星間商事社史編纂室

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星間商事株式会社社史編纂室 星間商事株式会社社史編纂室
三浦 しをん筑摩書房 2009-07-11
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三浦しをん著
なんだか笑いながら読んでいて・・・しをんさんが少しわかっちゃった・・・って気分になっている。
「まほろ駅前」の大好きな彼らのかもし出す雰囲気の延長でもあるようで・・・作中に幾つも重層のように按配される幾つかの小説、幾つかの恋・・・なーんか、みんなしをんさんだ!
縦糸の社史編纂事業も猛烈に面白いけれど、よこちょにちょろちょろながれているコミケというジャンル?生活・・・最もこっちの方が幸代さんの大事な生きる柱なんだけれど・・・この捩りあわされた小説世界のどの筋もが生き生き面白くて・・・読んでいるうちに全部知らない世界ながら・・・全部あってもいいな世界になってしまって(うそです)、作中小説のどの人物の姿もありありです。 ありえない社史編纂室の上司さんたちの姿までが・・・理想の上司化しそうな恐ろしさです。 洋平君好きです!
しをんさんの小説読むのは8作目ですが、「光」以外みんな好きです。
が、その中でもこの作品は今のところしをんさんの全ての面を合わせ備えて、彼女を象徴しているように思いました。いい、いいね。生きていくのに卑屈にならない。
それに成長期の「日本商社!」を思い出したよ。 それか?妙に懐かしくも思えたのは。  これって三浦さんの小説のある種のものに対してのラブレターのようでもありますね。ま、そうなんですけど・・・テレる!

思い出探偵

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思い出探偵 思い出探偵
鏑木 蓮PHP研究所 2009-02-14
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鏑木蓮著
この作家も初めて。 友人の推薦です。 読み終えて、非常にいい読後感があったので、その他の作品を検索してみたのですが・・・残念ながらまだ余り作品が無いし、すぐ読みたいと思う作品もまだないかな。そのうち・・・と、思いますが。
さて、この際物でない?探偵。 探偵というとまず思うような探偵とは一線を画す、思い出を探索する探偵。 確かに探偵って職業を使うとどんな物語でも出来るんだなぁ・・・という感嘆。 冒頭の警察を辞しこの職業をえらんだ経緯がそのまま縦線になって様々な事件?依頼が来て・・・探偵社が仕事に掛かります。 物語が始まるわけですが、この探偵社を始めた実相浩二郎とその妻、ここに彼を慕い彼に心酔してここで働くようになった人々群像がとてもいいのです。 みんな心に負の何かをそれでも大事に抱えている。人の痛みが判る人ばかりです。そこへ持ってきて思い出を大切にする人々が依頼者として集まってくるのですから・・・いやな事件はありません。 (唯一橘さんの悲惨な過去に関わる厭な後味を残す事件があるが)暖かい気分が充満しています。 その優しさは・・・手の届かないウソのような・・・それではなく、その辺に手を伸ばせば手が届くような優しさでもあるのですね。 思いやりがあれば・・・届くんだっていう身近さですか。 伸ばされた手がふっくらと丸まってそっと掬い上げようとしているみたいなんですね。心を大切にしている人々を、よそ目でも見させてもらうってことは、こちらも満たされ、過去を大事にしたいとおもわされる感じです。だから素直に読み終わって「ああ、優しくて思いやりがあって、満たされたなぁ・・・」って気分です。 過去を大事にしないと現在の立ち居地がぶれるんだろうなぁ・・・

星と輝き花と咲き

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星と輝き花と咲き (100周年書き下ろし) 星と輝き花と咲き (100周年書き下ろし)
松井 今朝子講談社 2010-07-16
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松井今朝子著

私が今までに読んだ松井さんの作品の中では一番読みやすい作品でした。 が、「吉原手引草」「仲蔵狂乱」を凌ぐものではなかったなぁ・・・と、思う。
明治期の日本初のアイドル?明治時代のアイドル!竹本綾之助の絶頂期に至る成長の?記録といったところです。
絶頂期に引退っていうと思い出す女優さん歌手さんいますね。
でも、映画もTVも無かった時代としては物凄かったんだなぁ・・・。
日本初のおっかけも彼女をおっかけた「どうする連」だったんでしょうね。
こんな人が居たんだ!初めて知りました。大体明治にあんなに人気のあった娘義太夫というものを今聞く機会などまずありません。
先だって、安鶴さんの本牧亭を朗読勉強した時、中に新内のことが出てきたら先生に「新内聞いたことあるの?無いの?次回までに聞いておきなさいよ、実感が必要」と言われて、図書館からCDを借りてきて聞いたが・・・そのCDそのものがもう絶滅危惧種みたいだった。
だから綾之助の声がどのように描写されても、想像は付くのだが、いやつけるのだが今一どーんと心に響いてこない。 これもやっぱり聞いてみてなんぼのものだろうと思う。勿論綾之助の声が聞けるはずは無いのだが。
しかし実際に聞いてみたかった!という気分は非常なものになった。
こんなに沢山の通から素人さんまで幅広い層を虜にした義太夫語りとはどんなだったのだろう。 見ても楽しい人だったようだが、心にしみこむという義太夫をその声を、全く素養の無い今の私みたいなのが聞いてもやはり心奪われるのだろうか? ああ、聞いてみたいよ!素直にそう思わされた。 松井さんの筆力はやはり魅力だ。
しかし絶滅?してしまったのかもしれない義太夫。なんでこうなったのだろう。寄席の色物がどんどん廃れていくその廃れの走りだったみたいなのだけど、ここまで私にはこの芸の知識がない。
たったの?百年?怖ろしい百年の時代変化。あぶくのように生まれて消えていった流行の一つ、徒花?という一語が残った。
 

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