小暮荘物語

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木暮荘物語 木暮荘物語
三浦 しをん祥伝社 2010-10-29
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三浦しをん著

小暮荘が舞台だけど…みんながみんなここに住んでいるわけでもないし…この7つ主人公は7人の(と言っても人は重なり合っているわけで)お話の何が…柱かな?…と思って、柱はどうやらセックスだと思っているのだけれど…これって他の言葉でうまく言い換えられないかな?
物語そのもので作家はあっけらかんとというか当たり前にセックスのお話をセックスだと言っているわけで…なんで感想を書きつける私がバタバタしているんだか?…と、あほらしくなるような…自然さなのだけど。
「心身」の大家さんは泣かせるし…繭さんのシチュエーションも本人は大まじめだろうけれどコミカルだし。…「黒い飲み物」の佐伯さんもそれからつながる虹子さんも悲しくて、神崎君にも光子さんにも…こりゃー何とも言いようがない。
人間って死ぬまでセックスには右往左往させられるんだ…と、深い悲しみとも苦笑とも哄笑とも…やれやれ。 しかし実にハーモニーに満ち溢れている。人間ってこんなもんだよ?訳知り顔になりたがる私がいる。
それぞれの主人公がそれぞれに自分の人生にそこそこ苦闘していて…そこからユーモアもにじみ出てしまう。 このにじんでしまうというところにまたペーソスが生まれ…みたいに?連鎖が快い読み物になっているところがみそだ!
みたいに…どんどん書き連ねて行けそうな感想が…自分でも笑える。 つまり程よい読み物で三浦さんの軽やかな精神が柔らかくもちろんほどほどにシニカルで、でも許しているんだ気分もほどほどだ…。 デ、私も読みながらみんなそこそこ頑張って生きて行ってくださいとそこそこの応援エールを送れて…ちょびっと自分を振り返って…皮肉られているんじゃないか?と思ってみたり…。とまぁそこそこ忙しく読ませていただいた。
活字中毒の私だから新しい本をどんどん読んでいくうちに、どんどん読んだ本を忘れていく。どのくらい頭の中に持っていられるんだろうかなぁ。この小さな毒の部分…。

引かれ者でござい ・ 待ち伏せ街道 ー蓬莱屋帳外控ー

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引かれ者でござい―蓬莱屋帳外控 引かれ者でござい―蓬莱屋帳外控
志水 辰夫新潮社 2010-08
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待ち伏せ街道―蓬莱屋帳外控 待ち伏せ街道―蓬莱屋帳外控
志水 辰夫新潮社 2011-09
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志水辰夫著

「つばくろ越え」を読んでから…当然これはシリーズ化されると踏んで…待っていましたから「蓬莱屋帳外控」と銘打って出版された「引かれ者でござい」はすぐ読みましたし…「待ち伏せ街道」も広告を見てすぐ図書館に予約しました。
ロードムービーはどんな時でも興味深く楽しめますが、この長飛脚という設定は志水さんの文章を読むのに最高のめっけものの題材、シチュエーションだとこの2作を読んで思っています。
「引かれ者でござい」は「引かれ者でござい」「旅は道連れ」「観音街道」3編。
「待ち伏せ街道」は「なまくら道中」「峠ななたび」「山抜け女道」3編。
ただ、これらの作品群は終わりに行けばいくほどぐいぐいひきつけられてくるのですが…忍耐力を要求するという点でハードルがどんどん高くなっているような気がします。
かなり微細な地図が必要ですし、行程を一緒に歩く根気も要求されます。 しかも実に先が見えない。 本当に一行ずつ、一枚ずつ、章ごとにようやく一枚一枚道の、登場人物の姿の、霧が晴れていく…という感じでしょうか。 正直かなりもどかしさを感じつつ、それでも読みふけっていき…最後にやっぱりそうだったんだなぁ…と腑に落ちてほっとさせられ、この主人公たちを改めて好きだなぁ…と思わされるのです。
全くどうしてこんな横道に入っていくのかなぁ…それが分からないうちはじりじりじりじり頭を焼きますね。だからこそ最後が嬉しいのですか? そこでやっと私は笑っちゃいます。
男って!と。 この!が何とも好きですね。
男を見込んで仕事の裁量を任せる勝五郎も忠三郎も見事なら難しい仕事を見事なし終える飛脚陣も見事!一仕事の後引っかかった脇道をとことん追っていく飛脚たちも凄い。そしてまた彼らもその仕事を引き受ける自分自身の背景を背負っているところも読みどころ。かかわったものに人にきっちり結末をつけてみせる器量に脱帽して読了する。もう強靭でしぶとくてかっこいい!この完璧感!街道や山越えの詳細が又限りなく興味を惹き起こす!関わってくる村人通行人が面白い。
3冊読んだところでようやく重い腰を上げて蓬莱屋の手ごまの飛脚さんたちのプロフィール帳を作ろうかな?なんて思い始めました。 仙造さんが好きで彼の登場を待っているのですが…他にもどんどん地味(そう)でしたたかで頭のいい目覚ましい男が排出されてきそうで…こっちも頭も心も整理して迎え撃たなくては…という境地?ですよ。
暇になったら三冊また読み通そうって思っているのだけれど…今が暇じゃなければいつ暇が来るんだ?というのが私の痛い処。

鉄の骨

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鉄の骨 (講談社文庫) 鉄の骨 (講談社文庫)
池井戸 潤講談社 2011-11-15
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池井戸潤著

池井戸さん4作目。 友人に「ハヤブサ」を見た後に「下町ロケット」の話をしたら、彼女が「その人TVでやっていた鉄の骨を書いた人?」「え、TVドラマになったの?」「誰だっけな、旦那が面白いって見ていたみたいよ」「えー!」で…予約しました。 面白いんならね。
以前、山崎豊子さんの作品にはまっている友人に「何で読まないの?」と聞かれたときに「あまりに作品が膨大で泥沼に落ちるかもって思うし、企業小説あまり興味無いし…」なんて答えたことがありますが。 池井戸さんの作品は(読んだものだけだけど)企業もの?かもしれないけれど限りなくエンターテインメントに近いっていうか…読みやすいのです。 手放しで楽しいという作品でもないのだけれど…夢中で読ませる力はあるし、知らない世界を目の前にありありと描出してみせるリアリティもある…と私は思う。 知らない世界にリアルを感じる私が社会的に幼いと言ってしまえばそれまでだけど、その私に共感まで抱かせてしまうのだから。
でも、経済小説とか企業小説とかに手を出さなかった人の心にまで興味を掻き立てる筆力には脱帽する。勢いがあるのね。
「空飛ぶ…」なんかはとても面白い!と手放しにはならないまでも良かった!と結末に安堵し、溜飲も下がったし、共感満載でしたものね。 読者に描いた世界の主人公に共感を抱かせる分り易さと一種の正義感を抱かせる何かがありますよね…。 そうか義憤とか正義感とか弱者に対する応援とか…恥ずかしくって思い上がりのようで普段使わない感情が刺激されるのかもしれないな。 そう、たいてい誰かを応援して読んでいるような…。 平太と宮崎顧問の妙な縁はちょっと手軽過ぎじゃないかとは…引っかかってはいるけれど…まぁいっか!だし。読んだ本がだぶらないようにと書いていた読書録だけれど、このごろ感想がどんどん簡単になっていく傾向だ。大体読み終わって数日もするとなんて題だったっけ?からどんな本だったっけ…になる。 だからこそ読書録はつけなければならないのだけれど…それを書き付けることすら忘れてしまう。 先週何読んでいたっけ?こう思う自分に愕然とする。 だからだから忘れずに書こうよと自分に言い聞かせている。

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