食堂かたつむり (ポプラ文庫) 食堂かたつむり (ポプラ文庫)ポプラ社 2010-01-05
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小川糸著

読書日記書いたまま放ってあったら、映画化されていつの間にか放映も終っちゃったようです。見に行くか考えていたんですが・・・今、余り傷ついていないので・・・。
これは参ったなぁ・・・!なんともなぁ・・・。疲れたときに行く温泉みたいなお話だった。勿論それはそれでいい!そこがいいんだ!
「喋々喃々」に次いでこの作家の二作目。三作目の「ファミリーツリー」は現在160人待ち。まだ三作しか出ていない。そしてこの人も伊坂さんと同じ世代の若い作家だ。
彼女の方が大分安易で少女っぽい分とっつきやすく読みやすいし楽だ。しかし、「喋々喃々」の主人公は痛みの上に他人の痛みも知った上で、もろい土台の上に自分の人生を構築していて・・・その危うさが・・・独りの女の子の生き方として肯えたが・・・。っていうか肯ってあげないといけないかなぁ・・・って感じ?
この作品の主人公は同じように傷を抱えて何とかして生きていこうとしていて・・・健気で・・・まぁ、うん、悪くはないんだけどねぇ・・・痛みを抱いて生きていく人がこんな絵に書いたように?助けられ、手を差し伸べられ、生きていけるはずは無いんだよねぇ。って、ちょっと待ってよ・・・と思ってしまう。資金を提供してくれる母も、料理への愛を授けてくれた祖母も、必要な時にいつも飛んできてくれる熊さんも、特別な材料を気軽に安価で提供してくれる近隣農家もめったに無いよ。でね、彼女位のキャリアでこんな料理こんな風に提供できるとは思えないよ。料理の神の特別な加護か天才を与えられているなら別だけどね。いえ、与えられてるんだってば。それでもね、こんなにうまく行くはず無いんだよ。営業ホントはなりたっていないでしょ?・・・などと思ってしまって、もっともだからこそ、こんな風に痛い人はお包みのようなこんな物語を読みたいんだね・・・とも思う。そうだよねぇ、差し出された温石!
でもとりあえず傷は自力で癒してきたのよ・・・という人に取っては(いや、彼女も自力でですよ、ある意味では)これはあまりにあまりだろう・・・羨ましすぎるじゃん!そういう意味ではこれは青春小説にもなりえない。泣いている子どもに語り聞かせるお伽噺だろうという気がする。居心地のいい場所だね。こんな風にとろかしてもらえたらまた明日立ち上がれるよ・・・と言う場合もあるだろう。だからこれはこれでいつかこんな穴倉に入りたくなった時用にお取り置きしておこうかな。
今、みんな甘えさせてもらいたいのかな?思いっきり癒されて、優しくなれて・・・それでどうするのかなぁ・・・?