さざなみの家 (ハルキ文庫) さざなみの家 (ハルキ文庫)角川春樹事務所 2002-09
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連城三紀彦著

友人が「ねぇ、面白い本読んだの。で、色々考えちゃって、あなたの感想を聞いて見たいのよ。読んでみてくれない?」と言う。
この作家の名前は知っているが1冊も読んだことはない。でも、そういわれると読みたい病がむくむく立ち上がった気配。読むのは好きだし、それについて語れるのは大歓迎。彼女も図書館で見つけたというし、で早速図書館へ。
とても面白く読み終えたけれど・・・何処か胡散臭い。
丁度嫁姑物をTVドラマで見るみたいに、何処かにごまかしを隠して甘めの衣で包んで、人ってねぇ・・・って、なだめられているような・・・この薄物を剥ぎ取れたら何が出てくるんだろう?何も出てこないよ。だって「ほんとう」を見ないようにしているんだもの・・・みたいな?
ただ物語りは実に上手いのです。面白い設定から入って家族の肖像画が描かれて、それぞれにそれぞれのそれぞれなりの言い分がちゃんとリアルっぽく描かれて・・・なんと大らかな家なんだろう!
なんてそれぞれのキャラクターがその凸凹がパズルのようにうまくはめこめるんだろう。彼女の出っ張りと彼のへっこみがなんてうまくはまるんだ?
ほどのいい意地悪と、ほどのいい裏切りと、ほどのいい思いやりと、ほどのいい誠実さと・・・何より程の良い家族思い。
私って身びいきなの。よそから見て何がわかるの、この大家族の良さとその裏に隠れた苦労と許しと思いやりが?みたいに、そう大向こうから正面切って大目玉でギョロリと睨まれた感じ。
「毎日少しづつ疲れていくと、その疲れに慣れて、疲れを疲れと認識しなくなるものよ。そう大家族もやってみるといい味でるわよ。家族の丁々発止は無いと薬味のない蕎麦みたいなもんよ。やったんさい!」そういわれても・・・毎日慣れて行く重みを見つめちゃうと・・・その果てしない努力は(いや、果てはあるんですけれど)いや、私は考えただけで疲れそう。だってこれ「ほどのいい」っていうキーワード付きだけど、実生活では「ほど」は取っ払われているんだもの・・・
さて、彼女はどんな感想を期待しているのかな?