ていねいな暮らし―ここちよい生活歳時記 ていねいな暮らし―ここちよい生活歳時記
吉沢 久子清流出版 2006-10
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吉沢久子著

私の母の世代の人と思う。 でも主婦として家庭に埋没しなかった女性のさきがけの一人というイメージがある。 多分TVかなにかでお目にかかっても居るはずだ。 働いている人ながら主婦のプロという感じも受けている。 先日新聞で「幸せになる長寿ご飯」という本の書評を見た。 急に母なるものに触れたくなったのだろうか?記憶の底の何かに刺激されてその本を予約したのだが・・・同時にこの本も予約して、こちらが先に届いた。
丁寧な暮らし・・・と言うものから実に見事に遠ざかっている・・・という認識が私にはある。
毎日夫と顔をあわせおなじ部屋で一日を過ごしている。
同じ時間が流れていくのに、そのはずなのに・・・実はそうではない。
掃除をするのも、食事を作るのも、洗濯するのも、彼が出したものを元に戻すのも・・・いうなれば言うのもあほらしいほどの雑事を全部するために行ったりきたり、立ったり坐ったりしているのは・・・私だけなのだ。 (たまにしてもらうとなぜか当たり前のことなのに礼を言っている私が居る、なぜだ?)
掃除はともかく、トイレットペーパーを補充するのも、使い終わって床に放ってあるロールを捨てるのも、TVを見ながら居間で使った電気かみそりを洗面所の所定の棚に戻すのも、テーブルの上で回りに水溜りを作っている彼のコップを戻し洗いテーブルを拭くのも、風呂で読んでぶくぶくになった新聞をため息をつきながら揃えるのも私で・・・・きりが無いほど細かい いちいち注意する方が面倒な様々なことはほとんど私の手にかかってくる。・・・・・・なら?その大部分に目をつぶってみるか?・・・その挙句散らかり放題の部屋にストレスを感じていらだつのは・・・私だけなのだから・・・割が会わない・・・丁寧な暮らしなんて・・・なんて遠くなったのだろう?
子供を育てていたあの大切な遠い時間の方が大変だったはずなのに、ストレスは無かったのだと・・・思い返してみれば不思議だ。
しかし読み終わってため息をついてしまった。 ひょっとすると女は一人になったとき、やっと丁寧な暮らしが出来るのかもしれない。
むきになって手を抜かなくても、一人暮らしの女は汚さぬよう使い、捨てる物はその時捨て、使った物は使ったら直ぐ元へ戻し、汚した物は直ぐ洗う・・・当たり前の事を当たり前に自分のリズムで生活できれば・・・その生活は丁寧といえるのではないだろうか?・・・・・その上季節の事を素朴に感じて・・・なんと、吉沢さんは丁寧な一人暮らしを美しく上手になさっているんでしょう。