十日えびす (祥伝社文庫) 十日えびす (祥伝社文庫)
宇江佐 真理祥伝社 2010-04-14
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宇江佐真理著
描かれた世界も、そこに息づく人も…全く問題なく! …完璧に個々の描かれた人々とその生きざまは紛れもなく江戸の庶民だけれども…ちゃんと現在ここに生きている人々そのものでもあって…なかなかなかなかと頷いて読み終わったんだけれど…でもこの苛立ちはなんなんだろう。
あまりに人の好い人に対する…嫉妬?
なんでこんなにお馬鹿でやさしいの?…でも結局幸せに生きていく人にはこういう資質が不可欠なんだろうなぁ…という納得感もちゃんとあるんだけれど。
誠実なんだね。 この主人公は。 自分の思いにも、託された子供たちにも。 対照的にお熊を配して…その手際が?あまりによすぎるために、私はいらいらが募るばかり。
じりじりじりじり…いらいらに炙られているような按配で、どうにも肝が煮えた。
でもちゃんとわかってはいたのですよ。 だから私はお八重さんのように近所中のだれからも好かれ邪魔にされない…そしていつの間にか…本人は何かにあたるたびに自分の方が引っ越そうかなんて考える弱腰に見えるのに…ちゃんと自分の場所を確立していって、愛情もちゃんと勝ち得てという風になれないのだってことは。
そう、踏みとどまる線をできるだけ遠くにおいてぎりぎり踏みとどまっている人の繊細な勇気ですかね?ため息をついて認めざるを得ないのは?
強くなくてもいい、弱くではあっても、日常から逃げないで日常の何事にも向き合わなくちゃってことですか? 私がお八重さんから学ぶことは。それでもやっぱり…いらいらするんですよね。