ガールズ・ストーリー おいち不思議がたり

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ガールズ・ストーリー ガールズ・ストーリーPHP研究所 2009-12-03
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あさのあつこ著
 

あさのあつこさんはこのところよく新聞や映画の原作でお名前にお目にかかるようになりました。何かのアンソロジーかで読んだことが有るかもしれませんが、この作家の本を選んで読んだ記憶はありません。現代の青少年もの、スポーツものという印象を受けていたので無意識に敬遠していたのかも知れません。ところがなんと時代物がありました。時代物好きでもあるし、必要にも迫られているし(サークル活動)それなら・・・と、手にとって読み始めてびっくりしました。 直ぐ「霊験お初捕物帖」を思い出したからです。霊感ものはよくありますから一概には言い難いのですが、ちょっと類似の感じが強いように思われました。二番煎じ的なつまらなさが先に来てしまったのが惜しいと思います。 題からいっても?時代劇の物語世界にいろいろとっつきやすそうなものをごった煮して噛み砕いて青少年向きにもなるようにという感じでしょうか。おいちの性格がなかなかきっちりしているのでなお更がっかりです。謎を残しているので多分続編が出るのでしょうが、せめて物語にオリジナリティを期待したいと思います。
最近私は高田郁さんの澪さんのシリーズに填まっていますが、やはり独自のものがあるのは読む楽しさが倍増します・・・ね。

花や散るらん

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花や散るらん 花や散るらん文藝春秋 2009-11-12
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葉室麟著

赤穂浪士異聞と補足しておいてもいい作品
京都と江戸を跨いで公家方から赤穂の浅野内匠頭長矩の刃傷事件と大石内蔵助等のあだ討ちを描いている。吉良上野介、柳沢吉保、浅野長載矩に全く違う面から光を当てているというか面白い光の当て方をしている。この事件の裏に桂昌院叙位の舞台裏を置いて。
この作品には歌舞伎などで気持ちよく見ていたあだ討ち物の面影は毛筋ほども無く、あだ討ち物に付き物のある種カタルシスは望めない。
しかし一つの事件、特に歴史の向こう側、朧になり伝承により様々に変化し庶民の望みまで包みこんで発展したに違いない事件の料理の仕方というものを考えさせられる。この作品は素晴らしいとは思えないのだが、それはこちらのあの討ち入りに対する思いが既に固定されているからかもしれない。ある時こんな文を読んだ記憶がある。誰のだったか覚えていないのだが。 「浅野に対してわるもののように語られる吉良上野だが地元では名君だったと今も称揚されており手厚く法要なども営まれている・・・と、言う事を聞くが、それはあの時代にあっては当たり前のことである。大名つぶしが幕府の命題みたいだった時代にあって、領内を納めるのに問題など起こしたら取り潰しの憂き目に会うと分かっていたときに自分の領内を大事に納めない大名が居たら・・・それはただのバカである。 浅野も吉良も領内にあっては立派な殿様でなければ、いや治世を実際行うブレインがちゃんとしていなくては生き残っていけなかったのだ。そういうわけで立派な殿様だったというのは当たり前のことに過ぎない。」
と、まぁこんなのだったと思う。読み終わって、なんだ吉良擁護の文じゃなかったのかと、肩透かしを食らった気持ちだったけれど・・・。
この作品は気の小さな尊王教育を受けた浅野と野心むき出しに柳沢や桂昌院の意を受けてえげつない任官運動を繰り広げる吉良。
あの事件に大奥の勢力争いがこんな風に絡んでいたかも?あだ討ち事件の後での助命機運が大奥にも有ったという話は聞いたことあるけれど・・・なんてぼうっとしながら・・・こういう話はありか?なんて自問自答していたので・・・乗りそこなった。 主人公の蔵人も咲弥も今一つ造形も性格も印象的にならず、風変わりに設定された事件を追うだけでいっぱいいっぱいだった印象でもある。人が描かれていないんだろうな。物語としては、ふうん、こういう作り方もありえるんだ・・・確かに年表をじっと見てるとこの事件とこの事件がこのあたりでぶつかり合って・・・とイメージは広がる。そういった風景が見えた。 ただもう少しこなれて欲しいな・・・と、思った。

八朔の雪ーみおつくし料理帖

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八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫) 八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)角川春樹事務所 2009-05
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高田郁著

父が朝日新聞の書評で見て買ってみた・・・と、読み終えて回ってきた。
私も記事を見てこれから読みたい本に登録しておいたものだった。
図書館ではまだ何人も待ちだからラッキー
図書館の本では期限内に読みきれるとは限らなくなった父はこの頃書評で新しい本を知って読みたいと思うと本屋さんに出向く。そうして読む予定になった本がベッド脇に積み上げられている。読みたいと思った本を読みきるまで頑張るぞ!という気持ちの表れらしい。
なんだかそんな父を見ていると私の30年後が見えてくるような気がしてしまう。
ま、おかげさんで私は楽しみな作家をまた一人見つけることが出来ました!久しぶりで次作が凄く楽しみで!
澪つながりで思い出したんだけど、北原さんの「澪通り」を見つけたときよりも、楽しみな気がします。何より先が明るいのだから。
主人公の澪は素晴らしく可愛く魅力的で先が楽しみだし、取り巻く人々の造形もとてもいい。ご寮さんの芳もつる屋の種市も源斎さんも小松原さんも、みーんないい!で、上手に先に期待を抱かせてもらったし。
ワクワクしながら今後どんな料理を勘案し、店をどのように立ち上げていき、つる屋と天満一兆庵をどう立て直すのか?若旦那とは野江さんとはどう巡り会いかかわりあっていくのか・・・待っています。
素直な気持ちで先が知りたくてたまらない感じなのは久しぶりかも。
母が作った酒粕汁・・・すっかり忘れていた・・・まだ寒い間に作ってみよう(2/15)。

果ての花火ー銀座開化おもかげ草紙

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果ての花火―銀座開花おもかげ草紙 果ての花火―銀座開花おもかげ草紙新潮社 2007-08
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松井今朝子著
図書館で本を探していて、「松井さんの本があったわ」見つけたので借りてきた。 読み始めて直ぐ山田風太郎さんの明治物、特に「警視庁草紙」「明治波濤歌」などの作品群が頭に浮かんだ。
絶対、あの作品たちから想を得たな!って思われるリスク承知で書いてみたかったんだろうか? それならば・・・むしろ期待すべきか?と思って読み始めたのだけれど・・・最後まで面白くなりそうも無いなぁ・・・ぼやきながら読み進んだ。 山田さんのは特急で読みふけられたのだけれど・・・なぁ。 そして「醜い筆」の終りでこの作品の方向と主人公の姿がまぁ見えてきたかなと思えてきた。それでもこの主人公のどっちつかずの姿勢のあいまいさがじれったくて潔くなくて・・・イライラを募らせるんだわ・・・と思っていた。
「果ての花火」の元岡っ引きの最後を読んで作家の描きたいのは、明治期を生きる御家人達江戸時代の尻尾を引きずった人々の寄る辺のなさ、間に落ちてなおかつ時代の流れに乗り始めた敏な人たちにあおられる人の頼りない浮き草の様こそが主人公なのかも・・・と思えてきた。 時代に逆らう確信犯になれない、そこまで芯を貫けない男の優しさが歯がゆいけれど、そのあいまいさに時代を強く意識させられた。そう思って西南戦争前夜の頃を描いた「直びの神」を読むと「禍つひの神」「直びの神」で現す日本人の精神世界から宗教観まで私は主人公宗八郎にやっと共感点を見出して面白くなりそうだわ・・・と、思ったのに・・・「え、此処で終るの?」
納得がいかなくて検索してみれば・・・「幕末あどれさん」「銀座開化事件帖」が先に出版されており、この本はその続編になるらしい。そしてこの作品の後すぐ「銀座開化おもかげ草紙」が発売されているそうな。
同じシリーズのものならそうと分かるように番号なりなんなり手に取った時直ぐ分かるような親切が欲しい!と、つくづく思った。
どうりで妙に中途半端な本だと思っちゃったじゃないか・・・と。

パラドックス13

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パラドックス13 パラドックス13毎日新聞社 2009-04-15
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東野圭吾著

読み終わってもですねぇ・・・私P13現象理解できていません。
この現象は本当に科学的に起こりえる現象か?・・・なんてことは多分どうでもいいようです。という気がしていますが。
単にある種の平行パラレルワールドが出現したということのようです?
多分そのある瞬間に死者と生者の入れ替わりが。そのある瞬間に死者の世界に落ちた?人間13人の生存を賭けたドラマ!ということのようです。
つまり13人だけのあらゆる天災に襲われる社会では生き延びるためにはなんでもありなんですよ。生き残ることだけが命題なんですよ・・・と言う小説でした。・・・と、私は読んだのですが・・・。
「生き残った」と思い「生き抜こう」とする普通の人間達が考え行動するとすると?・・・なんかこの人間達が種を保存して未来社会が成育されるとすると・・・あまり人類に期待出来ないなぁ・・・というのが素直な感想ですか。 主人公の久我兄弟は対極のリーダーを表現しているのでしょうか?既にここからして図式的というかステレオタイプというか・・・魅力が無いのでがっかりでした。ま、実際こういうシチュエーションで人材に不足は言えませんか。それにしてももう少し何とかならなかったかなぁ・・・死人のパラレルワールドなんてちょっと覗いて見たいものではあるのだから。どんな意外な社会が登場するのか?それなのにアダムとイブそれも強制されシステム化されそうなアダムとイブ・・・よしてもらいたいな!女性が何の期待もできないワールドなんて・・・つまらん!

こいしり

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こいしり こいしり文藝春秋 2009-03-27
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畠中恵著

「まんまこと」シリーズ?2。 これも長いシリーズになるのでしょうか? なにしろ人気の作家さんで、「しゃばけ」シリーズも出たと思えば図書館予約は数百人待ちが当たり前。 「まんまこと」の二作目が出たと知ってから今まで太分待ちました。ちょっと惰性で新しい作品が出たらしいとなると予約している気配があります。
で、待った甲斐は?と考えながら一話目を読み始めたのですけれど・・・う~ん!なのです。
手馴れてどんどん薄くなっていってるよーって印象を最初受けたのですが・・・この薄さが気持ちいいといえば言えるのですねぇ。馴染みの風呂屋で気持ちよく・・・ってところ?
その証拠に?また次作が出たと知ったら多分予約するでしょう。
なんだろねぇ・・・とお気楽に私も構えずに読んで・・・はい、お終い!なのです。う~ん、考えると時間を無駄にしているようにも思えてくるのがつらいのですが・・・って、やっぱりそう思う自分が確かに一方に居るのですね。
ところがどっこい、また言いますが、お気楽に人情を味わい、何かを実にうまいこと解決するってわりかし楽しいんですよねぇ・・・と、まぁ、これが感想です。いやいや世間にはいやな事件もありますが、いい仲間といい環境といい心がけを持ちたいものですねぇ・・・そうすれば・・・鬼に金棒ってところです。

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