神去なあなあ日常 神去なあなあ日常
三浦 しをん徳間書店 2009-05
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三浦しをん著

あああぁぁぁ・・・と、胸をなでおろしました。・・・って言っても、作家さんは喜ばないとは思いますけれど。
しをんさんの作品「風が強く吹いてる」「まほろ駅前多田便利軒」「むかしのはなし」「仏果を得ず」と、気持ちよく楽しく大好きだわ~と大好き作家に小気味よくこのお名前を登録していたのが「光」の登場でしょう?まっさかさま・・・ヒューって気分でした。ですからこの本の広告が新聞に載った途端、図書館に飛んでいきました。
話は跳びますが、先日新聞に私の知らない作家の方が書いていました。
「作家は読まれるのが嬉しいのだから・・・でも読みたいと思った本を直ぐ読まないで順番を待って読むってことは読書人としていかがなものか?」みたいなこと。全くね!経済的事情と場所的事情を鑑みても・・・お恥ずかしい・・・みたいな気持ちになっちゃいましたよ。
でも、飛んでいったお陰で?20人ほどの待ちで・・・今申し込むと145人待ちですと。
台風が通り過ぎた後の快晴の空のように、澄み渡った心の中に生まれた作品のようでした。もうほんと、楽しくいそいそ林業の知識も頭に取り込みながら・・・今度は林業なのね、文楽もよかったけれど、うんうん林業は大事よね、日本にとって。などと、頷いていたらこの数日の雨で福岡県では大規模な山崩れがあったとか。原因について色々TVでは言っていましたが・・・林業よ、山をちゃんと手入れしていれば・・・なんて思っていました。山が崩壊しつつあるって感じは山に登るたびに思います。それも里山で、です。土が乾ききって下草も生えていない杉林、下枝など刈られたことの無い細々とした杉が情けなく立っている村の裏山をどれだけ見たことか!
三重県大台ケ原の奥の方かしら?もっと奈良よりかしら?松坂から行くとすると・・・美杉?と、地図を広げて彼がいる辺りを探しているのです。三重県から紀州に抜けるとき、心細いような道で天岩戸に出会ったことがあります。神話的な気分を感じさせる幽遠な土地でした。あの辺りを想像しながら読むのは楽しかったです。
熊やんみたいな先生がいて、自分の将来を考え付かないまま社会に放り出される子がいないと良いのに・・・と、思います。学校の先生にここまで求めるのは無理としても、その子の特性を考えてやれる大人、子供に可能性を見出す方向を示してあげられる社会を切に求めます。
私も学校をでる時、自分が何に向いているのか、どんな仕事がしたいのか、それさえも解かっていなかったことを思い出します。
たまたま就職できた会社があったけれど、そのたまたま出合った場所が居心地悪く自分を必要としていないと思えたら、どうしていたでしょう?
平野勇気君みたいな子はごく平均的でしょう?こんなやる気の無い子を受け入れて丁寧に仕事を叩き込んで仕事への愛情を示してお手本と成ってくれる大人が本当に欲しいと思います。
こういう山奥での生活に彼が美しさと愛着を抱いていく様が、村人との交流の中にはぐくまれていく様が、本当に小気味よかった!
ああ、こんな本にいっぱいめぐり会いたいなぁ・・・と、思いますが、それ以上に若者をこうやって育てていってくれる社会が欲しいなぁ・・・と、思います。こんな風に破綻した山々をも生かして人間も生きていくことってできないものでしょうか?

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫) まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)
三浦 しをん文藝春秋 2009-01-09
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風が強く吹いている 風が強く吹いている
三浦 しをん新潮社 2006-09-21
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むかしのはなし (幻冬舎文庫) むかしのはなし (幻冬舎文庫)
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仏果を得ず 仏果を得ず
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