最後の恋―つまり、自分史上最高の恋。 (新潮文庫) 最後の恋―つまり、自分史上最高の恋。 (新潮文庫)
阿川 佐和子新潮社 2008-11-27
売り上げランキング : 222235Amazonで詳しく見る
by G-Tools

lastlove11.jpg

lastlove2.jpg

8人の作家によるテーマ確定の短編集。
どこで何がトチ狂ったんだか・・・我ながら、らしくない変な作品借りちゃったよーと、思いながら帰ってきたのだけれど・・・三浦しをんさんと乃南アサさんの名が表紙にドンとあったから。三浦さんはファンだと言っていいと思うし、乃南さんは1冊しか読んでいないけど好印象。角田さんはまだ?付くけれど実力は分かっている。あとは読んだことの無い作家ばかり。
だから作家の経歴を読みながら・・・一作ずつ読んでいったのだけど・・・意外なことに?みんな良かった。好き嫌いはあるけれどもちゃんと力が入った作品をあつめてあるということは分かった感じ。
「最後の恋」だなんて乙女チック?気恥ずかしい?題だけれど、やはり女にとっても男にとっても大事なのは・・・大事な人とその思い出?
こういう作品もありだよね!うん!と、皆肯定しました。それに谷村さん作以外は、どれもちゃんと明日がありました。
「春太の毎日」はこう来ましたね?というとおりに来ましたけれど、茶化してないのがいい。「最後の恋」というテーマに本職さんが照れて・・・なんてことはやっぱり無いのでしょうが・・・そんな感じに一人で受けていました。でも本当の愛情は自分が独り占めするものでなく、徹底的に相手の幸せを考えるところにあるんだなぁ・・・と、素直な私は頷いていました。
「ヒトリシズカ」は徹底的に泣かせる。そのために書いてるんじゃないか?と思いましたね。こういう涙と官能の世界どっぷりもたまにはいいけど・・・こういうときを潜って女は再生するのかなぁ・・・必要な潜伏期間なんだよ・・・と、付け加えてオーケーか?
「海辺食堂の姉妹」はお伽噺。類型的な人物像でありえないとは思えど、このほんわりした素直な感じは悪くない。幸せに暮らしましたとさ!ヨカッタァ・・・
「スケジュール」は文句無く好きだね。こういう人居る、って言うか私そうなりたい・・・ちゃんとその人物が彷彿とするし・・・それなのに・・・ニコニコ笑えちゃうのは・・・この静かなユーモアにある。
「LAST LOVE」は彼女とお友だちも、どちらも近くに居そうなお姉さん。そう、こういう人居るのよね。余計な鎧外して自分だけになったとき見えてくるものとか、身に添ってくるものとかが、見つかったりすることってあるし。なんて、先輩面しちゃったりして。良かったわね。
「わたしは鏡」 メインのインサートされた小説がチョット稚拙な感じ。それが初々しい感じを増幅させて、少女雑誌系?なんか教室で回っていたロマンチックストーリーの小説集を思い出した。でもこれって可愛い!
「キープ」はこういう女居たら、私嫌いだ。大体知り合いにもならないね、お互い様だって?大人を気取っちゃって・・・呪われてって思うけれど・・・こういう人にも素直になる時がそのタイミングがあるんだな・・・なんて、振り返ってみたら入り込んでいたな。「本当に最高の恋がやってきたんならいいね」とまぁ言ってあげたいし。
「おかえりなさい」は上手い小説だなぁ・・・構成も内容も人の心の機微を上手に浚って丁寧にほぐして・・・ミステリアスでもあり・・・男の人の根本的弱点を上手く利用しているなっていう作品。この短編集をぐっとしめた感じがする。恋とか愛とかっていっても日常に根ざしたものにはかなわない。リンド夫人が言ったではないですか。男の操縦法1、美味しい物をたっぷり食べさせる!