外科医須磨久善

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外科医 須磨久善 外科医 須磨久善
海堂 尊講談社 2009-07-23
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海堂尊著  この本をてっきり小説だと思って予約していた・・・ら、西田敏行さんが須磨さん役のTVドラマで先に見てしまった。NHKのプロフェッショナルでも取り上げられた現役心臓外科医さんだった。 それを知ってから読み始めたので・・・なんかちょっと久しぶりのちょっと変わった偉人伝を読んでいるような気になった。「70にして矩を越えず」という言葉があったけど、この先生はお若い時から軽々と矩を越えて自分の道を歩いていかれる。 その自分を自然に貫いていくところを凄い!と、思って読んでいた。 心臓病で手術が必要になったら、是非おねがいしたいものだ・・・とそれこそ自然に思ったが・・・していただけるのはよほど幸運な人だけだろうな。 患者は物凄く多いのだし、先生は一人なんだもの・・・と悲観もした。願わくば先生の手を沢山の後進の指導に染めていただきたい。 このような先生を沢山持てる国にしていただきたい。と、勝手なことばかり考えて・・・社会になんの貢献もない自分を省みたのです。たまには、ほんのたまには、こういう啓蒙書?を読むのはいいな。 たまじゃないと自分が悲しすぎるもの。 でもとりわけ若い人に読んでもらいたいな。海堂さんには若い読者がいっぱい付いているのがとても心強い! 

プロジェクトX 挑戦者たち Vol.15 奇跡の心臓手術に挑む [DVD] プロジェクトX 挑戦者たち Vol.15 奇跡の心臓手術に挑む [DVD]
国井雅比古NHKエンタープライズ 2001-12-21
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幸せになる長寿ごはん

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幸せになる 長寿ごはん 幸せになる 長寿ごはん
吉沢 久子朝日新聞出版 2010-04-20
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吉沢久子著

昨年末ぎりぎりに図書館から届いた。絶好のタイミングだった。 想像していたように懐かしい料理が載っていた。
「ああ、この料理忘れていたわ」とか「私のと作り方が違うんだわ」とか。 正月の間超マンネリの我が家お節を食べながら楽しんで読んでいた。 それで気が付いたのだけれど・・・最近とみに私は自分の嗜好に癖が出てきた事を感じている。
確実に若いときより根菜類が好きになっている。
旦那はいまだに緑の野菜―キャベツ・ほうれん草・レタスなどが好きだというが・・・私は余り好まなくなってきている。グリーンサラダはたまには悪くないが・・・野菜は根菜に限る。
大根・レンコン・ごぼう・人参が実に美味しい。
大根一本を醤油漬けにし、柚子大根にし・・・バリバリシャキシャキ食べながら・・・「あああ、はりはり漬けを忘れていたわ。」と、この本を見ていて思い出した。
そしてまた、確実にお酢が好きになってきている。
若いときには寿司、酢飯以外酢の物にはあまり興味がなかった。 あれば頂くけれど・・・特に作って食べたいとは思って居なかったのに。 今は野菜の酢漬け(マリネ)なんかをパリパリ頂く方がサラダよりよっぽど美味しい。
そんなこんなで、慌ててはりはり漬けを作ったのだけれど・・・。酢の物が好きではない旦那はそっぽを向いているので・・・一人でしょうが多すぎかしら? 唐辛子を減らして柚子をもう少し多くしようかしら?なんて、はりはり咀嚼しながら考えている。私のと少し違う吉沢さんの柚子大根にも挑戦しよう・・・で、夏には茗荷の酢漬けでしょうね。それを使って茗荷としょうがと大葉の酢飯なんていいかも? 見ているだけでよだれ・・・だけど・・・家の息子や旦那には受けが良くない料理が多いのが不思議。
私は長寿? 私だけなんて・・・いやだぁ・・・
 

五郎治殿御始末

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五郎治殿御始末 (新潮文庫) 五郎治殿御始末 (新潮文庫)
浅田 次郎新潮社 2009-04-25
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浅田次郎著

江戸から明治に移り変わる激動の時代。その時代においてきぼりにされたような武士の姿を描いた短編集6編。
浅田さんは本当に凄いストーリーテラーだ! 改めて感嘆しつつこの6作を読んだ。 この武士たちの生き様をすべて肯えるわけは無いのだが、その描き出された心模様は心に忍び込んでくる。
特に「椿寺まで」の小兵衛と新太の二人には素直に泣かされた。
そう、こういう時代にこういう星の元で生まれたなら・・・こう生きていく男たちに心を惜しむまい。そう思えるほど生き様がいじらしく男らしい。 男ってこういう見事ないきものだったんだねぇ・・・って 周五郎さんの小説の中ではおなじみだったような男達だわ。それなのに本当に久しぶりに出会った様で、感嘆してしまった。
「五郎治殿御始末」 曽祖父のスケに語る父五郎治殿の生きた道をその力があれば私も朗読で語ってみたい。そう思うほど真っ向からのめりこんだ。最後の御始末では私も笑い泣き。 「苦労は忘れてゆかねばならぬ。頭が忘れ、体が覚えておればよい」 はい、胆に命じます、と私は答えていた。「己の身の始末は決して逃げず、後戻りもせず、能う限りの最善の方法で」見事に老後の指針じゃない?
「西を向く侍」は「西向く士・・・二、四、六、九、士(11)月」小の月の覚え方。いったい何時習ったのだろう?完璧に身に付いたこの覚え方を。その覚え方を成瀬勘十郎に負っていたとは。
この知識人の潔い消え方とともにこの名を記憶にとどめるべきか。
残り3編も笑いとともに心にしみこむ情を見事に綴って・・・上手い!なべて後味のよい、読み終えて満足の吐息の出る作品群でした。
満腹だ!

ファミリーツリー

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ファミリーツリー ファミリーツリー
小川 糸ポプラ社 2009-11-04
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 小川糸著
―長野県穂高美しく壮大な自然に囲まれた長野県安曇野の小さな旅館で生まれた弱虫な少年、流星は「いとこおば」にあたる同い年の少女リリーに恋をした。料理上手のひいおばあさんや、ちょっと変わったおじさんなど、ユニークなおとなたちが見守るなか、ふたりは少しずつ大人になっていく

この作家の作品三作目。 で、その読み終わったどの作品にも、とてもいい部分を、いい何かを感じさせてもらいながらも・・・食い足らないなにかもどかしさというか、味わいの足りなさを感じている。
この作品も、まさにそうで、前半この作品はいいものになる・・・という予感に楽しみに読み進んでいたのだが、途中で息切れがし、気分が停滞し、放り投げたくなってしまった。 
子供時代の描写には、彼らの世界には魅力があった。 風変わりな大人たちにもそこはかとない魅力があった。 だが年とともに主人公の彼らには魅力がなくなっていった。 これを時代の・・・と捉えるべきなのかもしれないし、また今の子供たちの草食系物足りなさと捉えることも出来るかもしれないが・・・でも駄目だ。
私には作者がこの中に溢れさせようとしている優しさの正体に疑問がある。それはむしろあやうさともうそ臭さとも思え、いらだたしい世界になってしまった。なにかちょっとした段差に足を取られたような不快な違和感が拭えない。
 

星間商事社史編纂室

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星間商事株式会社社史編纂室 星間商事株式会社社史編纂室
三浦 しをん筑摩書房 2009-07-11
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三浦しをん著
なんだか笑いながら読んでいて・・・しをんさんが少しわかっちゃった・・・って気分になっている。
「まほろ駅前」の大好きな彼らのかもし出す雰囲気の延長でもあるようで・・・作中に幾つも重層のように按配される幾つかの小説、幾つかの恋・・・なーんか、みんなしをんさんだ!
縦糸の社史編纂事業も猛烈に面白いけれど、よこちょにちょろちょろながれているコミケというジャンル?生活・・・最もこっちの方が幸代さんの大事な生きる柱なんだけれど・・・この捩りあわされた小説世界のどの筋もが生き生き面白くて・・・読んでいるうちに全部知らない世界ながら・・・全部あってもいいな世界になってしまって(うそです)、作中小説のどの人物の姿もありありです。 ありえない社史編纂室の上司さんたちの姿までが・・・理想の上司化しそうな恐ろしさです。 洋平君好きです!
しをんさんの小説読むのは8作目ですが、「光」以外みんな好きです。
が、その中でもこの作品は今のところしをんさんの全ての面を合わせ備えて、彼女を象徴しているように思いました。いい、いいね。生きていくのに卑屈にならない。
それに成長期の「日本商社!」を思い出したよ。 それか?妙に懐かしくも思えたのは。  これって三浦さんの小説のある種のものに対してのラブレターのようでもありますね。ま、そうなんですけど・・・テレる!

思い出探偵

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思い出探偵 思い出探偵
鏑木 蓮PHP研究所 2009-02-14
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鏑木蓮著
この作家も初めて。 友人の推薦です。 読み終えて、非常にいい読後感があったので、その他の作品を検索してみたのですが・・・残念ながらまだ余り作品が無いし、すぐ読みたいと思う作品もまだないかな。そのうち・・・と、思いますが。
さて、この際物でない?探偵。 探偵というとまず思うような探偵とは一線を画す、思い出を探索する探偵。 確かに探偵って職業を使うとどんな物語でも出来るんだなぁ・・・という感嘆。 冒頭の警察を辞しこの職業をえらんだ経緯がそのまま縦線になって様々な事件?依頼が来て・・・探偵社が仕事に掛かります。 物語が始まるわけですが、この探偵社を始めた実相浩二郎とその妻、ここに彼を慕い彼に心酔してここで働くようになった人々群像がとてもいいのです。 みんな心に負の何かをそれでも大事に抱えている。人の痛みが判る人ばかりです。そこへ持ってきて思い出を大切にする人々が依頼者として集まってくるのですから・・・いやな事件はありません。 (唯一橘さんの悲惨な過去に関わる厭な後味を残す事件があるが)暖かい気分が充満しています。 その優しさは・・・手の届かないウソのような・・・それではなく、その辺に手を伸ばせば手が届くような優しさでもあるのですね。 思いやりがあれば・・・届くんだっていう身近さですか。 伸ばされた手がふっくらと丸まってそっと掬い上げようとしているみたいなんですね。心を大切にしている人々を、よそ目でも見させてもらうってことは、こちらも満たされ、過去を大事にしたいとおもわされる感じです。だから素直に読み終わって「ああ、優しくて思いやりがあって、満たされたなぁ・・・」って気分です。 過去を大事にしないと現在の立ち居地がぶれるんだろうなぁ・・・

星と輝き花と咲き

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星と輝き花と咲き (100周年書き下ろし) 星と輝き花と咲き (100周年書き下ろし)
松井 今朝子講談社 2010-07-16
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松井今朝子著

私が今までに読んだ松井さんの作品の中では一番読みやすい作品でした。 が、「吉原手引草」「仲蔵狂乱」を凌ぐものではなかったなぁ・・・と、思う。
明治期の日本初のアイドル?明治時代のアイドル!竹本綾之助の絶頂期に至る成長の?記録といったところです。
絶頂期に引退っていうと思い出す女優さん歌手さんいますね。
でも、映画もTVも無かった時代としては物凄かったんだなぁ・・・。
日本初のおっかけも彼女をおっかけた「どうする連」だったんでしょうね。
こんな人が居たんだ!初めて知りました。大体明治にあんなに人気のあった娘義太夫というものを今聞く機会などまずありません。
先だって、安鶴さんの本牧亭を朗読勉強した時、中に新内のことが出てきたら先生に「新内聞いたことあるの?無いの?次回までに聞いておきなさいよ、実感が必要」と言われて、図書館からCDを借りてきて聞いたが・・・そのCDそのものがもう絶滅危惧種みたいだった。
だから綾之助の声がどのように描写されても、想像は付くのだが、いやつけるのだが今一どーんと心に響いてこない。 これもやっぱり聞いてみてなんぼのものだろうと思う。勿論綾之助の声が聞けるはずは無いのだが。
しかし実際に聞いてみたかった!という気分は非常なものになった。
こんなに沢山の通から素人さんまで幅広い層を虜にした義太夫語りとはどんなだったのだろう。 見ても楽しい人だったようだが、心にしみこむという義太夫をその声を、全く素養の無い今の私みたいなのが聞いてもやはり心奪われるのだろうか? ああ、聞いてみたいよ!素直にそう思わされた。 松井さんの筆力はやはり魅力だ。
しかし絶滅?してしまったのかもしれない義太夫。なんでこうなったのだろう。寄席の色物がどんどん廃れていくその廃れの走りだったみたいなのだけど、ここまで私にはこの芸の知識がない。
たったの?百年?怖ろしい百年の時代変化。あぶくのように生まれて消えていった流行の一つ、徒花?という一語が残った。
 

トッカン 特別国税徴収官

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トッカン―特別国税徴収官― トッカン―特別国税徴収官―
高殿 円早川書房 2010-06-24
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高殿円著
書評で読んで面白そうだと予約しました。で、結果物凄く面白くなおかつ感動までしてしまいました。この作家全く知らなく、当然どんな作品があるのかも全く知らず、初めて読んだこの作家の本が「大当たりだ!」と、思ったので取り急ぎ他の作品を読んでみたいと検索して・・・驚きました。 ティーン向けの?ファンタジ小説群を書いている作家だったようです。 ファンタジー?全然趣が違うじゃないの・・・と、驚いたわけですが・・・主人公及び登場人物ののキャラクターを際立てる作家の筆は・・・確かに・・・コメディチックが際立っていましたが単純でティーン向けでした。だからって内容そのものがティーン向けだっていうわけではありません。
いえ、なかなか見事なな成長小説でした。
ある意味ではこの人物描写の子供向けっぽいステレオタイプっぽさが、小説としての読みやすさ軽い仕上がりになっていることは否定できないものの・・・この単純さが実に見事に余分なものをそぎ落として直接心に飛び込んでくる効果があがっているようでした。・・・ふうむ、なるほど!って感じでしょうか。
読みやすい小説でした。確かに。分かりやすい。
七めんどくさく情景や周辺描写などを読み込む手間は完璧に省けますし・・・事象を素直に読んでいって主人公の成長と希望を受け取ることが出来ますし・・・何より国税庁・・・ま、私には税務署?というものへの少々硬い気持ちが融ける効果が少しありましたよ。 なにしろ私も税務署には物言いたい気持ちがそれこそ滓のように沈んでいたんですからね、心の底に。確定申告時の相談要員・担当者の質のばらつきのひどいこと!全く随分迷惑をこうむりましたよ。・・・でも、この作品を読んで、少し見直しましたかね。 今まで私が真の国税所員にぶち当たっていないだけで、何処かにはこのトッカンとトッカン助手みたいな税務署人?が隠れているのかもしれなかもって。
だからといってそんな人に当たって正解かどうか?なにしろこちらは納めるものを出来るだけ減らしたいんですからね。 その意味じゃ彼らに「巨悪から取れよ」というお客さんの方の気持ちです。 ちょっと、国税庁の人間全部、税に関わる人間全部、にこの作品を読んでおいて貰いたいものですよ。 簡単に面白く読めて、誇りももてるから・・・ねぇ、是非!

天国旅行

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天国旅行 天国旅行
三浦 しをん新潮社 2010-03
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三浦しをん著
う~ん・・・と考え込んでいる・・・ってほど深刻ではないが、この作品は私(あくまで私の)の三浦さんカテゴリーに入れるか入れないか・・・と言うところで、である。
三浦さんの振幅も・・・作家なら当然当たり前なのだけれど・・・広い。
既に過去の偉人である作家達には敬意を表して言わないようなことも、私よりお若いこれからが長い作家には軽く言えてしまう。・・・と言う無礼なところをお許しいただきたいところです。
さて、それで・・・この作品です。
微妙なところで振り子が行ったり来たりです。
なんだか好感度が売り物?の自殺幇助サイトみたいな雰囲気がある題です。 好意を持っていいのだか眉唾なんだか? それもそのはず?自殺心中、生き死にが主題の7編の作品。このうちにこれは大好き!というテイストのある物は・・・。
好きの方に「初盆の客」を置いて次に「星屑ドライブ」、嫌いの方に「炎」と「君は夜」を置いてつりあいをとる軸が「森の奥」。 こぼれ落ちたのが「SINK」と「遺言」
ってところでしょうか。 「SINK」と「遺言」は思い込みに気持ち悪さがあって、埒外にしたいです。
作家にとって迷惑な読み方ですよね。そう思いながらやはりこう思って感想に印をつけています。心にしまって置く作品はやっぱり好きで心地が良くて愛せないとね。怖くても不可思議でも謎でさえも愛することは出来るけれどおぞましいのは無理です。そして明かりが見えないのもやはりそうです。 だけどこの年になれば明かりが無いことがあるということも分かり始めています。だからこそ明かりのある物を好感するのでしょうね。明かりのある作品が読みたくなる所以です。 死は身近になりつつありますが、願いは一つ。おぞましくないこと!です。

「ていねいな暮らし」 ―ここちよい生活歳時記― 

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ていねいな暮らし―ここちよい生活歳時記 ていねいな暮らし―ここちよい生活歳時記
吉沢 久子清流出版 2006-10
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吉沢久子著

私の母の世代の人と思う。 でも主婦として家庭に埋没しなかった女性のさきがけの一人というイメージがある。 多分TVかなにかでお目にかかっても居るはずだ。 働いている人ながら主婦のプロという感じも受けている。 先日新聞で「幸せになる長寿ご飯」という本の書評を見た。 急に母なるものに触れたくなったのだろうか?記憶の底の何かに刺激されてその本を予約したのだが・・・同時にこの本も予約して、こちらが先に届いた。
丁寧な暮らし・・・と言うものから実に見事に遠ざかっている・・・という認識が私にはある。
毎日夫と顔をあわせおなじ部屋で一日を過ごしている。
同じ時間が流れていくのに、そのはずなのに・・・実はそうではない。
掃除をするのも、食事を作るのも、洗濯するのも、彼が出したものを元に戻すのも・・・いうなれば言うのもあほらしいほどの雑事を全部するために行ったりきたり、立ったり坐ったりしているのは・・・私だけなのだ。 (たまにしてもらうとなぜか当たり前のことなのに礼を言っている私が居る、なぜだ?)
掃除はともかく、トイレットペーパーを補充するのも、使い終わって床に放ってあるロールを捨てるのも、TVを見ながら居間で使った電気かみそりを洗面所の所定の棚に戻すのも、テーブルの上で回りに水溜りを作っている彼のコップを戻し洗いテーブルを拭くのも、風呂で読んでぶくぶくになった新聞をため息をつきながら揃えるのも私で・・・・きりが無いほど細かい いちいち注意する方が面倒な様々なことはほとんど私の手にかかってくる。・・・・・・なら?その大部分に目をつぶってみるか?・・・その挙句散らかり放題の部屋にストレスを感じていらだつのは・・・私だけなのだから・・・割が会わない・・・丁寧な暮らしなんて・・・なんて遠くなったのだろう?
子供を育てていたあの大切な遠い時間の方が大変だったはずなのに、ストレスは無かったのだと・・・思い返してみれば不思議だ。
しかし読み終わってため息をついてしまった。 ひょっとすると女は一人になったとき、やっと丁寧な暮らしが出来るのかもしれない。
むきになって手を抜かなくても、一人暮らしの女は汚さぬよう使い、捨てる物はその時捨て、使った物は使ったら直ぐ元へ戻し、汚した物は直ぐ洗う・・・当たり前の事を当たり前に自分のリズムで生活できれば・・・その生活は丁寧といえるのではないだろうか?・・・・・その上季節の事を素朴に感じて・・・なんと、吉沢さんは丁寧な一人暮らしを美しく上手になさっているんでしょう。

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