使命と魂のリミット (角川文庫) 使命と魂のリミット (角川文庫)
東野 圭吾角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-02-25
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東野圭吾著

なんかちょっと大上段に?ロマンチックな題だなぁ…と思いながら、ようやく図書館から回ってきたので取り掛かりました。 そして内容も確かに大上段に真っ向から…なんて言うのか…ロマンチシフル?サスペンシフル?…んな言葉あったっけ?でした。
大筋が2本。氷室先生と西園先生の軸と直井譲治と島原総一郎の線…と言っていいだろうか? その2つの因縁物語の上に事件解明?へのプロセス、刑事七尾さんのご活躍。と、まぁ書いてもいいだろうか。 氷室先生の長年のジュクジュクとした粘着性の疑惑と復讐、譲治の失われた恋人へのくっきりとした復讐の意志とが対極に描かれて…別にこれは女と男の資質の違いではないだろうけれども…考えさせられる。
頭のいい人の復讐は…なんだか怖いなぁ・・・と氷室先生の思考と周りの人へ投げかける濃い蔭に少々辟易するものの疑惑は疑惑として読むものをとらえて離さない。 そして傍らで恋人の無念にやりきれない繊細な気持ちの一途な青年がいて…目的は確定しているのに周りの人を思いやる心が痛くて…これまた読む者の心をとらえる。 一気に読みふける魅力に満ちていて…この作家のストーリー展開はやはりうまいなぁ…と満足して読んだ。
西園先生が典型的にできすぎなことを除けば…いや島原も典型的によくない方でできすぎか…?でも尊敬する先輩の後を脇目も振らず歩いてきたらしい七尾刑事がいい出来だなぁ。
主人公の周りの人々のなんと思いやりに満ちていることか。こういう幸運はほんと、まれなんだよ。と心を戒めておこう。