あんじゅう―三島屋変調百物語事続 あんじゅう―三島屋変調百物語事続
宮部 みゆき中央公論新社 2010-07
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宮部みゆき著

「三島屋変調百物語事続」と題が付きます。2冊目になります。
新聞に連載されていると聞いていましたから…本になるのを期待して待っていました。で、出た!と、図書館に申し込んで…いったいどのくらい待ったのか?ようやく回ってきました。「事始」の続きで「事続」…この次は「続事続」なのかなぁ…なんてつまらないことを心配していますが…読み終えてもう続きを期待していますが…連載は終わってしまったんでしょうか?続いていますか?
さて、おちかさんがとても明るくなったのに…私も明るくなっています。掲載の4話も少しづつ明るさを感じるようです。
「逃げ水」のお旱さんは心置きなくたっぷりの水に取り巻かれて…穏やかにお鎮まりになるだろうし、平太も行く道が見えたし、三島屋の連中は大笑いできたし、おちかさんも。いうことなしの明るいお話。
2話目の「藪から千本」は針屋の怪談、幽霊怨霊話。だけどもそこはそれ人の心の闇が見せるお化けのお話。それでも終わりよければ…ちゃんと収まるところに収まって、おちかさんにはお勝さんという強い味方ができて、これから話の聞き方が少し変化してくるのだろうなぁ…と予感させられた。
そして3話、「あんじゅう(闇獣)」くろすけのお話。 どうしたって「まっくろくろすけ」を思い出しちゃうけど…日本の古い家の真っ暗な片隅。闇が当たり前のように家の中に蹲っていたころには確かに各家に生息していたかもしれない懐かしいお化け。 このくろすけと新左衛門とお初夫婦との交情の様には泣かされる。哀切でやさしくていじらしい。まっすぐに心にしみてくるいいお話が挟まった。
4話「吠える仏」はそのまま3話から引きずって…登場人物に青野若先生が増えそうな予感も。 それでもこういう登場人物が登場するのに…まだ100分の数話目!っていうのは早すぎる…なんて思ってみたり。
それにしても、物語性の豊かな素晴らしい才能だわ!と宮部さんに改めて…って、読むたびに、感嘆!