おひとりさまの老後

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おひとりさまの老後 おひとりさまの老後
上野 千鶴子法研 2007-07
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上野千鶴子著

「おひとりさまの老後」読んだ?と聞かれましたから「ああ、売れているらしいけど・・・読んでいないけど・・・」と、歯切れ悪く答えました。読んでいない本を腐すのはいけません。
「読み終わったから貸してあげる」「面白かったの?」「面白かったよ」「今読む本いっぱいあるからいいわ」お断りしたつもりでしたが・・・次に会ったとき渡されました。読むっきゃない?
なんとなく後ろ向きだったのは作者さんの経歴をなんとはなく知っていたからかなぁ?私より年上の方としては余りにお仕事の分野で一流過ぎやしません?おひとりさまはお一人様でも彼女の言うおひとりさまと私がなるかもしれないお一人様との間には越えられない溝がドッカーンとありそう・・・でしょ?読む前から感じちゃう。
着々と一人の老後を迎えるつもりで準備を進めてこられた方とうすぼんやりとでも家族の傘の下でぼーっと暮してきた私とでははなっから覚悟が違う?この分野では(‘この’だけでは無いかもしれないけれど・・・)すでにして勝ち組と負け組み?なんてね。
そしたらのっけから結婚生活を続けていらっしゃらないご自分を負け犬とおっしゃっているではありませんか。ほう、そう来ましたか?
確かに準備おさおさ怠り無く!過ごしてこられただけに、なかなかのソフトの充実振り!感服しました。しかも何度もおっしゃるとおり、こっちは「子供はいても・・・」の世代で夫がいるから「準備も遅れ・・・」の来し方で、亭主が定年迎えて友人ネットワーク構築にもまさにヒビが入りかねない現状・・・のご指摘どおりの遅れをとった負け犬状態。
後はお金?ご指摘どおりにそう思いますが、それもご指摘どおりの有様!だから読むのいやだったのよ・・・と、ぼやきながら、読了。
しかしまさかこの方に限って・・・多くの未婚で着実にネットワーク作りにも、資金作りにも着実な成果を上げてこられたほかの方々とは違って・・・結婚生活なんか維持しちゃって、同居という罠に落ちそうな立場の人を、見下してはおられませんでしょうね?と、なんだかいじけてしまったところでございます。なんだか「末は皆お一人様」という宣告の陰には高らかに‘未婚勝ち組オーラおら’ファンファーレが漂っている気配。
実際役立つソフトはあるし、なるほどと頷かされるところはあるし、石橋叩いて万全策かと感嘆もしたけれど・・・でもいちいちいちいち・・・ま、いいか。
だって、何を言おうとも、上野先生には理論武装に隙は全くあろうはずが有りません。どんな反論にも!気分にも?絶対確実な答えが待ち受けていることは確かですものね。全方位十重二十重四面楚歌?って感じ。
この本貸してくれたがった方はお子さんが無く10も年長のご主人がおありです。立場によって、一人一人、役立ち方も棘の感じ方も違うかもしれないわねぇ・・・しかし確かに、やな感じ!

ずらり料理上手の台所

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お勝手探検隊マガジンハウス 2007-09-20
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お勝手探検隊編

正直なところこの本が見たいなと思って図書館に予約した時、こんなのが(失礼)百数十人も待つとは夢にも思いませんでした。
人の台所に興味津々な人って結構いるのですね?
「家政婦は見た!」じゃなくとも・・・?
他人様の台所は宝の山です。
時々友人の家になど行くと凄いヒントが降ってくることがあります。
でも、私の平凡極まりない台所は余り他人様のお役にはたたないだろうな・・・と、忸怩たる思いがあります。・・・した!でも、この写真集を見てこれでもいいのだとほっとした思いもあります。
この料理上手と呼ばれている人たちのお料理、食べてみたことはありませんから、その点「はてな?」マークつきですが、お台所は楽しめました。写真も美しくって、センスに溢れていましたから・・・それでカバーされた部分も?
料理上手は台所の整理整頓も上手!と言うのは思い込みだったようです。要はその人が使いやすいか?ということだったのですね。
その点では私の無様な台所も私には使いやすい!と言う1点でそこそこ優秀です?乱雑さも含めて。
何よりどこに何があって何の時はどこから何をサット取り出せるかってことがすべてです?
色々なものが実に様々に見えるところに全部出ている台所もあれば、こんなにコンパクトで本当に料理しているのかな?と思うのまで実に様々なようです。
私も転勤で9軒の家に住みましたから9の台所生活を経験したわけですが、どこも住めば都で?1ヵ月後には使いやすい台所になっていましたね。私の特技は柔軟性?染まりやすい?いい加減?ですか。
でも忘れられない台所が二つあります。
23歳まで過ごした実家の台所と、私が実際設計して作った我が家の台所です。一つは母と並んで過ごした懐かしさの甘いオーラに包まれていますが、後のは売り払った時点で泣きたい位惜しい台所でした!大好きな向日葵色のタイル張りにした出窓が今も惜しくてたまりません。
今の台所はそこそこ憧れの初めての対面式だと言う点で評価していますし、旦那と二人だけの調理をするにはうってつけの狭さが気に入りです。
ただ出窓が・・・ないんですね。これも憧れの譲れないものの一つではあったのですが・・・はずでしたが。もう諦めが付きました。何にでも人は慣れる?
こうして色々な人の台所を見ると、確かに台所はその家の家事担当者を映す鏡なんですね?この本の中にすんごいシステムキッチンなんかがなかった(ひとつ、「みたいの」があったかな)のが嬉しかったな。ぱらぱらめくるたびに楽しくて、図書館に返すのが久々に惜しい本ですよ。

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この黄色、私の作った台所と同じ色なんです!
懐かしい!母の台所とは違うのに、母を思い出させる台所です。

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これも懐かしい感じがするのですが、右の方は東京暮らしではゆめゆめまねてはいけません。地震の時・・・?

カシオペアの丘で

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重松清著

「イヤダナ・・・いやだな・・・厭だな・・・」と頭の中でズーッと思いながら、なんとか読み終えたという感じがしました。
「幼馴染み」というキーワードに背負わされた重さと言ったら・・・
この関係にこれだけの重さを負わせていいのだろうか?いかに濃密な関係だったとしても?
これじゃぁ余りにこの関係がきついじゃないか・・・
幼馴染みのいる全ての人が自分の子供時代を思い出して・・・時間が限られている時に、追い詰められた時に、その思い出から優しさを目いっぱい汲み出そうとしたら・・・んなことはありませんね。
「これは夢物語です。」と念を押して心を宥めてあげたいような気分です。
「時間がいっぱいある」とすら思わないで普段生きています。
気が付かないうちにこの世で私はもう60年をぼんやり過ごしてきてしまいました。
特に誰かに何かを期待しないで(意識しないで)・・・でも普通の通りすがりの、袖摺りあった、友情を感じた、愛情を持った・・・人との間に通う気持ちはそれなりに大事にして。故郷への思いもまた同じです。
でも、期限が切られたら、明日が必ずしも来ないと知ったら、私はとてつもなく周りの人に故郷に期待し、要求し、採り尽くすのかしら?やはりそれにすがって足掻きまくるのかしら?
人は思い出から搾り取るのかしら?そう出来るのかしら?そしてそれは他人まで巻き込めるのかしら?その他人に「幼馴染み」という冠を被せたらなお更に?切れた絆を結びなおしても?そういう時が訪れたら人は自分の過去にしがみつくのかしら?それとも過去のほうから赦さなければいけないこととか、強くならなければいけないこととか、「色々あるでしょう?」などと働きかけをしてくるのかしら?過去は過去でおいておきたいでしょ?しまい込んでおきたいでしょ?違うの?
ミッチョとトシとシュンとユウちゃん・・・その記憶だけで本当は終ったはずのものだよね?でも悲しい事件が起こって、死病が宿って・・・過去は優しさと許しを汲み上げられる井戸になってしまったかのような。
過去にそんなに期待しないで、長く遠ざかり忘れたと思っていた人にそんなに期待しないで・・・と、思っていた私はヒョットするととてつもなく心が淋しい人なのだろうか?なんて厭な気持ちにさせられたりして。既に死んだトシの父母や炭鉱で亡くなった人たちも引きずり出して過去は反芻されつくして・・・そうすると優しさが生まれるのだろうか?私は怖いと思ってしまった。
幼馴染みのあの顔この顔・・・4人が紡いだ幼馴染みの時は、たいていの人にもあるにはあるだろうけれど・・・イヤこれはどうかな?やりすぎじゃないか?やらされすぎじゃないか?
思い出してしまった昔の幾つかの顔にとりあえず心の底で「元気でいてくださいね」と、呟いてみてはみたけど・・・
殺された少女と家族の話を上乗せすせることで生み出した苦しみまで被せてまでも・・・「赦し」?
語り手が変わるたびに語る人がどんどん優しくなって、感傷的になって、人の心を際限なく分かってあげていく?そう思われてしまうことに抵抗がある人はいないの?いてもいいでしょ?
私がシュンだったら・・・今いる周りの人と過ごすことで手一杯かもしれないなぁ。赦したいとか赦されたいとか思うことがないからかなぁ?大きな重い過去がないと優しくなれないのかな?それもイヤだな。心ってガラスの優しさ?本を閉じたら「フラジャイル」と大書してあるかも。
この本を読んで癒された許されたと思う人って多いのだろうか?心が洗われて優しくなれたと思う人って多いのだろうか?そう自分に問うて、多分多いのかもね?と、答える。
人が一人亡くなるということは周りの人にそれだけ重いことだということはよく分かるけれど。普通に成り行きで葬れないものかしら?おーやだ。

気になる部分

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気になる部分 (白水uブックス) 気になる部分 (白水uブックス)
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「気になる部分」  岸本佐知子著

「時間が出来たら何を置いてもこの作家の作品を読もう!」と前作を読んだ時決意しましたが、実行しました!
図書館所蔵では翻訳作品以外はこの作家の作品はこの2冊しかないのです。
だから次に読む本を予約できないのが残念です。
それにしても、困ったなぁ・・・
素晴らしく魅力的なおかしな自分を見事にしっくり魅惑的に笑えるように書きあげることの出来る人ですよ!
でもお終いまで読んで彼女が「翻訳した作品も読みたい!」という気にはならなかったのが不思議ですが・・・なんかなぁ・・・本当に同類?
彼女の二冊に感じた同類感は確かなものですが・・・このまじめで面白みのない私に言われても・・・って、私も思いますが・・・底の底には人間色々なものを抱えていますからね、分かってください。
翻訳作品も彼女と同類人の作品なのかなぁ・・・読むのきつそうな印象も感じましたが。読まないと大失敗かも?
そういえば、寝ようと思って目をつぶった時、直ぐに眠れそうもない気がする時、私は目のもうひとつ奥のまぶたを開けます。
ところがどうやっても開くのは右目だけなんですね。左目の奥は開かずの扉に護られているのです。
そして開いた方の右目の奥のまぶたを開けると日替わりで色々な映像が展開します。それは・・・極彩色だったり墨絵だったりそのときそのときなのですが・・・絶対知らない物語が展開したり、全く会ったこともない人がにんまりしていたり・・・それをはてな?とじっと見定めようとすると見事に眠れるのですね。あの絵を岸本さんだったら実にうまく表現してしまうんだろうに・・・。
頭の中や心の中や無意識下の意識をナンデこんなに書き尽くせるのか・・・その才能はどうして育まれたのか?羨ましくて妬ましくて悔しいなぁ・・・!

でも絶対違うのは・・・彼女だったらこんないい加減な、不ぞろいのコピーはくっつけないってとこ。
 

犯人に告ぐ

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犯人に告ぐ 上 (1) (双葉文庫 し 29-1) 犯人に告ぐ 上 (1) (双葉文庫 し 29-1)
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 雫井脩介著

もう一気読み!
その勢いで旦那に「凄いよ!」と言ったら、旦那も翌日から一気読み!図書館で何百人も待っていたら、その間に映画化までされちゃったようですね?映画は見ませんでしたが、どうだったんでしょう?
あのスリリングな最近流行りの劇場型?映画劇場に上手くマッチしたのでしょうか?湾岸署みたいに?相棒劇場版みたいに?
読み終わって、これは読んで、畳み込んでナンボ!っていう類の小説。読んで呻ける醍醐味がすべてっていう類の作品って気がしましたが?読む私たちの方が劇場型にはもうなれているのかもしれませんね。警察OBのコメンテーターなんて今更目新しくも無いのですから。そういう意味ではこの捜査方はもうお馴染みかも知れません。
ですからこの物語の場合、何より主人公が感情移入しやすい理解できる冷静な常識人っていうイメージを持っているのが強みでしょうか。何をしても、どんな場所に置いても、納得できる知性も理性も実行力もあって、仕事人間だけどそれを家族に受け入れてもらえるだけのフォローも出来るタイプの人間?それだけで尊敬できちゃいますものね。
つまり主人公の巻島がとても好感が持てる人物だったってことがこの物語の口当たりをとてもよくしているということを最初に書いておきたいです。こういう主人公を生み出したことでこの作品は成功したのだといいたいくらい。実際は彼が失敗を踏まえ、その失敗の中から不死鳥のように逞しく甦ったという設定そのものが読者には嬉しかったのです。
「ワシ」の事件が後味が悪く残っていたからこそ彼の身を捨ててもの覚悟を産み、それがTVでの生々しい目に見えるような事件の進行に緊迫感を与え、読む方にそれで?それで?と先を先をと言う欲求が生まれ・・・という連鎖に繋がり・・・つまり夢中で読んでしまったのです。
横山さんの心理的緻密な警察ものとは一線を画していますが、ある種の息もつかせぬ緊張を生み出した面白さという点では決して劣らないでしょうね。
この劇場型犯罪というセンセーショナルな場面を構築し、エンターテインメントとしてより面白く出来たのは、巻島に対する大悪党曽根と小悪党植草というキャラクターを重層で配したからでしょうか。
パージされた植草、全く怪我をしなかった曽根、いずれにしてもキャリアの世界を相変わらず生き抜いていくだろう二人がいてこそ、「警察ってこういうところか・・・納得」みたいなリアルさが通って、訳知りな満足感まで読む私に生まれる。
巻島が描かれそこなったら絶対にこの小説にはリアリティが生まれなかっただろう・・・という気がします。
「私が被害者の親だったとしたら・・・」という視点を巻島を丁寧に描くことで上手く封じ込められた感がありますが、それもちゃんと巻島の遭難という出来事でもう一歩罪障希釈されて、後味も悪くならなかったのでしょう。
「ワシ事件」があいまいなまま、またその被害者の苦しみが描きこまれたことによってなお更現実の社会が表現されて実に上手い面白い小説を読んだ!と言う満足感があります。
 

霧笛荘夜話

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霧笛荘夜話 霧笛荘夜話
浅田 次郎角川書店 2004-11
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  浅田次郎著

7話からなるひとつながりの物語。浅田さんはこういう物語を構想するのが本当に上手!こうなると、手馴れている分まるで職人さんだね。作品も量産していてしかもそれが皆高水準(って、読んだだけでも)!
時々絵を見に行くとその画家の生涯の事を考えることがある。本当に短い生涯だったり長寿だったり。その違いを例えば奥村土牛さんの絵などを見ていると「職人になれば長寿」、ゴッホなどを見ると「芸術家になると短命」なんて。浅田さんはなぜか土牛さんを思い起こさせる。大作も小品も上手過ぎる!ツボを知っている!確実に引き込んで描かれた世界を堪能させてくれる!これもそう。
霧笛荘には管理人の部屋を入れて7つの部屋がある。もう随分古い建物だが、ある頃のそこの住人の話が1話ずつ管理人の纏足のおばあさんの語りで語られていく。物語の始めが上手くてついまるで私がその部屋を借りに来た「まだ性根の座らないさ迷い人」のような気がした。ここにたどり着くときは私の鞄には「何が入っているのだろう?」かと。
纏足なんてもう長いこと聞くことの無かった言葉だ。パール・バック「大地」で始めて知ったんじゃなかったっけ?それだけで謎めいていて異国風で、港町の霧と雨の情景の中、ポットンとこの世界へ墜落する。
それはともかく?行き場がなくなってぎりぎりに追い詰められなければたどり着けないこの古アパートの住人は「よくもこんな人生を思いついたね?」と作家に言いたいくらいな背景を背負わされているのに、老婆は「皆幸せだった」と言うんだよね。どうして?と夢中で読んでしまう。どうしたらそういえるの?どうなるの?と。3人の女と3人の男プラス語り手の物語を。
そして最後に納得させられてしまったような気がするんだよね。
でも本当は納得していないの。だってこんなの悲しすぎるじゃないの・・・って思いながら読んだから。それは「作家が無理やり作った納得だろ?そう思わせるために仕組んだ作品だろ?」って、心の底では思っているの・・・それは「余りに上手すぎるから?納得しちゃったじゃないの」って思っている冷めた私が完全には消えないから。そこが限界かもって。
それなのに上手いって思うのは、物語を堪能したと思えるのは、テーマにそう信じたいと思わせる「実」があるから。だって誰だって「お金でかえないものがあると信じていたい!」んだもの。ヒョットすると誰かさんみたいに「金で買えない物はない」って普段思っているのかもしれないけれど。
だからそれを素直に簡単に「金で変えない物はある」と貫けちゃう人を差し出されるとクチャっと頭を垂れたくなっちゃう。それで「心からそう思っている私」でありたいんだねって気付かされる。
その上人は皆「自分の行き方で生きた!」って思いたいのだから。

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