屋へようこそ
天野 頌子ポプラ社 2007-09
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天野頌子著

 

外しました! っても、この作品が面白くなかったからではありません。 夢枕獏さんの陰陽師シリーズがありますが…私はそれ系の作品を探していたのではなくて夢枕さんの短編の時代物でなにか面白い作品が他にないかなぁ…と、探していたんです。 そこに目に入ってきたのがこれ。 なんか短編集っぽいし…朗読の素材にならないかなぁ…と、借りてきたのですが…。         これはほんのライトノベル?ターゲットは中学生でしょうか? そう主人公は往時の狐の誰かの落とし子、捨て狐の妖狐もどき君でした。 と、頼りになるんだかならないんだか、ただやたらといい男の陰陽師君。  周りののんきな?外野がいいから、つい楽しく読んでしまった。 こんな中学校だったら、いじめはないわね。 お狐君をみんな認めているんじゃないの。かははと笑ってしまった。 本人だけが隠してるつもりで、周りは面倒だから?そういうことにしているぜ…っていう脱力系のこの作品は夢枕さんの向こうを張って?思いっきりいいテイストじゃないの…? さて、続編んがあるんですか?…読むかどうかは思いっきりわかりませんけど一応思ってみました。 

 

 

夏目家順路

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夏目家順路 夏目家順路
朝倉 かすみ文藝春秋 2010-10
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 朝倉かすみ著

 

おかしな小説でした。おかしなというのは内容のことではありません。それが呼び覚ました私の記憶のおかしさなんです。  不思議と言い換えてもいいかな。    この小説読んでいる間、ちゃんとその世界に広がる夏目清茂さんの人生をなぞっていました。 ところがその頭のほんの片隅では…私の勝手な記憶による私の人生の一部が紐解かれていくんです。         本を読み他人の創造した人生をたどりながら…片方で自分の人生をたどっている…なんだこりゃ?と、また頭の違う片隅がつぶやいているんですね。  なんでこうなるのだろう? ……また違うほんの頭の片隅が考えていたのですが、この文体の妙に小気味のいい主人公の突き放し方にある微妙な間が無意識に私の意識を滑り込ませる格好の媒体みたいなものになっているのかもしれません。    葬式に至るまで、何しろ私はまだ私の葬式を経験していませんから、キヨちゃんの人生と並行してスミちゃんの人生がほどけていきました。     だから今晩はここまでにしようと、本を伏せた後も妙に眠れないということになりました。 本を読んでいる間に紐解かれたものが、本を閉じるといやな方向に行くのです。   負の記憶がのそりと立ち上がってくるのですね。 これには参りました。 キヨちゃんの人生が負ではなかったのに。   それでも物悲しい気分を醸し出す人生でもあったわけで…だから寝る前にはキヨちゃんのかぶによく似ためでたい笑い顔、犬っころのような顔のよく動く黒目を思い起こすことにしたんです。 やっぱりキヨちゃんの人生は悪くなかったねぇ…私もキヨちゃんのように終わりたいよ。

しかし懐かしいものを見た。「903」緊急定文電報、そういえば昔電話帳を繰ってこういうの送ったことがあったなぁ…あの時は…なんだったかなぁ…祝電よりもやっぱり弔文だったかも。

 


曙光の街

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曙光の街 (文春文庫) 曙光の街 (文春文庫)
今野 敏文藝春秋 2005-09-02
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今野敏著

 

警察ものとかスパイものとかハードボイルとか…を扱った作品が好きなんだから読んでみるか…と、貸してもらいました。で、初めて読んでみたのです、この作家、ずいぶん作品が出ています。好きになればまたこれも泥沼。 

で、好きになったかも! こういう作品の主人公の男の人って…やるせない!切ない!だけどたまらなく魅力的。 本能のどこかにクールを装ったいじらしい優しさが組み込まれているんだろうね。 間違ってもやりすぎない。程よく微笑む。 このほどの良さは…泣ける。 復讐すら何とも程のよいところで完結する。 どうしようもなく引き寄せられてしまう。

こういう小説を読むと普段まったくと言っていいほど女性であるということを意識していない私が女性に返る。 ヴィクトールの生きている立場のなんとやるせないこと! 追い込まれる究極の選択。 そしてその見事な知性&腕力&技能の完璧さ。 絶対男性読者のために書かれた作品だとは思うけれど、男が惚れる男には女も惚れる。 兵頭にしろ倉島にしろほんまもんの男のそばにいるとほんまもんの男になるんだねぇ…と、なんだかハードボイルを読むたびに私はつぶやくんだな。しかし日本って本当に甘い国なんだね? 国境はどうなっているのかな? 公安は機能しているのかな? ともつぶやくんだね。ま、たまにいい男も排出するからいいのか!

さて「次も読んでみるか?ヴィクトール」と、父が言った。

そう、この本はちょうど卒寿を迎えた父から回ってきたんですね。90歳が読む本かなぁ…読む本だわ、結末のなんと甘美なことか!

 

 

 

裏庭

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裏庭 (新潮文庫) 裏庭 (新潮文庫)
梨木 香歩新潮社 2000-12
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梨木香歩著 

ファンタジーということで、しかもあの、最近素晴らしい作品にあたっているあの梨木さんの作でもあるということで期待いっぱいで取り掛かった。 そして、少女の成長譚としても、異世界の冒険ものとしても読めるのだけれど、意外なくらい大上段で妙に教訓的な本という感じも受けた。 成長譚としては「f植物園の巣穴」「西の魔女」「からくりからくさ」とかも読んでいますし、また異世界譚としても「家守奇譚」「りかさん」「f植物園…」とかを読んでいますし…梨木さんの世界の魅力はその混在にあるのだと思って楽しんでいました。だからその意味ではこの作品は梨木さんの本質を正面切って出されたような気がします。が、ただ他の作品ではちらっとも感じなかったお説教みたいなものをパッチンと当てられたような…ちょっと消化するのに胃液をいっぱい頂戴みたいな…。 単純に面白く一気に読むことだけはできないようでした。 世界も人も生死もその対比も呼応も、読み終わってみれば素直に考えられたのだけれど、読んでいる途中に少々気がダレルというか散漫になって冗長に思われたのかもしれません。裏庭という言葉が醸す…日の当たらない世話をされない手をかけられない…という印象が主人公の照美(テルミイ)や影の薄い世界を歩んだ人々と重なり合って…冒険と再生の物語に影を落として…その影の色合いが大量の血や暗闇の世界を配されていながらも最後まで濃淡が心にはっきりしなかったから…かしら? 反対に様々なことが教えられたような被されたような…面倒くささかなぁ?…をずーっと感じていたような気がしたのです。 物語か、語り口か、が、硬くて構えていて入りにくかったような?この硬さが気になったので調べてみましたら…「西の魔女…」の後に出た作品で、最近私が読んだ一連の作品たちより古い作品でした。 そこに関係かも? 

図書館戦争

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図書館戦争 図書館戦争
有川 浩メディアワークス 2006-02
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有川浩著 

「三匹のおっさん」を読んだ時に書き置いたと思うけれど…今度、何かストレスがあった時のためにお取り置きしておこう…なんて。 で、ストレスがあったのか?と、聞かれると…あったのよね、これが。 だけどそれはどんな本でも読めば晴れるって種類のものではないからねぇ。  だからと言って気分転換できるものなら何でもすがってみようかな?って部分も時にはあるじゃない?というわけでこの本を読む羽目になりました。この本の世界は実に前向きです。 作家的に言うなら「無駄に前向きです」ありがたいことに!です。 ま、私に青春は取り戻せるものでもないんですけれど…でもね、青春はいいなぁ…なんかあっても何とかできる時を持っているんだものね。なんて、しみじみしちゃったところもありますが…まだ若い人には笑ってだけ?読めるかもしれない面白い小説ですよね。                              テイストは違っても、キングの「図書館警察」を、読んだことのある人なら思い出すかもしれません。 もしくは三崎亜記さんの「図書館」をね。図書館って膨大な想像力の象徴みたいなものですものね。 何でもイメージできますよね。      ここでは映倫とか…小学校にボランティアで本読みに行って渡された「小学生に読んであげたい百冊の本」みたいなパンフ(どっか行っちゃったけど)とか…芸術奨励賞とか…色々ぽたっと思い出しました。ダメって言われた本ほど読みたいとかって思い当然ありましたし、隠れて読む術も当然身に着けていましたよね、子供のころ。                  そして本が好きな人すべてにぴたっと図書隊員・防衛員の気質ありますものね。だから郁さんのキャラクターに乗っかって過剰に楽しめちゃう本でした。 こんな自己規制人が横行する世の中、警察国家になっていきませんように。なったら老骨・老残の身に鞭打って?!防衛隊後方支援に回る所存です。 

茗荷谷の猫

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茗荷谷の猫 茗荷谷の猫
木内 昇平凡社 2008-09-06
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木内昇著

「染井の桜」「黒焼道話」「茗荷谷の猫」「仲之町の大入道」「隠れる」「庄助さん」「ポケットの、深く」「てのひら」「スペインタイルの家」短編9つ。木内さんが直木賞受賞して「のぼり」さんと呼ぶ女性であることを知りました。 受賞作の「漂砂のうたう」は出遅れて、図書館で借りられるのは…270人待ちです。ある意味意外でもあります。宮部みゆきさんの「小暮写真館」などは半年も前に予約して…まだ350人待ちですものね。もっとも私は賞というものを取ったからって予約することはあまりないのですが。「漂砂…」は描いている時代と人に矯味があります。                 この作家の作品は以前「染井の桜」を朗読された方がいて、のぼるさんと呼んでいたように記憶していました。 いいなと思い作品を検索してみたらなぜか新撰組関係が多いようでした。ですからてっきり男性だと…。が、まだ作品は少ないです。 しかし今回この作品(すぐ借りられたので)読んでみてなかなかの短編作品群に感嘆しました。うまいです。 少しずつ関連のある何かによって作品が続いていくのですが…そのつながりの妙はおいておいても、一つ一つが全く別種の趣を奏でています。 ま、好きなのも嫌いなのも。 でもそれぞれに不思議な興趣があって…読まされました。              たぶん私には「染井の桜」と「てのひら」が一番素直に読めたと思います。 特に「てのひら」は自分の身に沿ってくるというか、時代の雰囲気、母と娘の微妙な感情の擦れ違い思い入れというものが身近で、感傷に飲み込まれました。この作品群を読んで、この作家は「私好きだな」と思わされたのですが、それより文体やそこに横たわる感情の微妙な危うさが奇妙なねじれを感じさせて…一筋縄ではいかない作品を提供してくれそうだな…と背筋がゾクゾクっとします。楽しみでもあります。 その感じは「茗荷谷の猫」とそれに続く「隠れる」で気持ちに引っかかるとげのようなものがざわざわするのですが、「てのひら」で何がしか家に関してはほっとさせられて、それが読後感をよくしているのかもなぁ…。             内田百閒さんて「まぁだだよ」のあの先生ですよね?いったい本当はどんな人だったんだろうね?と、妙に気になっていますが。 

新参者

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新参者 新参者
東野 圭吾講談社 2009-09-18
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東野圭吾著 

加賀恭一郎シリーズというものを8冊近く書いているらしい。ということを知って(「赤い指」と「嘘をもうひとつだけ」は既読)順次読んでいこうと思っていたのですが…TVに先を越されました。東野さんの新作はほとんど当分手に入りそうもありません。文庫になったものを選んで買って読み始めよう…と言っていた父から回ってくるのを待つほうが早いかな?古いものは手に入るからそれから読めばいいのに、新作の予約を図書館にしてしまうとそれを待つ気分になっちゃいます。といっている間に「赤い指」も「新参者」と同じ阿部寛さん主演でTVドラマ化されてしまいました。 「白夜行」の広告を見ない日はないし…東野さんは大ブームと言ってもいいかもしれません。                             阿部さんが私のイメージにぴったり合ったから、というより阿部さんファンだから、満足してドラマも堪能しました。    この作品は一章ごとに捜査の段階で浮かび上がる人形町の人々のドラマを丁寧意にやさしく見つめていて、その人ごとに小さな短編の趣があってとても読みやすい警察ものでした。 やはり阿部さんは一人オオカミのやさしいコロンボです。 最近見直していると、昔見ていた時よりコロンボにいやなものを見出している私ですが…この作品の加賀さんの暖かさは本当に心地よいです。 殺された主婦はあまりにも理不尽ですが、その理不尽さの周りにも地に足を着けて生活している普通の人々がいてその生活が普通に流れていて…というのが描きこまれていて、それがいいですね。                  加賀さんの捜査で人々の営みというものが浮かび上がってくるのが自然で読んでいて楽しかったです。 殺人事件の周りにたまたまいてしまった人々の普通の生活を傷つけない…こんな捜査を警察がいつもしていてくれたならなぁ…だけどこんな人間味も頭脳も兼ね備えた刑事を養成するのは…至難だなぁ。 人間の資質だよ…要は…と、まぁ思ったのですが。 いいドラマになっていました。

赤い指 (講談社文庫) 赤い指 (講談社文庫)
東野 圭吾講談社 2009-08-12
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嘘をもうひとつだけ (講談社文庫) 嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)
東野 圭吾講談社 2003-02-14
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蔭桔梗

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蔭桔梗 (新潮文庫) 蔭桔梗 (新潮文庫)
泡坂 妻夫新潮社 1993-03
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   泡坂妻夫著 

短編11作。 職人の世界、昭和戦前の世界という感じ。今より家庭で仕事している父や祖父や…その背中が見える世界。 職人がいて、修行中の弟子がいて、客と仕事をつなぐ商家があって…小さな世界が重奏しているなつかしさのある世界。「控え目」という言葉が支配している世界の感じ。たとえば…恋は声高なものではなくて、ひそやかで、それより優先されるもの…謙譲や義理やおもんぱかりや…さまざまなしがらみ。そういうものが混在しながら居住まいがこぎれいな…という印象の世界。 おしこめられた感情は…底のほうに怪しげに小さなさざ波を立てていながら地表には出てこないというような世界。 かすかな行き違いや思い違いであるべきではなかった人生を生きることになったり…でもそれは自然な成り行きのように埋没していく。 ひそめた声で生きていく普通の人々がしっとりと色っぽい。表題の「蔭桔梗」実際にこの作家は紋章上絵師ということで、この作品世界の情感は際立っていた。成り行きをせつなく感じながら読んで堪能した。また「簪」という1篇があって、この作品のおぼろに包まれた無垢な恋の執念に心ひかれた。「不思議な話は他にも聞いた」炎の中で人の情念だけが燃え残って小さな光芒を放ったのだろうか。不思議に心をとらえる物語世界だった。しかもこの心情そのものがもう日本からおぼろな影になって最後の光芒ももう消え果てているような悲しさも感じてしまった。懐かしいだけで終えたくない…そんな執着を感じている。

からくりからくさ

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からくりからくさ (新潮文庫) からくりからくさ (新潮文庫)
梨木 香歩新潮社 2001-12
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りかさん (新潮文庫) りかさん (新潮文庫)
梨木 香歩新潮社 2003-06
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梨木香歩著

  今、2回目の読書にかかっています。…ってことは…つまりそう、この本買いました。梨木さん「家守綺譚」に次いで2冊目のお買い上げです。 で、すでに「りかさん」も買ってあります。 最近ではまれな現象です、上橋さんに続いてですから…私にとって。 この作品も好きでしたね。 一生色あせないで続けていける何かを見出した人って二十歳そこそこでも大人なのね? このりかさんの在る家で蓉子さんと暮らし始めた乙女たちはすでにそれぞれにしっかりした揺るぎない個性を持っているように見えます。あのころの私にはまだ自分は無かった。そう、こう生きたいという、か細い柱さえも持っていなかったし独り立ちさえしていなかった。 それなのにカルテッドを奏でるこの女性たちは…そう年齢的には乙女なのに一人前の女性の趣で…それぞれに揺らぎも恐れもあるだろうに…立っている!自分になっている。そのうらやましさに覆い尽くされてしまった。 たぶん一人一人が別々に生活していたらこうはならなかっただろうとは思う。この4人+りかさんが集中した結果の色合いが生み出す強さなんだろうけれど。そしてこう、必然的に?生み出された雰囲気が羨望のまとなのだ。 それに彼女たちがひきつけられ邁進していく仕事! その古典的な輝き! 梨木さんの世界だ。 染め、紡ぎ、織り…仕立て上がっていくなにか。

この蓉子さんの家で起こるすべてのこと、話される会話のすべてに満ちるもの、りかさんに主催される連綿としたもの。 そして古いおばあさんに充たされていた家から4人の女性と赤ちゃんが奏でるに違いないハーモニーを感じさせる新しい家への変化。 この扉を開けさえすれば、いい年をしていまだに柱のない私にもこのうら若きしっかり道を見ている女性たちに触発されるものを何かしら見つけることだろう。 もちろん、彼女たちの道には曲がり角はあるだろうけれど…それさえが彼女たちには…素晴らしいものじゃないの? 

狐笛のかなた

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狐笛のかなた (新潮文庫) 狐笛のかなた (新潮文庫)
上橋 菜穂子新潮社 2006-11
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上橋菜穂子著 

「獣の奏者」シリーズも「守り人・旅人」シリーズもものすごく楽しく読めて…他にもこの作者の本を読みたいと図書館で探したら、この本を見つけました。この作品は日本のそう…何時代にあたるだろうか…戦国?いや妖怪が闊歩していた室町時代?…時代は特定できないまでも日本の情緒があふれた時代ファンタジーだった。 私が読み落としただけかもしれないけれど。戦国入口の管領の争いのイメージだろうか?なんて、考えたのだけれど、本当のところそれはどうでもいいので、異能の持ち主である少女とこの世とこの世ならぬあわいに生まれて心ならずも虜になった霊狐の不思議な物語だった。野火と呼ばれたあの狐君…あの真情!あんな心を持つ男の子?女と生れて心疼かない者はいないよね。そして結界や妖術の世界。そうちょっとロマンチックであまやかで健気なファンタジー。少女のころに読んだら心躍ったろうに…なんて醒めたようなことを言ってみてはいるが…実際はこの年になっても私はこういうものに心躍る。魔法が好きじゃない子供なんているはずがない。 ファンタジーやミスティックなものを読むたびにこういう作品がいまだに好きってことは…私は大人の顔をして…おばあさんになりかかっていて…なのに成長していないってことか?…大人びた顔をしようとして…ウソだよ、私はまだこういう作品を楽しめる自分が本当は好きなんだ。 「スイスのロビンソン」を神田の古書店で見つけてニコニコ顔になる自分が。

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