警官の血 上巻 警官の血 上巻
佐々木 譲新潮社 2007-09-26
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 佐々木譲著

「うたう警官」に次いで二作目。そんなに前に読んだのではないのに「うたう警官」の感想を記していないのに気が付いた。そして自分でもそうだろうなぁ・・・と納得。志水辰夫さんのいわゆる冒険物の感想が記せないのと同じ訳かな。
面白かったのだ!確かに。だけどそれは多分読んでいる間私は何にも考えずにただただ物語の筋を追って楽しんでいたのだろうと思う。丁度子供の頃にお伽噺や冒険小説をワクワクしながら読んでいたときと同じ。
あの時は主人公にそのまま乗り移って私がその冒険をしていたから、後で何を論ずる必要も無かったのだ。
勿論、この小説には(そんなにワクワクする)自分が主人公になって楽しめる要素は殆ど無いのだけれど。この自信を持って堂々延々書かれている大河小説?は流れとして読む人をさぁっと一気に運んでしまう誠実さをちゃんと持っている。
警官の血ね。正義感の血だといわれると反発してしまうけれど。職業は代々受け継がれてノウハウが効率的に譲り渡されていくことのメリットって確かにあるし・・・政治家はそれじゃ困るってことはこの頃国民は骨身に滲みているところだけれど・・・でも3代が限度だろうな・・・こういう商う職業ではない職業は、なんて思って読み終えた。
3代目で謎が解けるなんて・・・これって凄い僥倖だね?なんて、ちょっと思っているけれど、1代目より、2代目、3代目と何か厚い皮が被さっていき、スキルの向上以上に正義と言うものにまで瘡が被さってきたような気配も這い登ってきたような?だから「やっぱり3代が限度だね、世襲は・・・」と言うところに落ち着いて、それが主な感想になった。
丁度清二さんが警官になった年に生まれた私は丁度彼ら3代に付いて自分の時代の一つの側面を見た、という楽しみも別にあったし。
それに図書館で百数十人を待っている間にテレビドラマ化されてしまって、つい見てしまって(だって吉岡君がでたんだもの)、どのくらい丁寧にドラマ化されたのかな?なんて確認に勤しんでしまったという体たらくも・・・不本意だったな。
横山さん、志水さん、佐々木さんってどんどん読んでいきたいと思わせる作家だな!