ジェネラル・ルージュの伝説

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ジェネラル・ルージュの伝説 海堂尊ワールドのすべて ジェネラル・ルージュの伝説 海堂尊ワールドのすべて宝島社 2009-02-20
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海堂尊著
いやいや、海堂先生、肩透かしを食わされました。
堂々たる人気作家になられたんですね。しかも物凄く二足のわらじを上手に使いきっておられるご様子も十分窺われました。
いや、ホント、凄い才能ですし、多芸ですし、パワーですし・・・集中力の天才的持続力に関しては口をぽっかり開けてうらやむ意外にありません。
これだけ凄い速さで作家成果を上げてる一方でAI関連乃至本業の医師としての生活でも十二分に活躍していらっしゃる超人ぶりも、余すところ無く伝わってきたようでした。 ほんとに凄い!の一言ですね。 私は殆どの先生のご本を読破しているファンの一人ですから、文句を言うつもりは全然ありませんが・・・・・・でもでもでもです。
この題名じゃ、勘違いするでしょ? 後で気がつきましたけれど・・・確かに目次には・・・・・・海堂尊ワールドのすべて・・・・・と、書かれてありましたっ!    先生にしては、って言うか先生だからなのか題名のセンスは独特過ぎです。 速水先生の若かりし頃のお話がこの本一冊分十二分に教えていただけるものだと、手に取る前はワクワクしていましたのに。 え、速水先生、ここで終り?えー、ウソ、速水先生のことだからもっと話題、エピソードにはことかかないはずでしょ?あの頭脳、あの意志力、あの実行力、あのカリスマ性・・・えーこれだけ?これだけっか教えてくれないの? 思わず声に出してまでがっかりしました! 
映画の堺さんも、TVの西島さんも、私大ファンなんですから。こんな贅沢な配役をしてもらえる、あの速水先生なんですから・・・ため息しか出ない今の私です。

ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫) ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫)宝島社 2009-01-08
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ジェネラル・ルージュの凱旋(下) (宝島社文庫) ジェネラル・ルージュの凱旋(下) (宝島社文庫)宝島社 2009-01-08
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静子の日常

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静子の日常 静子の日常中央公論新社 2009-07
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井上荒野著

静岡生まれの静子さんを二人知っています。その静岡在住のお一人から「この静子さんあなたを思わせる・・」・とメールが・・・
どちらかっていうと彼女(静岡の静子さん)の日常だったら覗いてみたいけれど・・・と思いつつ・・・「どこが?」と興味惹かれて読んでみました。
で、で、それは無いでしょと、顔を赤らめています・・・っていうか・・・どこか欠片でも似ているところがあったら・・・ありえないけれど・・・光栄です。・・・っていうかなんでどこを見て彼女がそう思ったのか甚だ疑問です。
私の対極にある女性像が今心に投影されています。
この家族、実際のところ必ずしも理想の家庭ではありませんが・・・「実は理想の家庭です。 理想の家族です・・・」という印象を抱かされてしまいます。・・・その鍵は静子さんの人間像にあります。というか静子さんが暖かな目を注いでいる限り・・・大丈夫、いい家族だわ!
口出ししないと決めている(勿論、無関心なのではありません、それどころか・・・)息子家族に対する彼女のスタンスがいい教えになりそうです。   それは彼女の決して一筋縄ではいかなかったのに、一筋の柔らかい道を歩んできたように見せる彼女の生き方に秘密があります。  こんなに辛抱強く、こんなに信念に満ちて、こんなに頭が良くて、こんなに大らかに柔らかく秘密をも抱いて・・・才気煥発に生きてきた75年間に敬意を抱かされました。
諧謔というか自分の人生を客観視できる余裕というか理性というか暖かさというかしたたかさというか・・・ユーモアでしょうか?・・・がホント素敵!
こういう大人が各家に一人ほしいものです。それにしても面白く楽しくのどかにわらって読みました。いいひと時でした。
静子さんに小さな缶ビールで乾杯しましょう。そして暖かな目を持っているわが友人の静子さんにも! はい、努力します! つまりそういうことね? 子も友も褒めて育てよ!序でに夫も?

食堂かたつむり

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食堂かたつむり (ポプラ文庫) 食堂かたつむり (ポプラ文庫)ポプラ社 2010-01-05
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小川糸著

読書日記書いたまま放ってあったら、映画化されていつの間にか放映も終っちゃったようです。見に行くか考えていたんですが・・・今、余り傷ついていないので・・・。
これは参ったなぁ・・・!なんともなぁ・・・。疲れたときに行く温泉みたいなお話だった。勿論それはそれでいい!そこがいいんだ!
「喋々喃々」に次いでこの作家の二作目。三作目の「ファミリーツリー」は現在160人待ち。まだ三作しか出ていない。そしてこの人も伊坂さんと同じ世代の若い作家だ。
彼女の方が大分安易で少女っぽい分とっつきやすく読みやすいし楽だ。しかし、「喋々喃々」の主人公は痛みの上に他人の痛みも知った上で、もろい土台の上に自分の人生を構築していて・・・その危うさが・・・独りの女の子の生き方として肯えたが・・・。っていうか肯ってあげないといけないかなぁ・・・って感じ?
この作品の主人公は同じように傷を抱えて何とかして生きていこうとしていて・・・健気で・・・まぁ、うん、悪くはないんだけどねぇ・・・痛みを抱いて生きていく人がこんな絵に書いたように?助けられ、手を差し伸べられ、生きていけるはずは無いんだよねぇ。って、ちょっと待ってよ・・・と思ってしまう。資金を提供してくれる母も、料理への愛を授けてくれた祖母も、必要な時にいつも飛んできてくれる熊さんも、特別な材料を気軽に安価で提供してくれる近隣農家もめったに無いよ。でね、彼女位のキャリアでこんな料理こんな風に提供できるとは思えないよ。料理の神の特別な加護か天才を与えられているなら別だけどね。いえ、与えられてるんだってば。それでもね、こんなにうまく行くはず無いんだよ。営業ホントはなりたっていないでしょ?・・・などと思ってしまって、もっともだからこそ、こんな風に痛い人はお包みのようなこんな物語を読みたいんだね・・・とも思う。そうだよねぇ、差し出された温石!
でもとりあえず傷は自力で癒してきたのよ・・・という人に取っては(いや、彼女も自力でですよ、ある意味では)これはあまりにあまりだろう・・・羨ましすぎるじゃん!そういう意味ではこれは青春小説にもなりえない。泣いている子どもに語り聞かせるお伽噺だろうという気がする。居心地のいい場所だね。こんな風にとろかしてもらえたらまた明日立ち上がれるよ・・・と言う場合もあるだろう。だからこれはこれでいつかこんな穴倉に入りたくなった時用にお取り置きしておこうかな。
今、みんな甘えさせてもらいたいのかな?思いっきり癒されて、優しくなれて・・・それでどうするのかなぁ・・・?
 

重力ピエロ

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伊坂幸太郎著

ひょっとして、私は若返っているのだろうか?
最近読む作家の年齢がどんどん下がってきている・・・と、同時に?まさか!私の精神年齢が若くなっているのではないか?・・・と、思われるのは、その若い作家達の作品を本当に楽しんでいる、楽しめているからだ。
三浦しをんさん、三崎亜記さん・・・に続いて・・・またこの作家。海堂さんもいいな。
昔はどちらかって言うと評価の定まった古典になった作品ばかり読んでいたのに、残された時間が少なくなるに従って?若い作家の作品を読むようになってきたのはどういうわけだろう?若ぶっているつもりは無いんだけどなぁ・・・
この作家の作品暫く読み続けてみるつもりになっている。なぜなら・・・この作品の文章がとてもいい。素直で、上手い・・・そして旨い。つまり味もちゃんとある。・・・しかも映画化が続いているとなると・・・物語、筋もちゃんとしていて面白いのだろうか?・・・と、1作読んだだけなのに期待している。映画化といえばこの作品も映画を見たのがきっかけで予約したのだった。図書館でざっと検索したところ17・8冊文庫本がありそうだ。
柔らかに家族の内蔵する力を描いていた。この作品の文章の柔らかさが泉水の優柔さ温かさゆるさを内蔵している懐が弟の春の内蔵する鋭さを包んで家族の世界を暖かいものに昇華する様を描く最適の文章になっていた。
映画で見た父親は最強の父親に思えたが、二人が手を繋いだ時最強の兄弟になる。兄弟の絆が本では強く心に響いた。黒澤さん、夏子さん、会社の同僚たちまで、登場人物の異星人ぽさったら!
家族のお伽噺がフェアリーテールにとどまらない魅力を届けてくれた。素直に心に届けられたメッセージを感じている。それにしても痛みを骨の髄までしみこませている人間が優しくなれるか攻撃的になるかの岐路ってどこに、またはどんな時にあるんだろう?という疑問に一つヒントを貰った。                               小説を読む楽しみを汲むことが出来た。厭になっちゃうねぇ・・・こんなに若いのに。
 

しあわせ食堂

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しあわせ食堂 しあわせ食堂光人社 2009-10-10
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武内ヒロクニ+毎日新聞夕刊編集部

しあわせ食堂・・・まさにね!
とは思ったが、どちらかって言うと「なつかし食堂」が寄り近いかも・・・と、思った。
ヒロクニさんの絵にはポカンとしてしまったり、微笑ませられたり、びっくりギョウテンしたり、心底から妙な頷き方をしたり、でもまぁ意表を突かれることの方が多かったのだけれど・・・幼き日を思い出させられたのも確かだなぁ。
殆どの執筆者がというか食べ物を挙げている人が私の同輩から年長者だったからだろう。心情的に実に見事にシンクロした。新聞の書評でそんな気がしたから、図書館に予約したのだが、まさに的中! くすくす笑ったり、妙にほろりと共感を感じたり、親兄弟を久しぶりに身近に感じたり・・・読み終わって思わず旦那に「君と全く同じような人が居るよ」と声を掛けてしまった。
大体、旦那は私が進める本は手にしない!
最近の数年間での例外は「火天の城」と「のぼうの城」と「忍びの国」だけである。その旦那が珍しく?夜を徹して読みふけったらしい・・・肝心の私がこの感想録を書く前に彼がもう既に日記に上梓していることから見ても・・・共感の度合いの大きさが窺われるというものだ。
戦中戦後直後派の食に関する「欠乏・飢餓」の意識は・・・多分もう私の世代には無いのにもかかわらず・・・何故か分かる!のだ。
母や義母のバナナへの執着や旦那の魚肉ソーセージへの偏愛を思うとき・・・何か切なさみたいなものまで心に忍び込んでくる。
ソースや焼きそばとかアンパンとか心をくすぐられもしたのだが、紅生姜と白いご飯には泣かされた。
誕生日とか何がしかの記念の日に贅沢な食事をしたり、一生右肩上がりに増え続けている我体重を思うとき、妙に忸怩ともするのです。
 

桜花を見た

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桜花(さくら)を見た (文春文庫) 桜花(さくら)を見た (文春文庫)文藝春秋 2007-06
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宇江佐真理著

短編5作。ま、そんな事情で宇江佐さんが続きます。
この5作は少々長い。そう感じさせたのは2編「桜花を見た」と「別れ雲」この2作はなんていうか書きたいことがあって書いているというより書くために書き連ねた・・・という感じを受けたからかしら。主人公が迷っているのが・・・そのゆらぎを書くために費やす言葉が言葉に過ぎなくなって、そのために書いているような冗長さを感じてしまったのだ。
同じうっかりすると冗長と取られかねない長さなのに後の3作がそうはならずに読む満足感を与えてくれたのは、作家が書きたい人物を書いていたからではないだろうか?
「酔いもせず」のお栄は・・・北斎とお栄を描いた作品は何作か読んでいるが、この作者のお栄は画家としての意地と父への尊敬献身の間の揺らぎを書き込もうと奮闘しているのだという印象が迫ってきて、お栄の感情をかなりこねくり回しているにも関わらずなんだか痛々しく理解できるような気がする。お栄の人生、生きる道筋に愛情が持てる。
あとの松前藩を舞台にした作品はこの作家の作品としては重みが違う。
書きたい気持ちを感じる。特に「シクシピリカ」はいい。先日「たば風」の中の「錦衣帰郷」でこれだけの作品を書くなら徳内の一代記を書いてもらいたいと思ったくらいであるが、この作品は徳内の側からの彼の人生を描いて「錦衣・・・」を補筆している。・・・と、書いて・・・・・あれ?どっちが先の作品なんだ?と疑問に思った。作品の出来から考えると・・・「錦衣・・・」が後っぽいが。で、調べた。「たば風」05年5月。「桜花・・・」04年6月。
「シクシピリカ」を書いてから・・・やっぱり物足りなくて?意欲が湧いて?「錦衣帰郷」を描いたんだ。凄く納得!

相談屋マスター

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相談屋マスター (ランダムハウス講談社文庫) 相談屋マスター (ランダムハウス講談社文庫)ランダムハウス講談社 2008-05-10
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吉川潮著
なんか妙に普通だ!という気がして・・・おかしいわ、そんなはず無いのに・・・と思った。
普通、銀座でバーテンとして成功してホステスと結婚して離婚して一人息子を恋しく思いながら独立して店を持った男・・・というと、あんまり普通って言葉とは相容れないと言う気がするものだが。
しかしこの主人公相談屋と言われる男が醸す雰囲気、与える印象は「普通」。極々常識的な地道な男に思えるのが不思議。商売で成功する人って本当はこういうものなのかもねぇ・・・?
この作家の私にとっての最初の1作目なんですが・・・そういえば・・・と、思いだしたのですが・・・小路幸也さんの「東京バンドワゴン」・・・この作家の本もこれ1作しか読んでいないのですが・・・を、思い出しました。
あれもこれもまっとうに考えれば普通じゃないのに極々普通に感じられる作品なのです。
この主人公のマスターのいる店に常連さんが持ち込む様々な問題がある意味普遍的な常識ハズレ過ぎない?問題だからでしょうか。
相談に乗って解決にというか、いい方向に道を見つけるマスターが、不思議に本当に常識ある回答を見つけるからでしょうか。大体相談事はきっちり身を入れて聞いてもらえればそれだけで7割がた?解決したようなところがありますものね。
快刀乱麻なんていうお話ではなくて、うんうん日常っておおげさに話せばこんな風に語ってしまうような難問って多いよね・・・そう!そういう時はそんな感じで考えると・・・みんなにとっていいことだよね・・・みたいな!
で、ほっとして、幸せな何処か既視感があるような安心感が漂っているんだ。 だからほっとしたい時にこの本を引っ張り出せば、あの「東京バンドワゴン」みたいに安心して読めるよね。私の日常ではないんだけど、でも日常だよね・・・みたいな。素直で優しい本なんだな。

逍遥の季節

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逍遥の季節 逍遥の季節新潮社 2009-09-19
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 乙川優三郎著

この作家にはため息を付かされる。
本当になんだって何時もいつもこうなんだ?と、愚痴りたくなる。
物語・・・この作家が語ろうとする物語りも人も世界も皆・・・いってみれば・・・つまり私としては・・・キライではない。いやむしろ好きな・・・と、いっていいだろう。・・・と、思う。と、私もハギレが悪くなる。
その私以上にこの作家は歯切れが悪い。丁寧なんだろう、細かく細かく嘘なく描きたいんだなぁ・・・女性の心を。だけど心は結局描けない。本当は分からない。でも分かったように微細に顕微鏡で見てその分からない微細さをとらえどころの無い揺らぎを全部書きたいんだと・・・彼は頑張っている・・・?それが読んでいる私には少々手をかけすぎだよ・・・と、疲れる。
だって、周五郎さんも、周作さんもあんなに人を描いて満腹させてくれるけれど・・・こんな顕微鏡はつかわなかったもん!と、思ってしまうのだ。彼の緻密さが疲れさせる。人間皆そんな風に日ごと時間ごと秒刻みで揺れているのよ・・・当たり前じゃない。で、どう選んだか、どう一歩を踏み出したか、どう生きたか・・・でしょう?
情緒的な世界を描いているのだが、でもこの作家の真骨頂はその中での女性のゆれを描くところにあるのだから・・・まぁ、それを読ませていただこうか・・・と、苛々するのを承知で読むところがある、わたし。
文句言ってちゃバチが当たる。
この七作品の中の女性達はその中でも極め付きに人生の迷路の中にどっぷり居る。それでも彼女達には芯がある、強い。先だって朝日新聞連載「麗しき花実」で読んだ人々とお馴染みの名もちらほら、で、既視感・親近感もある。芸能芸術手職に生きようとする女性達。この時代に先駆ける自立した人になろうと足掻く女性達。しかもまさしく彼女達は先駆しているけれど、紛れもなく時代の女性達で・・・現代より生きにくい世をいきなければならない。それだけに心かき乱されて、応援したいのだけれど、甘い共感など拒絶される気がする。なぜなら彼女達は自分の心の混沌の中で十分すぎるほど逞しく足掻いているから。
「竹夫人」の奈緒は幸二と三味線の世界の踏み出せたし・・・、「三冬三春」の阿仁はぶれない画家への道を見出したし・・・、「細小群竹」のすずは重荷を負いながらも自立の業を身につけたし・・・「逍遥の季節」の紗代乃と藤枝の絆は明るいし・・・何とかほっとさせられたけれど、心が暗がりを見ているところで放り出されると・・・つらい。
すると、こんなに・・・分け入らなくてもいいでしょうに・・・と、また思う。
 

時代小説最前線Ⅲ

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時代小説最前線〈3〉 時代小説最前線〈3〉新潮社 1994-11
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16作家の16作品集
時代小説作家も16人集めると初めて読む作家も当然いるわけで、今回は山崎巌、羽山信樹、杉本章子、高橋克彦、鈴木輝一郎氏らです。
初めての作家の作品を読むのはワクワクします。それにしても時代物を書く作家がこんなに多いとは・・・嬉しいことです。
しかしこれだけ集めてあると時代小説といっても本当に実に様々ですなぁ・・・老残の鳥居耀蔵、今は聞かない相撲の決まり手由来、股旅物やくざの末路、勝海舟のある一面?忠臣蔵番外編?柳生物、長崎唐船見送役遠見番(と聞き慣れぬ)仕事人、吉原心中物、坂下門の変聞き書き?奥州胆沢城の陰陽師、霧隠才蔵と猿飛佐助忍者物、宮本武蔵外伝兵法物、長屋世話物・・・等々。
玉石混交、といってもそれぞれに工夫を凝らした作品群はなかなか選り取りみどりで面白うござった。しかも見事に殆ど20ページ程の作品。
量的にも読みやすいと言えば実に読みやすく、1話ごとに目先の変わる面白さはなかなかいいかもしれない。が、それは当然食い足りなさにも通じるのだけれど、この目先の変化が実に読んでいてあきさせない本になっている。集め方の勝利?
好きなのは「面影蛍」「いその浪まくら」「休眠用心棒」「霧の中」「絞鬼」「魔剣楽して出世する」かな。

千両花嫁

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千両花嫁―とびきり屋見立帖 千両花嫁―とびきり屋見立帖文藝春秋 2008-05
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山本兼一著

「利休にたずねよ」か「火天の城」を読みたくて・・・検索したら・・・待ちが長い!じゃぁこの作家の作品を一つ読んでおきましょうか・・・です。
まだ、余り作品は無いのですね。図書館には9作品しかありません。
しかも時代物ばかり。これが面白ければ楽しみが増えようというものです。
場所が京都三条大橋の近くといいますから東海道を上り下りする旅人の多い絶好の場所に、駆け落ちして店を張った骨董商(道具屋)という始まりから・・・ただ者ではないでしょう?こんな一等地に店を出せる駆け落ち者なんてねぇ・・・
それは何故か?どうしてそんなことが出来たのか・・・お話は面白くなりそうな展開です。1話ごとに道具屋ならでの薀蓄もあるし・・・それに登場してくる人々が又豪華絢爛? 坂本はん勝はんに近藤・土方・沖田はん、芹沢はん等新撰組の面々、武市はん、岡田伊蔵まで・・・幕末の京都ですからね?尊王も攘夷もあったものか、商売は商売!
からふね屋おかみゆずさんの父の京都屈指の道具屋さんがいかにこの夫婦を夫婦として認めていくか?時代の荒波の中、様々な曲者客にいかに対処していくか?この時代のこの場所での商売の方針と客あしらい、道具の品揃えの面白さ、寄せ集めの店の奉公人をいかに上手に使いこなし育てていくか・・・捨て子だった真之介の親は?一話ごとに楽しめるのですけれど、なかなかその一話一話が巧いのですけれど・・・ちょっと巧すぎなんですね?
ゆずさんは生まれたときからよい物を見ることで養われた物を見る目を持ち、捨て子として拾われた店で鍛え上げられ商売を覚えた真之介との組み合わせが見事すぎて・・・いえ、当てられすぎて?ちょっと妬けるから?こんなに巧くいっちゃうなんて・・・ちょっと話が上手すぎでしょう。ゆずさんの大博打も、真之介の大博打もうまく中って、道具も人も見抜ける眼力を養いつつこの夫婦はどんな時代になってもちゃんと巧く生き抜いていくのだろうな・・・と、最後には暖かく見つめたのでありました。
とまぁこういうわけなのですけれど・・・これ当然続きがありますよね?
こうして時代物シリーズは作られる・・・のお手本みたいです。
時代設定も商売も登場人物も最高に?面白くなる可能性大なんです。楽しく甘く?気楽に読めます。それでもやっぱり話が上手すぎと違いますやろか?眉唾眉唾でもあり、本当に続きが読みたいのか少々迷うところもありますが・・・。道具が人を育てるからふね屋の皆さんもですが、真の虎徹を手に入れたとき、道具に育てられて近藤さんも物になるのかもしれまへんなぁ・・・なんて思うてるこの頃です。

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