家守綺譚 (新潮文庫) 家守綺譚 (新潮文庫)新潮社 2006-09
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梨木香歩著
久しぶりに「私の本だ!」と同類感を満腹させてくれた小説に出会った!
これだけ心にぴたっとフィットする本にはなかなか出会わない。先回であったのは・・・吉田篤弘さんの「つむじ風食堂の夜」
庭のうろの大きなサルスベリに懸想された主人公もいいし、隣家の何事にも動じない物知りのおばさんもいいし、掛け軸の白鷺を追い立てて舟を漕いで何気なく?現れる高堂もいい、狸にしょっちゅう成り代わられる和尚さんもいいし・・・河童やサルスベリと格闘する花の咲いた竹もいいし・・・ゴローもいい・・・すべてが奏でる世界がいい!
ある夏、南禅寺の妙にしらっと明るい庭にサルスベリが印象的に咲いていたのを見たことがある。桃より濃い色のピンクが見事に咲き誇っていた。あの光景と裏の水路閣~蹴上げの風景を頭に思い浮かべながら楽しく不思議な物語を読みました。
描かれた風景と主人公の青年征四郎君の佇まいと彼の周りで関わってくる動植物の織り成す日々を豊かに楽しませてもらってそれでいいなぁ・・・。目次の純和風の植物名がいいでしょう?
適当にのんびり開いたところから1節づつ声に出してゆっくり読むのもいいなぁ。ただね最初の「サルスベリ」を読まないと話が見えないのね。それが惜しい!久しぶりに買ってしまいました!
子どもの時から図書館で読んで二度読みたい本だけ買うというのが私の石橋をたたく性格。それが久しぶりに出ましたなぁ・・・嬉しい!
実を言うと諦めきれずに年末の朗読会で「1章サルスベリ」を読みました。意外なことに?何人もの方から面白かったと声を掛けていただきました。読んでみたいと作家の名と作品名を確認された方々がいて・・・我が意を得たり!