江戸の爆笑力―時代小説傑作選 (集英社文庫) 江戸の爆笑力―時代小説傑作選 (集英社文庫)
細谷 正充集英社 2004-12
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 細谷正充編

 
同じく企画の短編集が続きます。これも同じ伝で、爆笑だけではありません。苦笑、失笑、微笑、哄笑・・・色々な笑があります。だから表題は措いておいて・・・。「わたくしです物語」だけ既読。この類の周五郎作品は大好きですから。共通するきりきり舞いをさせられる人が特に大好きです!
泡坂妻夫さん、先日亡くなられました。多分初めて読んでいるときに新聞のニュースを見たのです。民話寓話的な小品で困り抜いた神様の顔が見えるようでした。したたかな庶民のしたり顔も。・・・と、思ったら新作落語とか?へぇ・・・落語かぁ・・・なるほど!でした。
「蚤とり侍」くすっ、「大江戸花見侍」馬鹿笑い、「反古庵と女たち」も笑えなくは無いんだけど笑うまでがなんだかめんどくさい。
「妻を怖れる剣士」女性からみればはなんともお気の毒だけど・・・笑ってもいられない。男ってこんな単純じゃないもんね・・・ってところ?「黒船懐胎」は笑えた。
問題は風太郎さんの「伊賀の聴恋器」で、この作品「笑」に括れるかな?この服部大陣って食わせ者、その人に愛嬌が無い。作り上げた物はおかしいが、呼び起こした事件には笑えない。この変な作品はこの括りには絶対無理だ・・・と思う。大体風太郎さんのおかしさは余り素直ではないという気がかねがねしている。明治物は結構好きだけど、それでも捩くれたいがいがな何かは舌に残る。この作品も当の本人がぺしゃんこになって片は付いたが、ここで笑えるのは最後の一行の結末だけで・・・それもかなりひねくれた皮肉な捩れ笑い。最後に据えた「わたしです物語」で全ての厭味を「取っ払ってください」という編集?