鬼の跫音

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鬼の跫音 鬼の跫音角川グループパブリッシング 2009-01-31
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 道尾秀介著

道尾さん5作目。意識してホラーと書かれた物は外しているのだけれど、
この作品は微妙だなぁ・・・。私はホラーだけは苦手。で、この作品の底に漂う背筋を這い登るようなおぞましさはホラーの匂い。とは思うものの、それでもやはりただのホラーと言い切れない何か違うものも併せ持っている。
なんなんだろう・・・厭なもの読んでいるよ・・・と心の中の声は小さく呟いているのだけれど、目はどんどんどんどん吸い寄せられていく。
確かに怖いもの見たさに似ている。って言うかそのものなんだと思うよ・・・と、認めたくなく頷いている。帰りたいけど足は前に進んでいるみたいな?悪夢に近い。
「S」だよ。ウン、又「S」だね。ああまた「S」だよ。「そろそろSが何か考えるべきだよ。いや、いいんだよSは統一感、既視感、永続する悪意の象徴なんだから。余計なもの付け加えなくて良いんだよ。それその気持ちが余計なものじゃない。」ぼやきながらの読書です。
Sは人の底に棲む狂わせる暗黒の物を引き出す触媒のようなものかと思いながらSに囚われました。でもそれは枝葉です。
6作。どの作品の題も余り良い感じを受けません。開いた時にケモノ「犭」の字が真っ先に目に飛び込んできて「鈴虫」も「よいぎつね」も塗りこめてしまいました。そしてその印象は読み終わった読後感をあらかじめ教えてもらったようなものでした。全ての作品が心に棲む「犭」を描いているのだと思いましたから。
「ケモノ」や「悪意の顔」は道尾さんらしい?「今」が匂っています。
実際こんな事件が後を断たない今があります。やり直す時を与えない社会があります。一刻も無駄に出来ない(と思われる?)限られた時を生きる人々。それなのに実際には人に充実した時を与えない世に住んでいる。やりきれない。その気持ちにSが注がれる・・・と・・・。
「冬の鬼」に漂う耽美性は見覚えがあります。私達の世代には懐かしさも感じられます。「よいぎつね」には輪廻の空恐ろしさが漂います。ここにも記憶の襞をゆする何かがあります。そこには若い作家にとって新しい道を探る手がかりがあるのかしら?とも思えました。
芽を出さないで終る種もたっぷり持たされて人は生まれてくるのかもしれません。芽を出さないで終る種は哀れなのかしら?安らかなのかしら?水をやり光を当てる種を見きわめる目が欲しいものです。
心を目の詰んだ網で浚ってみると(この作家のこの作品はそんな感じです)この正反対の何かをも引き上げられるのではないか・・・と、思えてきて・・・次回作は振り子がそっちに振れてくれると良いのになぁ・・・なんて思ったのです。

利休椿

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利休椿 利休椿実業之日本社 1997-05
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火坂雅志著

短編7作。秀吉統治下の頃の今で言う「アート」な人を題材にした作品集といえるかもしれない。
「山三の恋」は名古屋山三郎、名古屋山三と言えば阿国歌舞伎、てっきり阿国との話かと思いきや、もう1方の伝説?秀頼の父?の方。化かされ物の系譜。目新しくなくてちょっとがっかりだけどこの手の話は好きだなぁ・・・と、読み進む。
「関寺小町」は能の演目に関わる家元と一子相伝などの葛藤
「辻が花」は染師の秀次事件に絡んでの片恋
「天下百韻」は連歌師里村紹巴の成り上がり振り
「包丁奥義」は大草流に挑む懐石膳の工夫をする包丁人の物語
「笑うて候」は曽呂利新左衛門と落語の祖といわれる安楽庵策伝の話
表題の「利休椿」は茶花として欠かせなくなった椿、紫にこだわる利休とその椿の花作り又三の悲恋。
各物語は短かったが、一番絢爛だった頃の秀吉の時代を背景に、秀吉、北の政所、淀殿、千利休、光秀など、登場人物も華やかならば、それぞれの芸術に携わる個性というか異能というか複雑な人々の生き方、その生き方に巻き込まれた人々を描いて興味深い物語集。巨大な権力者が統治する時代には絢爛と花開くものが多い。その花の幾つかは徒花になるのかもしれないが連綿と続いて今なお私達を豊かにさせてくれるものも多い。その花のために自分を貫いた人たちの話とも。
関寺小町もそんなに難しい演目だったのか・・・と今度何処かで演能されることがあったら見てみたいと、とても好奇心をくすぐられた。芸術家のねたみは怖ろしく粘着性がある。どんな怖い情念を描いた演目よりも演じる人の方が怖い?妻の哀れ、一子相伝とか家元制度とか、厭なものだと常々思っているが・・・。
光秀の最後の連歌の催しは世に広く知られているが、紹巴の今の俳句というものから想像も出来ないほどの権勢を目指す成功志向の余りの強さ、その人格の灰汁の強さには辟易とするくらいだが、その強さにはまた妙に感服させられもする。一つのものに秀でるにはなんと強さが必要なことか。命を賭け、まわりの人をも巻き込み踏み潰し・・・ようやくものは成る!
面白い作品集でありながら、枯れる万骨の1骨に過ぎない私にとってはどこか素直に楽しみにくいところがあった。文人がただの文人でいられない、職人がただの職人ではいられない時代が切ない。

六月の昼と夜のあわいに

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六月の夜と昼のあわいに 六月の夜と昼のあわいに朝日新聞出版 2009-06-19
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   恩田陸著
あらゆる小説の形式と、恩田作品のエッセンスが味わえる小説集。フランス文学者・杉本秀太郎による詩、俳句、短歌に秘められた謎と、新鋭画家によるイメージに誘われた、摩訶不思議な小説全10編を収録。と、あります。気をそそられるでしょう?

題がいいですね、夜と昼のあわいですよ、それもあの?六月の。濃厚なじっとり重い夜に昼か・・・。短編10作。しかし見事に20ページづつなんですね?最初の「恋はみずいろ」から当然読み始めます、ね。
それで、この本に好感を持ちました。杉本さんの作品?がどういう関係を持つのか良く分からないまま・・・この方は妙にフランス風調味料濃厚国粋型みたいなイメージ?よく知らないくせに無責任に言っていますが・・・結論から言えば私にはこの冒頭の1ページが本編の必要ではないという感じでした。作品を重層にしているとか奥行きを深くしているとかインスピレーションの源であるとか・・・いう感じはしなかったのです。「あわい」という言葉のためですかねぇ?
「約束の地」を読んでゴーギャンみたい・・・と、思って冒頭に戻ったら杉本さんのゴーギャンの歌。これだけは関連していたんだ・・・と。
むしろ挿絵の方がインパクトがありました。まず絵に引っかかって、作品に出かけていったという感があります。不思議なコラボレーションでした?
さて、この短編集最初の1作で感じた好感は次の「唐草模様」で、ちょっと待て!いやこのまま油断して読んでいってはならないような?
それでもまだこの作品は私の中に滑り込みました。
次の「Y字路・・」は好きですね。ルポ風な表現に乗ってその世界にするっと入り込む楽しさがありました。次の「約束の地」のゴーギャンはすぐイメージ浮かびましたが、私はあの絵が不快です。あの色、あの厚みに落ち着かなくなります。で、この作品にもその感じが濃厚でした。
そして、また「酒肆ローレライ」これも「Y字路」に共通した部分があって、より濃厚に情緒的でもっと好きですね。この世界紛れ込んで見たいのですけれど・・・こういう時って私には訪れないという確信がありますね。そこが私の人生の欠けている所なんです。
「窯変・田久保順子」はパターンです。星新一さんに限らず思い浮かんでくる作家がいそうです。類似の作を思い出せそうですし、ありきたりな感じがしますが、それでも面白く読めました。世界ってそういうことに満ちているといえばいえるさ・・・そんなもんさね。でもこうして消えていく命が実に多いのですから重いです、つい現実足元見えてしまいます。いえ、見ちゃうんです。
残りの作品は私には気持ちがよくなかったとだけ記しておこうと思います。忘れたいのです。そのほうがいいな、うん。

アイスクリン強し

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アイスクリン強し アイスクリン強し講談社 2008-10-21
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畠中恵著

この本は作家を知らずに読んでも多分誰か想像が付きそうです。
自分の世界を築きあげるって凄いことです、しかもそれが気持ちのいい世界であるとなれば・・・
というわけで、しゃばけシリーズの作者のちょっと現代に近づいた明治が舞台の青春群像シリーズ?みたいです。この主人公たちもシリーズ化されるのでしょうか?出来そうな入り口です。
「さびしがり屋でお人よし」の主人公とおきゃんで利口な金持ち娘と頭がいいが調子もいい巡査の親友とその仲間達。
個性はちょっとパターンながら?でもいいんじゃない?青春時代を真っ直ぐに生きている情けも心意気もある青年たちなんだから。それにマドンナが入れば・・・なんとも楽しげな応援したくなるようなグループですもんね。こういう青年たちとスウィーツ(彼らはこんな括り方知らないと思うけれど)が結びついたら鬼に金棒。若旦那と三春屋の和菓子が最強コンビ?なのを、ここでもちょっと踏襲?
時代設定が変革期とはいっても、その時代に特別に抗うのでもなく、なかなか融通も利き目端も利く活きのいい青年たち・・・何時の時代もこういう青年達が結局は時代を作るのかもね。
序章で提出された謎は・・・忘れられたかに見えますし、どだい解けるはずの無い難問そうに見えて・・・お話そのものが解決へのそのものずばりのアプローチという展開もわかりやすい。物語にはかなり悲惨な?あくどい?筋立てが噛まされながら主人公たちの持ち味と後ろからほのかに香るアマーイ洋菓子の佇まい?が心地よいハーモニー。今現実にワッフルスが熱い!し。
序で明治への時代の移り変わりを見てきたように?箇条書き?にしてくれますが・・・若い読者には親切かもね。
 

江戸市井図絵  時代小説の楽しみ(5)

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時代小説の楽しみ〈5〉江戸市井図絵 (新潮文庫) 時代小説の楽しみ〈5〉江戸市井図絵 (新潮文庫)
縄田 一男新潮社 1994-12
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18作18作家

「時代小説の楽しみ」全7巻の家の5。縄田一男編・新潮社。

「全7巻の中から、とりあえず市井もの主体の作品群を選んでみた。
縄田さんという人が何者かよく知らないが、時代物の本を探していると結構この人の編というアンソロジーに突き当たる。多分?時代小説専門の評論家か出版社の編集者か何かだろう?
読み終わって彼の解説を読んでみたが、ま、頷けるものもあり・・・そうでないものもあり。好きな本をいっぱい読んで編者になって解説を書いている仕事って妙に羨ましい?解説者とか批評家とかいうお仕事って嫉ましさ募って?反発も受ける仕事だろうけれど・・・これだけうまく品評できる人が作品を作り上げられないって不思議だ・・・と、常々思ってもいる。
スポーツの世界なんてもっとそれが著しいけどね。
「父と呼べ」「ちっちゃなかみさん」「こんち午の日」は既読。しかも好きな本ゆえに別格。殆ど掲載の作家の作品は何かしら読んでいるが、馴染みの無いのが伊藤桂一さんと小松重男さん。小松さんは何かのアンソロジーで「蚤とり侍」1篇を読んだ記憶があるくらい。
それぞれに面白く読んだけれど別格以外では、やはり柴田錬三郎さん、池波正太郎さん、北原亜以子さん、山手樹一郎さんの作品が巧いし面白い!私が好きだと思う作品は結局終りの口当りのいいものなんだ・・・単純なんだと思うけれど、こういう短い作品を読んでいちいち苦い思いを噛み締めたくは無い。特に時代物には娯楽を求める傾向がある。
さもなければしっとりとした時代感、人間関係がもたらす哀感の中の温かみを感じさせてもらえるもの・・・に傾く。
そういう意味ではこの作品群は皆かなりいい線で纏まっていると思ったけれど、「浅草小町・・・」には厭な後味が残った。全ての人が自分に正直に生きたらどうなるんだろう?一途とか必死とか夢中、盲目、若い時って生きるのが難しいのね。あおりを食う多くの人のことがないがしろにされているような気配を感じ取ったから・・・厭なのかな。
「母子かづら」もやはり心の通じ合いが無い小説で、読んでいて心がじっとり重くなった。こんな母も娘も、こんな生き方も読みたくは無かったよ・・・とぼやいてしまった。
同じく「江戸前にて」も哀しすぎて。
「代金百枚」は面白い味わいがあった。主人公も長屋の人々も医者もそれぞれの持ち味が面白く綯い交ぜになっていて、「蚤とり侍」より良かった。
江戸っ子の始まりから明治の初めまでに渡る江戸の庶民の生きようを描いた作品をまぁ・・・巧みに集めてあるなあ・・・と思いました。
いつか「江戸っ子由来」朗読してみるかなぁ・・・。

イノセント・ゲリラの祝祭

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イノセント・ゲリラの祝祭 イノセント・ゲリラの祝祭宝島社 2008-11-07
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海堂尊著
やっと、やってきました。・・・というわけで完全にこの人脈に絡め捕られてしまった私です。仕方ないやね? お馴染みの知人たちが右往左往しているのだもの。この作品は時系列のどこに填まるんだ?なんて思いながら・・・どうしたって気にならないわけにはいかない。
こんなに簡単に?世界を作り上げてしまっていいのだろうか?と、思いながらすっかりその世界の住人になってしまっている?気がつけばもう10冊も読んでいるってこと?そしていっぱしに医療と厚生労働省のあり方に疑問と不安を掻き立てられて、意見まで持ち始めているのですよ。いるのですよ。
今回は先回の「ジーン・ワルツ」のように小説を読んでいるぞ!って感じではなかったのですけれど、作家さんが言いたいことは箇条書きで並べられた以上に実によく理解できたと思いますよ。そう、このコミカルに造形されたおなじみの人々がどんな現実を見せてくれるのかと興味津々です。
形態的には「ジーン・ワルツ」のようなの好きですけれど・・・
とにかくしょっぱなの目次と登場人物の羅列には驚きました。
「えらいこっちゃ!最近脳軟化症!この膨大な登場人物たち、ちゃんと私の脳が捌ききれるかしら?交通整理が大変そう?」って、懸念・・・読み始めたら直ぐ吹っ飛びました。例によってこの作家の恐るべきところは登場人物の設定というか表現の実に巧みな?個性付け!
おかしな渾名、それぞれの表情の見事なレリーフ。一人一人が直ぐに頭の中に定着します。それに定着しなくてはならない人物は主に数人。それもあらかたは存じ上げていますし。麗々しく登場人物と書き連ねられていても、ほんのちょい役さんも。でもこれだけきっちり紹介されるということは・・・この厚生労働省がらみのAi導入問題の真の解決までにまだ数作上梓される可能性があるということでしょうか?
厚労省の会議は踊り続けるのでしょうか?(踊ってくれればこちいのもの?)
とりあえずエイアイ導入は既定の事実になったのですよね?
なにしろ白鳥さんが絡むとコッチの頭も混乱するので・・・。しかもあの鵺のような知識人の会議!世の諮問会議というのは本当にあんなものなのかも・・・背筋が凍ります?
それにしても解剖というものに絡む警察司法医学の混乱は全く私には異次元の問題のようですが・・・病理と絡んでくるとやっぱり妙な不安が生じてきます。なんにせよ問題が大きくて、単に医者不足を嘆いていれば済むっていう状況じゃないことは分かりますし。
なんだかこの作家の本を読むと妙に追いつめられて何かできることは無いかしら?と、頭の中が右往左往してついでに体の方までなんかガタガタしてしまいます。楽しくおかしく読んだのにね。
 

海軍主計大尉小泉信吉

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海軍主計大尉小泉信吉 (文春文庫) 海軍主計大尉小泉信吉 (文春文庫)文芸春秋 1975-01
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 小泉信三著

8月ですね。(ブログに乗せるのが遅くなりましたが)この時期、結構、戦争・原爆の本を朗読なさる人がいます。
先日も林家三平さんのお母様の戦争疎開の頃を書いた本を朗読した方がいまして、聴いていたらこの本を思い出しました。
初めて読んだのは何時だったのか?父の本棚にあったのを読んだのだから中学生?高校生の頃だったか?
あの頃もの凄く感動した記憶が、細部も朧になった今でもしっかり記憶に残っています。「火垂るの墓」とか絶対二度とお目にかかりたくない・・・辛すぎるのだもの・・・というのもありますが。もう一度読んでみようと思って図書館で探したら、意外なことにありませんでした。
小泉さんの全集の何処かに入っているのかもしれませんが、カウンターで相談したら他の区の図書館から借りてくださるそうで・・・新宿区の図書館から回ってきました。ありがたいことですね。
昔読んだ時は父と息子の心の交感とでも言いますか、思いの節度ある表現に物凄く感心したんだと思います。なんて、素晴らしい父親と息子なんだろう。そしてどうしたらこんなに素直にその思いを表せるんだろう・・・それは不思議なくらい素直な心に思えました。
親子の間に流れる交情愛情がなんとも奥ゆかしく美しく、生まれたからにはこんな親でありたい、こんな子でありたい・・・そう涙しながら読んだものだったと思います。
今読み返すと、その思いには変わりありませんが、あの世界、彼らの住んでいる世界と現実の多くの赤紙に取られた兵士たちとの境遇との差を思わずにはいられませんでした。
なんという優れた世界に育まれたなんという選良だったのか?という思いが心のすき間に萌していました。
満ち足りてこそ礼節は知られるのだと。当時より格段と豊かになった国にあってさえ礼節は失われていく一方だというのに。あの頃の小泉家の人々には普遍にあった知性と感性はどこに失われたのでしょう。ひょっとすると戦争で失った物はかの家において日常化していた日本の美わしき家庭生活、精神的豊かさだったのかもしれない・・・とも思えました。
戦争初期で亡くなった方はある意味恵まれてもいたんだなぁ・・・。 戦死にさえも幸不幸があるようなやりきれなさも感じられたようでした。

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