裏庭 (新潮文庫) 裏庭 (新潮文庫)
梨木 香歩新潮社 2000-12
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梨木香歩著 

ファンタジーということで、しかもあの、最近素晴らしい作品にあたっているあの梨木さんの作でもあるということで期待いっぱいで取り掛かった。 そして、少女の成長譚としても、異世界の冒険ものとしても読めるのだけれど、意外なくらい大上段で妙に教訓的な本という感じも受けた。 成長譚としては「f植物園の巣穴」「西の魔女」「からくりからくさ」とかも読んでいますし、また異世界譚としても「家守奇譚」「りかさん」「f植物園…」とかを読んでいますし…梨木さんの世界の魅力はその混在にあるのだと思って楽しんでいました。だからその意味ではこの作品は梨木さんの本質を正面切って出されたような気がします。が、ただ他の作品ではちらっとも感じなかったお説教みたいなものをパッチンと当てられたような…ちょっと消化するのに胃液をいっぱい頂戴みたいな…。 単純に面白く一気に読むことだけはできないようでした。 世界も人も生死もその対比も呼応も、読み終わってみれば素直に考えられたのだけれど、読んでいる途中に少々気がダレルというか散漫になって冗長に思われたのかもしれません。裏庭という言葉が醸す…日の当たらない世話をされない手をかけられない…という印象が主人公の照美(テルミイ)や影の薄い世界を歩んだ人々と重なり合って…冒険と再生の物語に影を落として…その影の色合いが大量の血や暗闇の世界を配されていながらも最後まで濃淡が心にはっきりしなかったから…かしら? 反対に様々なことが教えられたような被されたような…面倒くささかなぁ?…をずーっと感じていたような気がしたのです。 物語か、語り口か、が、硬くて構えていて入りにくかったような?この硬さが気になったので調べてみましたら…「西の魔女…」の後に出た作品で、最近私が読んだ一連の作品たちより古い作品でした。 そこに関係かも?