カラスの親指 by rule of CROW’s thumb カラスの親指 by rule of CROW’s thumb
道尾 秀介講談社 2008-07-23
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「カラスの親指」     道尾秀介著

週の始めに図書館から届いたと連絡があり、貰ってきた。
その夜から早速読み始め、ほんの少し読んだら寝るつもりだった。ところが・・・止められなくなった。もう少しもう少し・・・と、気が付いたら明け方の4時になっていた。当然、翌日寝坊して起きたら、旦那が「昨日遅くまで起きていたみたいだね?」「うん、読み始めたら面白くて、止められなくなった。」「これ?道尾・・・?」「そう、もう何冊目かだけど、面白い作家だと思ったからまた予約したんだけど・・・ここまで化けるとは・・・今までの最高傑作だね。成長してるよ!」偉そうに言った。
言った後で気になった。新聞なんかの広告で見つけた作家で、見つけたのから適当に予約して読んだだけだもの、出版順に読んでいるか・・・?
確かめとかなくちゃ。偉そうにああ言ったけれど、ヒョットすると初作が上出来最高傑作で・・・後はジリ貧とかパワーが落ちてきているってこともありえるじゃないか?
読んだのは「シャドウ」「片目の猿」に次いで「ソロモンの犬」3冊読んで「シャドウ」が今のところベスト。さて、調べてみましょう・・・
「シャドウ」2006年9月。「片目の猿」2007年2月。「ソロモンの犬」2007年8月。それでこの作品「カラスの親指」が2008年7月。ああ、一応ちゃんと出版年順に読んでいるんだ。ジャァ、旦那に言ったことは正解なんだ・・・偉そうに言った点だけ割り引いてね。
そんなわけで2晩で読み終えた。文句無く面白かったし、実に見事に構成されてもいた。書かれた人物が皆私から見たら破天荒な人物なのに・・・愛せた。実に上手く騙されて、私も最後の彼らの詐欺の失敗に固唾を呑んだ。そして、樋口の弟の遊び心?の鷹揚さに驚かされた。えーほんとそれでまさか終るんじゃないでしょうね・・・で、最後。
いい終りだったねぇ。嬉しくなるじゃないの。テツさんの人生。彼らの人生。どんな人のだっていとしくなりそうな・・・全ての人の人生!
どんな今があっても人生どうにかなりそうじゃない?という肯定の足が地に付くことといったら!
冒頭の詐欺の出だしも実に興味をそそられる緻密ないい出だしだし。他にも忘れられない印象を脳裏に浮かべさせる情景も上手いが、一番いいのは、好きなのは、テツさんが縁側で「あちっ!」と言いながらタケさんに指の話をしているところ。縁側で掌を見つめ、指を付けたり離したりしているタケさんの背中。
あの場面は本当に秀逸、最高。私まで指を付けたり離したりしているもの・・・まだ。詐欺が「ヘロン」って、ああいう小さな景色の積み重ねがこの作品を高めているんだと思う。
で、今朝。朝刊を開いたら、この作品の「第62回日本推理作家協会賞」受賞の記事が載っていた。やっぱり!
だけど柳広司さんという知らない作家の「ジョーカー・ゲーム」という作品とダブル受賞になっていた。その柳さんのその作品読んでどっちがいいか比べてみようか?それとも先に道尾さんのほかの作品予約するか?
調べてみたら、道尾さんの新作「鬼の跫音」は80人待ち、柳さんは190人待ち!
どっちにしても・・・図書館は待たすんだよねぇ。
 

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