スペシャル エディション ナルニア国物語

題名INDEX : ナ行, 題名INDEX : サ行 266 Comments »

これは本の内容について書こうというのではありません。
本は本でも文字通り「本」そのもののお薦めです。
何が「スペシャル」で、どう「エディッション」なんだろう?
図書館の「検索」でたまたま見つけて借りてみてびっくりしました。

「スペシャル エディション ナルニア国物語」
C・S・ルイス作 ポーリン・ベインズ絵 瀬田貞ニ訳
岩波書店
です。
(7600円+税)という豪華本です。

まず重い!
私は子供向けの7冊からなる軽い!本で1冊ずつ読みましたから、
色付きの挿絵のものではありませんでしたし、この物語が1冊になってしかも美しくて想像力にピッシィッ!と、はまる絵入り本を見たのは初めてでした。
読むのも大変!
イギリスの貴族の館の図書館になら必ず置いてありそうながっちりした美しい書見台が是非にも欲しいところです。
これを支えて読み続けるには根気の他に腕力が要ります。
だから絶対これは子ども向けの本ではありません。
でも、全然違いました!
この本で読み直してみたら、まるで物語が違うような気がし始めてしまいました。
ええ、全く!
1冊づつ読んだときには感じ取れなかった壮大な枠組みとより大きなスリルと感動が本からあふれ出てくるようでした。
これは昔思っていたよりも凄い!物語なんだということがズンズン胸に響いてくるようなんです。

この物語は少なくとも読む本を選ぶべきだったんだっってことが今更に分かりました。
この物語への愛情がずうっと大きくなりそうです。
「ナルニア国物語」を初めて読むんだったら、是非この本で取り付いてもらいたいものです。
「ナルニア国物語」は子どものための想像力に溢れた楽しいSFチックな冒険お伽噺だけでは無いんです。
この物語の冒頭で「世界の創造」がされるんですけれども、1冊づつ読むとただ「そこから物語りは始まったんだ!」に過ぎないのに、この大きな本で読み始めると、創造の感動が全編を通じて心に鳴り響き続けているようなのです。
そして作品の気持ちをぴったり鼓舞してくれるような挿絵がまた心に響くのです。
と言っても、ちょっとこの本は買えそうも無いんですけれど。
高い?ええ、勿論!
それに我が家にはこの本を立てておける高さの書棚が今は無いんですよ。
こんな時にはヤッパリ図書館を利用しましょう?

城砦

題名INDEX : サ行 662 Comments »

クローニン著

この作家の作品はこれ一冊しか読んでいないのに、お薦めと言うのは気が惹ける。
しかしこの作品は是非読んでもらいたいと思う一冊なのだ。
私が初めて読んだのは二十歳過ぎた頃で、その時に買った新潮文庫が黄色く手ずれして今も私の手元にある。
どこへ行こうと、様々な本を整理しなければならなかった時にも手放す気になれなかった。
まるで私の良心の番人のようで・・・
気持ちが停滞している時、鼓舞したい時、この本を手に取ってみようと思う。
初めて読んだ時に、この作品の主人公が分け入り目指した茨の道の凄さと、それに挑んでいく粘りと頑固さに、心から敬服してしまったからだと思う。
特に最近のニュースで見る世相、特に若者のあり方、などを読んだりTVで見たりするとこの作品をふっと思い出してしまう。
貧しさの質?も変わり、働くと言うことの概念も変わり、生きることの意味もまるで変わってしまったような今、果たしてこの物語の中にあるような過酷な人生を「選択する」意義があるのかとも一方で思う。
しかしまた「いやいや、ヤッパリ人生の本質は不変だろう。」とも「若者の本質は変わらないだろう。」とも思う。
ただ、今は情報に流されることが多すぎて、自分で自分の人生の意義を見つけ難くなっているだけだろうとも思う。
だからこそ今この小説を読む意味があるようにも思えるのだ。
失われたものを求めて、見出せないものを望んで。
熱く生きるということ。
過酷なものをあえて選択するということ。
間違った道に行ってしまっても戻る方法はあるのだということ。
勇気を出せば出しただけの価値を見出せるということ。
きちんと自分を持っていれば、それを認める者もいるということ。
主人公の医師アンドルウ・マンスンの希望と絶望の中での挑戦と成長から感じるものが絶対あると思う。
挫折して、挫折して、なお諦めず進むその姿。
理想が潰えて、名声や富に屈した時の姿。
そしてまたそこから立ち直った時の満身創痍の姿。
運命と意志の力について、考えさせられ、感じさせられることと思う。
この作品を読むたび私は自分を愧じ、うなだれてしまう。
しかしまた、「人間て凄いんだ!」とも思い、「せめて何か一つ努力しよう!」とも思う。
だらけた時に自分をリセットするスイッチのような私の一冊。

ちなみに中村能三さんは翻訳者で、また補足として紹介している「人生の途上にて」竹内道之助訳はクローニンの自叙伝的小説ということなので興味がある向きにはと思って掲載しました。
Read the rest of this entry »

Design by j david macor.com.Original WP Theme & Icons by N.Design Studio
Entries RSS Comments RSS ログイン