英雄の書

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英雄の書 上 英雄の書 上毎日新聞社 2009-02-14
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英雄の書 下 英雄の書 下毎日新聞社 2009-02-14
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宮部みゆき著
これは・・・呆然としてしまいました。 出版されて直ぐ申し込んだつもりが後れを取ったらしく? 今頃ようやく手にしたのですが・・・これだけ待ったのだからさぞかし沢山の人が読まれたことでしょうが・・・皆さんどう思ったのでしょうか?
私は「いや、どうしよう・・・」ってあいまいな気持ちで読後記録を書き始めました。
「その意気やよし!」って言葉がまず頭に浮かびました。
ある意味非常に直截に作家の言いたいことが腑に落ちてきます。
語りたいこと、この物語を通して伝えたいと思っておられたのだろうことが・・・わかるような気がします。 でも・・・でも、なんです。
読み始めて直ぐ、なんだ「ブレイブストーリー」に続く似た物ファンタジーなのか!・・・っと、ちょっとがっかりしました。 だとするとロールプレイングゲームの物語みたいになっちゃうのかな?と思ったからです。宮部さんの作品の凄いところはそれでも読ませてしまうところなのですが、それでは私にはちょっとつらい。
読み進むにつれて物語の姿が朧に見えてきたら、今度は子供に読ませたいという気持ちのせいか(青少年読者を意識しすぎか?)、主人公を11歳の少女にしたことから生まれたある種の破綻が気になってきました。そこはファンタジーですから印を戴く者として大人びてもそれは現象なんですが、それでもかなり無理が生じたような気がしてなりません。 違和感がどうしても消えません。
感情的に寄り添ってあげたいと思うと途端に隔てられる感じでしょうか。むしろこの女の子に負わせた「その意気」が大きすぎて物語IN物語の方向がばらついてしまったのではないか・・・それで・・・どこをどの筋を拾っていけばいいのだろうと迷ってしまったようなのです。中途半端な大人なので・・・私。
光まばゆい誰もが憧れ信じる英雄の影の部分黄衣の王が背中合わせにあるという単純な図式の上に今の社会で起こりうる加害者と被害者の背中合わせ、何時どちらに転ぶかもしれない危うさを乗せているのだと受け取ったのですが・・・この物語性が反対に実際の社会をきちんと見据えないあいまいさに陥れたのではないかという気もしています。 どこを受け取りどこを主たる綱にするか迷いながら読んでしまったせいか・・・読み終わって中途半端に置かれたような・・・呆然という状態になったのかも?
これは・・・永遠の一部を切り取ったもの、世界の全ての輪廻の回転中の一時のことなので・・・続編は無いと思いますが、そう思うと益々消化不良に陥った感がするのであります。
作家というのは・・・これで結構つらいのよ・・・物語を生み出して・・・それが見事に一つの世界を生み出せたとして(ひょっとしたらいい作品を書けば書くほど)・・・作中の人物やイデオロギーが長生きして読者に影響を与えちゃうのよ・・・毒を生み出す事だってあるのよ・・・でもそれは物語だから・・・それはその輪の中で終ってるものだから・・・なんていうグチめいたものが聞こえたような気も?

ころころろ

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ころころろ ころころろ新潮社 2009-07-30
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畠中恵著

「しゃばけ」シリーズの8冊目。 え、もう8冊も? って、順番通りではないけれど読んでいます。まだまだ続くのかな? 殆ど癖になりかけています。
先だって「まんまこと」シリーズの2冊目を読んで少々迷い始めたところですが・・・やはり少し力の入れ方が違うのでしょうか?「しゃばけ」シリーズの方がいいようです。
8冊目ともなると、何度も何度も繰り返される状況説明がうっとうしくもなりますが、また作家の使いたい御馴染みになりすぎたお気に入りの言葉に時としてうんざりもしますが、それでもこのシリーズは楽しいです。     若旦那と仁吉と佐助の作り出す雰囲気がお気に入りになってしまったからでしょうか。出てくる妖たちのかもす面白さがおいしいんですか。 なんてったって破天荒な設定が何より楽しいのですね。 だから物語りも時空を越えて何でもありに出来るところが強みです。 どんな不思議なお話を長崎屋チックに描き出してくれるかと期待できます。 中の1話がこけても次はきっと大丈夫と思って読みふけります。 今回はのんびりと哀愁の漂った生目神様がなかなか!  いつもどおりのほんわか着地も決まった?ようで・・・結構!でした。
「けじあり」=怪事有りはちょっと辛かったけれど、佐助さんの前世かとちょっとドキドキ期待しちゃいました。この兄やたちの組み合わせが大好きなんです。

獣の奏者

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獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫) 獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)講談社 2009-08-12
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獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫) 獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)講談社 2009-08-12
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上橋菜穂子著

Ⅰ、闘蛇編
Ⅱ、王獣編

Ⅲ、Ⅳ、も出版されているようですが、今のところⅢ、Ⅳは130人待ちで、何時手に入るか分かりませんし、この2冊で一応物語としては十分終っているような気もします。
友人から年末に「正月用に借りてきた」メールに続いて、あけましておめでとうメールに続いて「夢中で読み終えて・・・面白くて面白くて最近稀な読みふけり方をして・・・図書館でこの作家の手に入るすべてを借りこんできた!」と。
本の虫の彼女の「ファンタジー好きのあなたには絶対お薦め!」でした。ただ静岡では棚から拾える上橋さんの本。調べてみたら江東区では長い「待ち!」
とりあえず手に入ったこの2冊ですが、本当に読み始めたら・・・もう夢中でした。
すでに私の中では「ロード・オブ・ザ・リング」に次ぐ傑作!です。上橋さんは当然沢山のファンタジーを読んでこられたのでしょうが・・・過去の沢山の作品の上に素晴らしい物語を構築なさったと万歳気分です。日本にはこんなに素晴らしいスケール感もあるファンタジーは無かったなとさえ思います。って、実は私はあまり日本の作家のファンタジーは読んでいないんですが。
その世界に引き込んでくれる力さえあったなら、ファンタジーに関して書く感想は要らないと思っています。
そしてこの作品は覗き込む私にこの世界この王国を目に見せ感じさせ生きさせてくれる力を十分以上にもっていました。5感すべてにこの世界もこの世界に住む人も動植物全ても社会さえも、あらゆる物にリアリティを感じさせてくれました。この世界の片隅で生きられると思いましたね。そしてこんな小さな力ながらもエリンを支える助けになりたいと願いましたね。それで十分じゃないですか?
わたしはこの世界の一人になりました。この王国の良い面も悪い面も私は愛し始めています。この後私の心の中でこの王国はどんどん広がって厚みを増していきそうです。草木一本まで私は見分け、色を付けるでしょう。凄いロマンスです!
そんなわけで・・・これを書いている間に、Ⅲ,Ⅳを待つ余裕は無くなったかもしれません。・・・ああ、でも文庫はまだ出ていないのかな?勿論最初に書いたようにこれはこの2冊で十分だとは思います。実際その後は、私の頭の中でうまれつつあります。 でも・・・この作家によって書かれたなら・・・エリンのその後もリランとのその後も・・・王国の全ての人々のその後も・・・当然王国そのものも、その後も私は知らねばなりません!
どうやら久しぶりに買い揃える本に出会ったようです!嬉しい!!!
ここまで描いたらまたメール。「『守り人シリーズ』も読み始めたら面白いよ。」
困る!この作者いっぱい作品があるんだってことに気付いて驚いたところなんだから。

ガールズ・ストーリー おいち不思議がたり

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ガールズ・ストーリー ガールズ・ストーリーPHP研究所 2009-12-03
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あさのあつこ著
 

あさのあつこさんはこのところよく新聞や映画の原作でお名前にお目にかかるようになりました。何かのアンソロジーかで読んだことが有るかもしれませんが、この作家の本を選んで読んだ記憶はありません。現代の青少年もの、スポーツものという印象を受けていたので無意識に敬遠していたのかも知れません。ところがなんと時代物がありました。時代物好きでもあるし、必要にも迫られているし(サークル活動)それなら・・・と、手にとって読み始めてびっくりしました。 直ぐ「霊験お初捕物帖」を思い出したからです。霊感ものはよくありますから一概には言い難いのですが、ちょっと類似の感じが強いように思われました。二番煎じ的なつまらなさが先に来てしまったのが惜しいと思います。 題からいっても?時代劇の物語世界にいろいろとっつきやすそうなものをごった煮して噛み砕いて青少年向きにもなるようにという感じでしょうか。おいちの性格がなかなかきっちりしているのでなお更がっかりです。謎を残しているので多分続編が出るのでしょうが、せめて物語にオリジナリティを期待したいと思います。
最近私は高田郁さんの澪さんのシリーズに填まっていますが、やはり独自のものがあるのは読む楽しさが倍増します・・・ね。

花や散るらん

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花や散るらん 花や散るらん文藝春秋 2009-11-12
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葉室麟著

赤穂浪士異聞と補足しておいてもいい作品
京都と江戸を跨いで公家方から赤穂の浅野内匠頭長矩の刃傷事件と大石内蔵助等のあだ討ちを描いている。吉良上野介、柳沢吉保、浅野長載矩に全く違う面から光を当てているというか面白い光の当て方をしている。この事件の裏に桂昌院叙位の舞台裏を置いて。
この作品には歌舞伎などで気持ちよく見ていたあだ討ち物の面影は毛筋ほども無く、あだ討ち物に付き物のある種カタルシスは望めない。
しかし一つの事件、特に歴史の向こう側、朧になり伝承により様々に変化し庶民の望みまで包みこんで発展したに違いない事件の料理の仕方というものを考えさせられる。この作品は素晴らしいとは思えないのだが、それはこちらのあの討ち入りに対する思いが既に固定されているからかもしれない。ある時こんな文を読んだ記憶がある。誰のだったか覚えていないのだが。 「浅野に対してわるもののように語られる吉良上野だが地元では名君だったと今も称揚されており手厚く法要なども営まれている・・・と、言う事を聞くが、それはあの時代にあっては当たり前のことである。大名つぶしが幕府の命題みたいだった時代にあって、領内を納めるのに問題など起こしたら取り潰しの憂き目に会うと分かっていたときに自分の領内を大事に納めない大名が居たら・・・それはただのバカである。 浅野も吉良も領内にあっては立派な殿様でなければ、いや治世を実際行うブレインがちゃんとしていなくては生き残っていけなかったのだ。そういうわけで立派な殿様だったというのは当たり前のことに過ぎない。」
と、まぁこんなのだったと思う。読み終わって、なんだ吉良擁護の文じゃなかったのかと、肩透かしを食らった気持ちだったけれど・・・。
この作品は気の小さな尊王教育を受けた浅野と野心むき出しに柳沢や桂昌院の意を受けてえげつない任官運動を繰り広げる吉良。
あの事件に大奥の勢力争いがこんな風に絡んでいたかも?あだ討ち事件の後での助命機運が大奥にも有ったという話は聞いたことあるけれど・・・なんてぼうっとしながら・・・こういう話はありか?なんて自問自答していたので・・・乗りそこなった。 主人公の蔵人も咲弥も今一つ造形も性格も印象的にならず、風変わりに設定された事件を追うだけでいっぱいいっぱいだった印象でもある。人が描かれていないんだろうな。物語としては、ふうん、こういう作り方もありえるんだ・・・確かに年表をじっと見てるとこの事件とこの事件がこのあたりでぶつかり合って・・・とイメージは広がる。そういった風景が見えた。 ただもう少しこなれて欲しいな・・・と、思った。

八朔の雪ーみおつくし料理帖

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八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫) 八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)角川春樹事務所 2009-05
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高田郁著

父が朝日新聞の書評で見て買ってみた・・・と、読み終えて回ってきた。
私も記事を見てこれから読みたい本に登録しておいたものだった。
図書館ではまだ何人も待ちだからラッキー
図書館の本では期限内に読みきれるとは限らなくなった父はこの頃書評で新しい本を知って読みたいと思うと本屋さんに出向く。そうして読む予定になった本がベッド脇に積み上げられている。読みたいと思った本を読みきるまで頑張るぞ!という気持ちの表れらしい。
なんだかそんな父を見ていると私の30年後が見えてくるような気がしてしまう。
ま、おかげさんで私は楽しみな作家をまた一人見つけることが出来ました!久しぶりで次作が凄く楽しみで!
澪つながりで思い出したんだけど、北原さんの「澪通り」を見つけたときよりも、楽しみな気がします。何より先が明るいのだから。
主人公の澪は素晴らしく可愛く魅力的で先が楽しみだし、取り巻く人々の造形もとてもいい。ご寮さんの芳もつる屋の種市も源斎さんも小松原さんも、みーんないい!で、上手に先に期待を抱かせてもらったし。
ワクワクしながら今後どんな料理を勘案し、店をどのように立ち上げていき、つる屋と天満一兆庵をどう立て直すのか?若旦那とは野江さんとはどう巡り会いかかわりあっていくのか・・・待っています。
素直な気持ちで先が知りたくてたまらない感じなのは久しぶりかも。
母が作った酒粕汁・・・すっかり忘れていた・・・まだ寒い間に作ってみよう(2/15)。

果ての花火ー銀座開化おもかげ草紙

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果ての花火―銀座開花おもかげ草紙 果ての花火―銀座開花おもかげ草紙新潮社 2007-08
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松井今朝子著
図書館で本を探していて、「松井さんの本があったわ」見つけたので借りてきた。 読み始めて直ぐ山田風太郎さんの明治物、特に「警視庁草紙」「明治波濤歌」などの作品群が頭に浮かんだ。
絶対、あの作品たちから想を得たな!って思われるリスク承知で書いてみたかったんだろうか? それならば・・・むしろ期待すべきか?と思って読み始めたのだけれど・・・最後まで面白くなりそうも無いなぁ・・・ぼやきながら読み進んだ。 山田さんのは特急で読みふけられたのだけれど・・・なぁ。 そして「醜い筆」の終りでこの作品の方向と主人公の姿がまぁ見えてきたかなと思えてきた。それでもこの主人公のどっちつかずの姿勢のあいまいさがじれったくて潔くなくて・・・イライラを募らせるんだわ・・・と思っていた。
「果ての花火」の元岡っ引きの最後を読んで作家の描きたいのは、明治期を生きる御家人達江戸時代の尻尾を引きずった人々の寄る辺のなさ、間に落ちてなおかつ時代の流れに乗り始めた敏な人たちにあおられる人の頼りない浮き草の様こそが主人公なのかも・・・と思えてきた。 時代に逆らう確信犯になれない、そこまで芯を貫けない男の優しさが歯がゆいけれど、そのあいまいさに時代を強く意識させられた。そう思って西南戦争前夜の頃を描いた「直びの神」を読むと「禍つひの神」「直びの神」で現す日本人の精神世界から宗教観まで私は主人公宗八郎にやっと共感点を見出して面白くなりそうだわ・・・と、思ったのに・・・「え、此処で終るの?」
納得がいかなくて検索してみれば・・・「幕末あどれさん」「銀座開化事件帖」が先に出版されており、この本はその続編になるらしい。そしてこの作品の後すぐ「銀座開化おもかげ草紙」が発売されているそうな。
同じシリーズのものならそうと分かるように番号なりなんなり手に取った時直ぐ分かるような親切が欲しい!と、つくづく思った。
どうりで妙に中途半端な本だと思っちゃったじゃないか・・・と。

パラドックス13

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パラドックス13 パラドックス13毎日新聞社 2009-04-15
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東野圭吾著

読み終わってもですねぇ・・・私P13現象理解できていません。
この現象は本当に科学的に起こりえる現象か?・・・なんてことは多分どうでもいいようです。という気がしていますが。
単にある種の平行パラレルワールドが出現したということのようです?
多分そのある瞬間に死者と生者の入れ替わりが。そのある瞬間に死者の世界に落ちた?人間13人の生存を賭けたドラマ!ということのようです。
つまり13人だけのあらゆる天災に襲われる社会では生き延びるためにはなんでもありなんですよ。生き残ることだけが命題なんですよ・・・と言う小説でした。・・・と、私は読んだのですが・・・。
「生き残った」と思い「生き抜こう」とする普通の人間達が考え行動するとすると?・・・なんかこの人間達が種を保存して未来社会が成育されるとすると・・・あまり人類に期待出来ないなぁ・・・というのが素直な感想ですか。 主人公の久我兄弟は対極のリーダーを表現しているのでしょうか?既にここからして図式的というかステレオタイプというか・・・魅力が無いのでがっかりでした。ま、実際こういうシチュエーションで人材に不足は言えませんか。それにしてももう少し何とかならなかったかなぁ・・・死人のパラレルワールドなんてちょっと覗いて見たいものではあるのだから。どんな意外な社会が登場するのか?それなのにアダムとイブそれも強制されシステム化されそうなアダムとイブ・・・よしてもらいたいな!女性が何の期待もできないワールドなんて・・・つまらん!

こいしり

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こいしり こいしり文藝春秋 2009-03-27
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畠中恵著

「まんまこと」シリーズ?2。 これも長いシリーズになるのでしょうか? なにしろ人気の作家さんで、「しゃばけ」シリーズも出たと思えば図書館予約は数百人待ちが当たり前。 「まんまこと」の二作目が出たと知ってから今まで太分待ちました。ちょっと惰性で新しい作品が出たらしいとなると予約している気配があります。
で、待った甲斐は?と考えながら一話目を読み始めたのですけれど・・・う~ん!なのです。
手馴れてどんどん薄くなっていってるよーって印象を最初受けたのですが・・・この薄さが気持ちいいといえば言えるのですねぇ。馴染みの風呂屋で気持ちよく・・・ってところ?
その証拠に?また次作が出たと知ったら多分予約するでしょう。
なんだろねぇ・・・とお気楽に私も構えずに読んで・・・はい、お終い!なのです。う~ん、考えると時間を無駄にしているようにも思えてくるのがつらいのですが・・・って、やっぱりそう思う自分が確かに一方に居るのですね。
ところがどっこい、また言いますが、お気楽に人情を味わい、何かを実にうまいこと解決するってわりかし楽しいんですよねぇ・・・と、まぁ、これが感想です。いやいや世間にはいやな事件もありますが、いい仲間といい環境といい心がけを持ちたいものですねぇ・・・そうすれば・・・鬼に金棒ってところです。

警官の紋章

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警官の紋章 警官の紋章角川春樹事務所 2008-12
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佐々木譲著
「道警シリーズ3」
読んでいる間に直木賞受賞の知らせが入ってきたのでした。
「廃墟に乞う」という作品で、でした。当分この本は借りられそうもありませんね。この受賞作品も道警の刑事さんが主人公らしい?楽しみですね。私の北海道滞在3年の経験?地名とその場所が分かるのが(土地勘あり!)この道警物を読む助けにも、楽しみにもなります。
さて、このシリーズの2、3作目は殆ど同じタイプの書き方で進行していきます。 「笑う警官」で活躍したおまわりさん達がそれぞれの場所から始まっていく探索?につながりが生じてきて・・・結び合わされ・・・彼らが一点に収束・・・という楽しみが待っています。
パターン化してきたようですが?それが楽しみな感じを受けるところが・・・シリーズ物の醍醐味の一つでもありますね。
しかし、この作者の乾いた表現は奥ゆかしくて?今ひとつ佐伯さんや津久井さんに踏み込めません。動きとその動機は読み進んでいけますが・・・彼らの刑事としての嗅覚、ある種正義感、真実に迫る頭・・・は分かるのに・・・その奥の個人がいまいち描ききれていなくてもどかしい感じ。
そこがある種?ハードボイルド?それもソフトな、ウェット感もある日本的な・・・なんて言ってしまっては・・・意味無い言葉になるけれど、歯がゆい。小島さんが突破口かな?新宮君も?そこに期待しましょう。勿論書き続けられますよね?北海道を!
北海道の雪の感触に似てるのかなぁ・・・ある意味さらさら
洞爺湖を見下ろす山の上にそそり立っていたあの巨大豪華なホテル。
思い出しますねぇ・・・丁度破綻した時でしたから、私が札幌に住んでいたのは。
すすきのや狸小路やあの妙にうらぶれて淋しげで猥雑であやしい盛り場の様子を思い起こすと・・・裏通りに紛れ込むと妙にぞくぞくしたもの・・・あの道に取り込まれていく人たちの気配が僅かづつでも感じられていくような。余り内省的に沈んでいかない彼らに明日がある事を知ってほっとするような・・・その辺が読みやすい警察物で、楽しみで。しかし、北海道頑張って!と言いたくなる北海道の現状への心配が益々この作品でかきたてられます。
「笑う警官」の緊迫感がまだ今のところ一番だわと、ついため息がでちゃうのがちょっと残念なのですが、また次に期待します。

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