静子の日常

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静子の日常 静子の日常中央公論新社 2009-07
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井上荒野著

静岡生まれの静子さんを二人知っています。その静岡在住のお一人から「この静子さんあなたを思わせる・・」・とメールが・・・
どちらかっていうと彼女(静岡の静子さん)の日常だったら覗いてみたいけれど・・・と思いつつ・・・「どこが?」と興味惹かれて読んでみました。
で、で、それは無いでしょと、顔を赤らめています・・・っていうか・・・どこか欠片でも似ているところがあったら・・・ありえないけれど・・・光栄です。・・・っていうかなんでどこを見て彼女がそう思ったのか甚だ疑問です。
私の対極にある女性像が今心に投影されています。
この家族、実際のところ必ずしも理想の家庭ではありませんが・・・「実は理想の家庭です。 理想の家族です・・・」という印象を抱かされてしまいます。・・・その鍵は静子さんの人間像にあります。というか静子さんが暖かな目を注いでいる限り・・・大丈夫、いい家族だわ!
口出ししないと決めている(勿論、無関心なのではありません、それどころか・・・)息子家族に対する彼女のスタンスがいい教えになりそうです。   それは彼女の決して一筋縄ではいかなかったのに、一筋の柔らかい道を歩んできたように見せる彼女の生き方に秘密があります。  こんなに辛抱強く、こんなに信念に満ちて、こんなに頭が良くて、こんなに大らかに柔らかく秘密をも抱いて・・・才気煥発に生きてきた75年間に敬意を抱かされました。
諧謔というか自分の人生を客観視できる余裕というか理性というか暖かさというかしたたかさというか・・・ユーモアでしょうか?・・・がホント素敵!
こういう大人が各家に一人ほしいものです。それにしても面白く楽しくのどかにわらって読みました。いいひと時でした。
静子さんに小さな缶ビールで乾杯しましょう。そして暖かな目を持っているわが友人の静子さんにも! はい、努力します! つまりそういうことね? 子も友も褒めて育てよ!序でに夫も?

英雄の書

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宮部みゆき著
これは・・・呆然としてしまいました。 出版されて直ぐ申し込んだつもりが後れを取ったらしく? 今頃ようやく手にしたのですが・・・これだけ待ったのだからさぞかし沢山の人が読まれたことでしょうが・・・皆さんどう思ったのでしょうか?
私は「いや、どうしよう・・・」ってあいまいな気持ちで読後記録を書き始めました。
「その意気やよし!」って言葉がまず頭に浮かびました。
ある意味非常に直截に作家の言いたいことが腑に落ちてきます。
語りたいこと、この物語を通して伝えたいと思っておられたのだろうことが・・・わかるような気がします。 でも・・・でも、なんです。
読み始めて直ぐ、なんだ「ブレイブストーリー」に続く似た物ファンタジーなのか!・・・っと、ちょっとがっかりしました。 だとするとロールプレイングゲームの物語みたいになっちゃうのかな?と思ったからです。宮部さんの作品の凄いところはそれでも読ませてしまうところなのですが、それでは私にはちょっとつらい。
読み進むにつれて物語の姿が朧に見えてきたら、今度は子供に読ませたいという気持ちのせいか(青少年読者を意識しすぎか?)、主人公を11歳の少女にしたことから生まれたある種の破綻が気になってきました。そこはファンタジーですから印を戴く者として大人びてもそれは現象なんですが、それでもかなり無理が生じたような気がしてなりません。 違和感がどうしても消えません。
感情的に寄り添ってあげたいと思うと途端に隔てられる感じでしょうか。むしろこの女の子に負わせた「その意気」が大きすぎて物語IN物語の方向がばらついてしまったのではないか・・・それで・・・どこをどの筋を拾っていけばいいのだろうと迷ってしまったようなのです。中途半端な大人なので・・・私。
光まばゆい誰もが憧れ信じる英雄の影の部分黄衣の王が背中合わせにあるという単純な図式の上に今の社会で起こりうる加害者と被害者の背中合わせ、何時どちらに転ぶかもしれない危うさを乗せているのだと受け取ったのですが・・・この物語性が反対に実際の社会をきちんと見据えないあいまいさに陥れたのではないかという気もしています。 どこを受け取りどこを主たる綱にするか迷いながら読んでしまったせいか・・・読み終わって中途半端に置かれたような・・・呆然という状態になったのかも?
これは・・・永遠の一部を切り取ったもの、世界の全ての輪廻の回転中の一時のことなので・・・続編は無いと思いますが、そう思うと益々消化不良に陥った感がするのであります。
作家というのは・・・これで結構つらいのよ・・・物語を生み出して・・・それが見事に一つの世界を生み出せたとして(ひょっとしたらいい作品を書けば書くほど)・・・作中の人物やイデオロギーが長生きして読者に影響を与えちゃうのよ・・・毒を生み出す事だってあるのよ・・・でもそれは物語だから・・・それはその輪の中で終ってるものだから・・・なんていうグチめいたものが聞こえたような気も?

ころころろ

題名INDEX : カ行 279 Comments »
ころころろ ころころろ新潮社 2009-07-30
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畠中恵著

「しゃばけ」シリーズの8冊目。 え、もう8冊も? って、順番通りではないけれど読んでいます。まだまだ続くのかな? 殆ど癖になりかけています。
先だって「まんまこと」シリーズの2冊目を読んで少々迷い始めたところですが・・・やはり少し力の入れ方が違うのでしょうか?「しゃばけ」シリーズの方がいいようです。
8冊目ともなると、何度も何度も繰り返される状況説明がうっとうしくもなりますが、また作家の使いたい御馴染みになりすぎたお気に入りの言葉に時としてうんざりもしますが、それでもこのシリーズは楽しいです。     若旦那と仁吉と佐助の作り出す雰囲気がお気に入りになってしまったからでしょうか。出てくる妖たちのかもす面白さがおいしいんですか。 なんてったって破天荒な設定が何より楽しいのですね。 だから物語りも時空を越えて何でもありに出来るところが強みです。 どんな不思議なお話を長崎屋チックに描き出してくれるかと期待できます。 中の1話がこけても次はきっと大丈夫と思って読みふけります。 今回はのんびりと哀愁の漂った生目神様がなかなか!  いつもどおりのほんわか着地も決まった?ようで・・・結構!でした。
「けじあり」=怪事有りはちょっと辛かったけれど、佐助さんの前世かとちょっとドキドキ期待しちゃいました。この兄やたちの組み合わせが大好きなんです。

獣の奏者

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上橋菜穂子著

Ⅰ、闘蛇編
Ⅱ、王獣編

Ⅲ、Ⅳ、も出版されているようですが、今のところⅢ、Ⅳは130人待ちで、何時手に入るか分かりませんし、この2冊で一応物語としては十分終っているような気もします。
友人から年末に「正月用に借りてきた」メールに続いて、あけましておめでとうメールに続いて「夢中で読み終えて・・・面白くて面白くて最近稀な読みふけり方をして・・・図書館でこの作家の手に入るすべてを借りこんできた!」と。
本の虫の彼女の「ファンタジー好きのあなたには絶対お薦め!」でした。ただ静岡では棚から拾える上橋さんの本。調べてみたら江東区では長い「待ち!」
とりあえず手に入ったこの2冊ですが、本当に読み始めたら・・・もう夢中でした。
すでに私の中では「ロード・オブ・ザ・リング」に次ぐ傑作!です。上橋さんは当然沢山のファンタジーを読んでこられたのでしょうが・・・過去の沢山の作品の上に素晴らしい物語を構築なさったと万歳気分です。日本にはこんなに素晴らしいスケール感もあるファンタジーは無かったなとさえ思います。って、実は私はあまり日本の作家のファンタジーは読んでいないんですが。
その世界に引き込んでくれる力さえあったなら、ファンタジーに関して書く感想は要らないと思っています。
そしてこの作品は覗き込む私にこの世界この王国を目に見せ感じさせ生きさせてくれる力を十分以上にもっていました。5感すべてにこの世界もこの世界に住む人も動植物全ても社会さえも、あらゆる物にリアリティを感じさせてくれました。この世界の片隅で生きられると思いましたね。そしてこんな小さな力ながらもエリンを支える助けになりたいと願いましたね。それで十分じゃないですか?
わたしはこの世界の一人になりました。この王国の良い面も悪い面も私は愛し始めています。この後私の心の中でこの王国はどんどん広がって厚みを増していきそうです。草木一本まで私は見分け、色を付けるでしょう。凄いロマンスです!
そんなわけで・・・これを書いている間に、Ⅲ,Ⅳを待つ余裕は無くなったかもしれません。・・・ああ、でも文庫はまだ出ていないのかな?勿論最初に書いたようにこれはこの2冊で十分だとは思います。実際その後は、私の頭の中でうまれつつあります。 でも・・・この作家によって書かれたなら・・・エリンのその後もリランとのその後も・・・王国の全ての人々のその後も・・・当然王国そのものも、その後も私は知らねばなりません!
どうやら久しぶりに買い揃える本に出会ったようです!嬉しい!!!
ここまで描いたらまたメール。「『守り人シリーズ』も読み始めたら面白いよ。」
困る!この作者いっぱい作品があるんだってことに気付いて驚いたところなんだから。

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