浅草のおんな 浅草のおんな
伊集院 静文藝春秋 2010-08
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伊集院静著

3月11日の東北震災の後の自粛ムードの中…その後…自粛云々の是非はまだ収まりがつかないが、各地で色々な行事が自粛になったり、決行が決まったり、これというマニュアルがあるわけじゃないから…ドタバタだという気はするものの、自粛になった行事にがっかりしている向きも多いことだろう。
お祭りは土地の人のものだし、土地の人の祈りでもあるのだから…残念な気が強いけれど、まぁ仕方ない部分もあるなぁと、無理やり納得させられた気分でもある。
大体私はもう土地の人ではない。
しかし、もう父も浅草まで神輿を追いかけていく元気もなくなって…私もあと何回の宮神輿を見れるか?と思うと…これがまた妙にさびしい気持ちになる。
そんなわけで来週はほんとだったらお祭りなんだけど…と、思いながら急に浅草散歩を思い立って出かけてきた。
そして、浅草のいつにないというか久々の人通りの少なさに、仕方ないかもと思いつつ、またそれだけに浅草の人はつらいだろうなぁと思ってしまった。 その流れが…この本である。 たまたま図書館で目に付いてしまった。
たぶんこんな時期でなかったら手に取らなかっただろう。
この作家、一度も読んでみたいと思ったことがない。食わず嫌いをそのまま続けていただろう。
それが拾い上げてぱらぱらとめくったら…まさに三社祭のところが開いて、「浅草で祭りと言えば三社祭りしかありません」
それで持ち帰ってしまった。 なんだかよその土地の人はみんな浅草の女ってこんなだと思っているんだな(主人公は浅草の女に育った?んだけど)…と、思いながら本を読み終えた。私は一度も大人にならなかったから、浅草の女にもなり損ねたんだなという気が妙にした。
どっちにしてもどこに住んでも、女になる人は女になるんだけど…だから題が悪いわ…と思っている。 もちろんこの小説の中に封じ込まれた情緒には現実の浅草の女だった私は負けたんだけど。これは余りにも外の男が考えるタイプのステレオタイプだよとも思っている。
三社祭が来年は無事に行われますように!