相談屋マスター (ランダムハウス講談社文庫) 相談屋マスター (ランダムハウス講談社文庫)ランダムハウス講談社 2008-05-10
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吉川潮著
なんか妙に普通だ!という気がして・・・おかしいわ、そんなはず無いのに・・・と思った。
普通、銀座でバーテンとして成功してホステスと結婚して離婚して一人息子を恋しく思いながら独立して店を持った男・・・というと、あんまり普通って言葉とは相容れないと言う気がするものだが。
しかしこの主人公相談屋と言われる男が醸す雰囲気、与える印象は「普通」。極々常識的な地道な男に思えるのが不思議。商売で成功する人って本当はこういうものなのかもねぇ・・・?
この作家の私にとっての最初の1作目なんですが・・・そういえば・・・と、思いだしたのですが・・・小路幸也さんの「東京バンドワゴン」・・・この作家の本もこれ1作しか読んでいないのですが・・・を、思い出しました。
あれもこれもまっとうに考えれば普通じゃないのに極々普通に感じられる作品なのです。
この主人公のマスターのいる店に常連さんが持ち込む様々な問題がある意味普遍的な常識ハズレ過ぎない?問題だからでしょうか。
相談に乗って解決にというか、いい方向に道を見つけるマスターが、不思議に本当に常識ある回答を見つけるからでしょうか。大体相談事はきっちり身を入れて聞いてもらえればそれだけで7割がた?解決したようなところがありますものね。
快刀乱麻なんていうお話ではなくて、うんうん日常っておおげさに話せばこんな風に語ってしまうような難問って多いよね・・・そう!そういう時はそんな感じで考えると・・・みんなにとっていいことだよね・・・みたいな!
で、ほっとして、幸せな何処か既視感があるような安心感が漂っているんだ。 だからほっとしたい時にこの本を引っ張り出せば、あの「東京バンドワゴン」みたいに安心して読めるよね。私の日常ではないんだけど、でも日常だよね・・・みたいな。素直で優しい本なんだな。