ちんぷんかん ちんぷんかん
畠中 恵新潮社 2007-06
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 畠中恵著

「しゃばけ」シリーズの6になるのかな?順番通りに読んでいないと頭の中であいまいになる。
作者もこれだけ書いてくると本当に書きたいのかあいまいになるのかな?熱狂を持って待たれるシリーズ物を書く作家に必ず生じる葛藤?そこまで、まだ続いていないか・・・と、読みながらちょっと頭をかしげた。
妖を使うお話だけに作中人妖を思い通りに動かせるつもりが煙に巻かれた?とにかく読み始めは「?」付きで、何か足りないぞと思いながら読んでいた。1話「鬼と小鬼」はまさしく煙に巻かれた挙句の三途の川の鬼話だし?だけど2話目は表題になっている「ちんぷんかん」。当然この作品中の目玉?広徳寺の寛朝様は前出ですが、寛朝様の弟子秋英さんの成長話です。9歳の時に小坊主になって今この話の時には秋英さんは22歳になっている。だけどここでちんぷんかんになったのはお話が急に13年経ったように思えないところで生じたのではないかな?9歳と22歳の秋英さんに違いが見つからない。成長していないじゃない。この秋英さんは9歳のままの心を持っているから?時の経過が腑に落ちないので多分このホット?心を和ましてくれるに違いない秋英さんのキャラクターが今一心に浸透してこないのかな・・・惜しいなぁ・・・
こういう雑誌に掲載された小品を一冊の本に編む時、設定部分の繰り返しを整理してくれるとありがたいなぁと思います。
繰り返される設定説明がわずらわしく感じられるのです。このシリーズだけのことではないのですけれど。軽妙に読み進み楽しみたいものにこそ、そういう配慮はあってしかるべき・・・なんて。
「男振り」はこのシリーズのファンとしては楽しみな昔語り。お母さんのおたえさんの若き日の恋?と父藤兵衛さんとの結婚のなりゆき。なるほどなるほど・・・なのですが妖の血が半分も流れている(若旦那より濃い)お母さんのお話にしては期待より薄かったかな?
藤兵衛さんのキャラクターが面白そうなので、今後お兄さんの現実化してくる縁談にどう関わってどんな心を見せるのか?興味がありますがねぇ。
「今昔」も余り楽しくなくて・・・やっぱり?と思ったら「はるがいくよ」でほっとしました。このお話は若旦那らしくて他の皆も皆らしくて桜の春とリンクする小紅の一生のはかないお話と惜しむ心が素直に読む心に届く佳作でした!これが私の期待する畠中さんのしゃばけだわ!そういうわけで次が早くとまた、待たれる心地で、よかった。

イラストのファンになっちゃった。