時代小説最前線〈3〉 時代小説最前線〈3〉新潮社 1994-11
売り上げランキング : 1082538Amazonで詳しく見る
by G-Tools

jidaisaizensen3.jpg 

16作家の16作品集
時代小説作家も16人集めると初めて読む作家も当然いるわけで、今回は山崎巌、羽山信樹、杉本章子、高橋克彦、鈴木輝一郎氏らです。
初めての作家の作品を読むのはワクワクします。それにしても時代物を書く作家がこんなに多いとは・・・嬉しいことです。
しかしこれだけ集めてあると時代小説といっても本当に実に様々ですなぁ・・・老残の鳥居耀蔵、今は聞かない相撲の決まり手由来、股旅物やくざの末路、勝海舟のある一面?忠臣蔵番外編?柳生物、長崎唐船見送役遠見番(と聞き慣れぬ)仕事人、吉原心中物、坂下門の変聞き書き?奥州胆沢城の陰陽師、霧隠才蔵と猿飛佐助忍者物、宮本武蔵外伝兵法物、長屋世話物・・・等々。
玉石混交、といってもそれぞれに工夫を凝らした作品群はなかなか選り取りみどりで面白うござった。しかも見事に殆ど20ページ程の作品。
量的にも読みやすいと言えば実に読みやすく、1話ごとに目先の変わる面白さはなかなかいいかもしれない。が、それは当然食い足りなさにも通じるのだけれど、この目先の変化が実に読んでいてあきさせない本になっている。集め方の勝利?
好きなのは「面影蛍」「いその浪まくら」「休眠用心棒」「霧の中」「絞鬼」「魔剣楽して出世する」かな。