トッカン 特別国税徴収官

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トッカン―特別国税徴収官― トッカン―特別国税徴収官―
高殿 円早川書房 2010-06-24
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高殿円著
書評で読んで面白そうだと予約しました。で、結果物凄く面白くなおかつ感動までしてしまいました。この作家全く知らなく、当然どんな作品があるのかも全く知らず、初めて読んだこの作家の本が「大当たりだ!」と、思ったので取り急ぎ他の作品を読んでみたいと検索して・・・驚きました。 ティーン向けの?ファンタジ小説群を書いている作家だったようです。 ファンタジー?全然趣が違うじゃないの・・・と、驚いたわけですが・・・主人公及び登場人物ののキャラクターを際立てる作家の筆は・・・確かに・・・コメディチックが際立っていましたが単純でティーン向けでした。だからって内容そのものがティーン向けだっていうわけではありません。
いえ、なかなか見事なな成長小説でした。
ある意味ではこの人物描写の子供向けっぽいステレオタイプっぽさが、小説としての読みやすさ軽い仕上がりになっていることは否定できないものの・・・この単純さが実に見事に余分なものをそぎ落として直接心に飛び込んでくる効果があがっているようでした。・・・ふうむ、なるほど!って感じでしょうか。
読みやすい小説でした。確かに。分かりやすい。
七めんどくさく情景や周辺描写などを読み込む手間は完璧に省けますし・・・事象を素直に読んでいって主人公の成長と希望を受け取ることが出来ますし・・・何より国税庁・・・ま、私には税務署?というものへの少々硬い気持ちが融ける効果が少しありましたよ。 なにしろ私も税務署には物言いたい気持ちがそれこそ滓のように沈んでいたんですからね、心の底に。確定申告時の相談要員・担当者の質のばらつきのひどいこと!全く随分迷惑をこうむりましたよ。・・・でも、この作品を読んで、少し見直しましたかね。 今まで私が真の国税所員にぶち当たっていないだけで、何処かにはこのトッカンとトッカン助手みたいな税務署人?が隠れているのかもしれなかもって。
だからといってそんな人に当たって正解かどうか?なにしろこちらは納めるものを出来るだけ減らしたいんですからね。 その意味じゃ彼らに「巨悪から取れよ」というお客さんの方の気持ちです。 ちょっと、国税庁の人間全部、税に関わる人間全部、にこの作品を読んでおいて貰いたいものですよ。 簡単に面白く読めて、誇りももてるから・・・ねぇ、是非!

天国旅行

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天国旅行 天国旅行
三浦 しをん新潮社 2010-03
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三浦しをん著
う~ん・・・と考え込んでいる・・・ってほど深刻ではないが、この作品は私(あくまで私の)の三浦さんカテゴリーに入れるか入れないか・・・と言うところで、である。
三浦さんの振幅も・・・作家なら当然当たり前なのだけれど・・・広い。
既に過去の偉人である作家達には敬意を表して言わないようなことも、私よりお若いこれからが長い作家には軽く言えてしまう。・・・と言う無礼なところをお許しいただきたいところです。
さて、それで・・・この作品です。
微妙なところで振り子が行ったり来たりです。
なんだか好感度が売り物?の自殺幇助サイトみたいな雰囲気がある題です。 好意を持っていいのだか眉唾なんだか? それもそのはず?自殺心中、生き死にが主題の7編の作品。このうちにこれは大好き!というテイストのある物は・・・。
好きの方に「初盆の客」を置いて次に「星屑ドライブ」、嫌いの方に「炎」と「君は夜」を置いてつりあいをとる軸が「森の奥」。 こぼれ落ちたのが「SINK」と「遺言」
ってところでしょうか。 「SINK」と「遺言」は思い込みに気持ち悪さがあって、埒外にしたいです。
作家にとって迷惑な読み方ですよね。そう思いながらやはりこう思って感想に印をつけています。心にしまって置く作品はやっぱり好きで心地が良くて愛せないとね。怖くても不可思議でも謎でさえも愛することは出来るけれどおぞましいのは無理です。そして明かりが見えないのもやはりそうです。 だけどこの年になれば明かりが無いことがあるということも分かり始めています。だからこそ明かりのある物を好感するのでしょうね。明かりのある作品が読みたくなる所以です。 死は身近になりつつありますが、願いは一つ。おぞましくないこと!です。

「ていねいな暮らし」 ―ここちよい生活歳時記― 

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ていねいな暮らし―ここちよい生活歳時記 ていねいな暮らし―ここちよい生活歳時記
吉沢 久子清流出版 2006-10
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吉沢久子著

私の母の世代の人と思う。 でも主婦として家庭に埋没しなかった女性のさきがけの一人というイメージがある。 多分TVかなにかでお目にかかっても居るはずだ。 働いている人ながら主婦のプロという感じも受けている。 先日新聞で「幸せになる長寿ご飯」という本の書評を見た。 急に母なるものに触れたくなったのだろうか?記憶の底の何かに刺激されてその本を予約したのだが・・・同時にこの本も予約して、こちらが先に届いた。
丁寧な暮らし・・・と言うものから実に見事に遠ざかっている・・・という認識が私にはある。
毎日夫と顔をあわせおなじ部屋で一日を過ごしている。
同じ時間が流れていくのに、そのはずなのに・・・実はそうではない。
掃除をするのも、食事を作るのも、洗濯するのも、彼が出したものを元に戻すのも・・・いうなれば言うのもあほらしいほどの雑事を全部するために行ったりきたり、立ったり坐ったりしているのは・・・私だけなのだ。 (たまにしてもらうとなぜか当たり前のことなのに礼を言っている私が居る、なぜだ?)
掃除はともかく、トイレットペーパーを補充するのも、使い終わって床に放ってあるロールを捨てるのも、TVを見ながら居間で使った電気かみそりを洗面所の所定の棚に戻すのも、テーブルの上で回りに水溜りを作っている彼のコップを戻し洗いテーブルを拭くのも、風呂で読んでぶくぶくになった新聞をため息をつきながら揃えるのも私で・・・・きりが無いほど細かい いちいち注意する方が面倒な様々なことはほとんど私の手にかかってくる。・・・・・・なら?その大部分に目をつぶってみるか?・・・その挙句散らかり放題の部屋にストレスを感じていらだつのは・・・私だけなのだから・・・割が会わない・・・丁寧な暮らしなんて・・・なんて遠くなったのだろう?
子供を育てていたあの大切な遠い時間の方が大変だったはずなのに、ストレスは無かったのだと・・・思い返してみれば不思議だ。
しかし読み終わってため息をついてしまった。 ひょっとすると女は一人になったとき、やっと丁寧な暮らしが出来るのかもしれない。
むきになって手を抜かなくても、一人暮らしの女は汚さぬよう使い、捨てる物はその時捨て、使った物は使ったら直ぐ元へ戻し、汚した物は直ぐ洗う・・・当たり前の事を当たり前に自分のリズムで生活できれば・・・その生活は丁寧といえるのではないだろうか?・・・・・その上季節の事を素朴に感じて・・・なんと、吉沢さんは丁寧な一人暮らしを美しく上手になさっているんでしょう。

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