宮部みゆき著

本当なら「ぼんくら」を先に書くべきだなぁと思いつつ、今読み終わったばかりだから、フレッシュなうちに・・・。
「ぼんくら」は読み終わったからと父が置いて帰った。
好きな宮部さんの作品だから直ぐ飛びついて読んでしまった。
一気に読んで面白かったんだけれど、ちょっとこう思ったのだ。
「宮部さん、一息入れて遊んだな?肩の力抜きまくって、思いっきり気楽に楽しんで書いたんだな。」
だから?読む方も思いっきり楽しくすっ飛ばして読んでしまったけれど、ちょっとそれきりっていう感じだったかな。
それに人物造形が今ひとつなりきっていないと言うか「余りにも作り物っぽいや!」って言う気がして。
主人公の「ぼんくら」さんも登場人物も皆面白かったのは確か!
でも途中「おい、黒豆さんはあれっきりかい?」とか「うへぇ、霊験お初より嘘っぽいよ!こんなのいるわけ無いでしょが!」とか突っ込みながら読んだのも確か!
(でも霊験お初は大好きです!念の為)
だから、「日暮らし」が出た時、狭い我が家にまた蔵書が増えるのもなぁ・・・なんて思って、図書館に予約したのだ。
それがナント!今の図書館は凄いよ。
「260人待ち」なんて、出るんだから。
私みたいなファンが多いのかしら?ゴメンナサイ、宮部先生!
そして、忘れた頃に図書館からメールのお知らせ。

貰ってきた日に「ぼんくら」よりモット一息に、寝ないで読み上げてしまった!と言うわけ。
待っている間に頭の中で彼らがお酒のようにまろやかに成熟していたのかなぁ?
今度はすっきり飲み込んで突っ込みいれる間もなく楽しんでしまった。
実際作品そのものも熟成していたんじゃないだろうか。
宮部さんの頭の中で一人一人の個性も物語も。
「いやぁ、人物がなんとも皆いいねぇ!」って言うのが今回の合いの手!
あの長屋顛末記の後日談としても。
エピソードそのものにはちゃんと毒も凄みも悪気もあるのに読後がまろやかなのは人物の良さもあるけど、締めくくりのハッピーエンドもあるけれど、文体の・会話のお遊びもあるからだねぇ。
こっちも主人公の性格があやふや(ぼんくら読んだ段階ではね)なりに持ち味が飲み込めて物語の顛末をじっくり味わう「下地が熟成されていた!」みたいなんだ。
こんな旦那と一族郎党各町内に一揃い欲しいなぁ!
おでこや馬面はそこらで見られそうだけど、でも弓乃助に会ったら・・・全部お見通し?
そりゃちと剣呑・・・わたしゃすたこら・・・だわさ。