東京バンドワゴン (集英社文庫 し 46-1) 東京バンドワゴン (集英社文庫 し 46-1)
小路 幸也集英社 2008-04
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小路幸也著

まず温かいなぁ・・・懐かしいなぁ・・・良い感じだなぁ・・・と思いました。語り口も素朴だし、登場人物も皆型にはまったように良い人ばかり。こんな本を読むのもたまには良いなぁ・・・
紹介文には「一癖も二癖もある面々が・・・」とあるのだが、これは一癖なんてものではありません。殆ど“まっとう”です。私にはごく普通の下町の人々に思えましたが・・・それを言ったら、昔私の家の周りに住んでいたご近所さんたち、おじちゃんおばちゃんの方がずーっと一癖も二癖もありましたって!それだけ今は私たちの周りにはまっとうな人がいなくなったってことかもしれませんね。
丁度この「バンドワゴン」という店のあるような町で育ったので、少なくとも私の子供の頃は玄関はいつも開けっ放し、横の台所への通路にはしょっちゅう「おもらいさん」が何か無いかと覗きに入ってきましたっけ。でも誰もその人たちに驚きもせず「あー、来たの?何かあったかしら?」って感じでしたっけ。そんな昔の事を思い出してしまいました。いまじゃ友達もご近所さんも電話で約束しなくちゃ訪ねあいもしません。今は玄関ロックがあって、さらに各部屋は昼でも鍵を掛けドアチェーンをしているという体たらくです。どこで何が違ってしまったのでしょうね?なんて。核家族で育った私は主人の田舎の三世代同居に一週間ごとに?音を上げていましたが、子らの世代はその二世代すらも考えたことないかもしれませんね。
堀田家はここだけ次元が狂った一昔前の夢の落とし穴みたいです。「東京」の「京」の字の口が日なんです。しかも語り手が死後もこの家にとどまっているおばあちゃんで子や孫の中にはその存在に気付いている者もいるという素晴らしさです。色々な出来事はありますが、でもそれは出来事ではないのです・・・タダの日常?そう、人がご近所さんたちとまっとうに付き合っていたら普通に起こるに違いない程度の出来事なんです。でも気の利き具合、感の良さ加減、対処の落としどころ、すべてがGood!って感じ?その気分がとても気持ちよいのですが、じゃァ「うんと若返らせて美人にしてやるから」といわれてもとても亜美さんにもすずみさんにもなれるとは爪の先ほども思いませんけれど・・・
でも読む分には最高の居場所です。
それにしても、題だけではこんなホームドラマだなんてわかりませんね。最初てっきり音楽関係のエッセーかと思いましたもの。ま、Loveを叫ぶ伝説の?ロッカーはいるのですけれど。