恋いちもんめ (幻冬舎文庫) 恋いちもんめ (幻冬舎文庫)
宇江佐 真理幻冬舎 2008-06
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宇江佐真理著

「この頃時代物を書く女性作家が増えていないか?」本屋で見つけたからためしに買って読んでみた。」と、父が電車の中で読み終えたからと置いていった。・・・って、この頃?良く見てみると彼女は私と多分同学年。決して新鋭ではないと思われますが。そういえば新聞の広告欄でこの作家の名前を見るようになってからでも大分経つ様な?。でも縁が無くて?多分まだ出会ったことが無かったのだろう。こういうのもひとつの出会い!
そうだなぁ・・・ごく普通にありそうな家庭、ありそうな職場?環境、ありそうな恋愛・友人模様、そうだなぁ・・・「やっつくれ」とか「滅法かいもなく」とか江戸言葉らしいのが多量に使われていなければ?時代ものじゃなく時代に囚われずに読める!っていうか、人間は変わらないものだなぁ・・・でも、舞台をお江戸にした分柔らかくって潤いがあって情緒を楽しめて、得した感じかな?と、読み始めた。
ところが不思議だなぁ、出てくる女性たちは普通に泣いたり怒ったり感情の動きも、行動もごく当たり前の娘たちなのに、今すぐそこで恋をしているかもしれない現代の女性たちと変わらないような事をしているのに、読んでいるうちに‘より’可愛くいじらしく思えてきて、これはやっぱり意地っ張りでも、強情でも、意地悪でも、それでも滅び去った大和撫子たちのお話なのかもなぁ・・・なんて最後には思ってしまった。それだけ現代って恋や愛が難しい社会になっているってことかなぁ。
源蔵とか佐平次とかおじさんたちが意外に生き生きしていて物語が膨らんで現実的に思えたのは、こういう人物の書き方が丁寧だったからかな。その分火事以後の栄蔵の行動が妙に作られすぎで・・・ちょっとしらけたかも。人情話の作りすぎ、せっかく自然な成り行きで来ていたのに惜しいような気持ち。それとかなり後口のいい物語に仕上がったのに、おきんさんを死なさないでもらいたかったなぁ・・・どう考えたってその必要ないのだもの。