黒笑小説 (集英社文庫 ひ 15-8) 黒笑小説 (集英社文庫 ひ 15-8)
東野 圭吾集英社 2008-04
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東野圭吾著

「まぁまぁお人が悪い!」アハハ・・・とか、「まぁなんとお商売人さんでいらっしゃる!」ウフフ・・・とか、「おやおや先生は今怖い物はなさそうですのね!」ククク・・・とか、「おやまぁ罪作りな・・・」とか思いながら最初の4短編読みました。
全部で13短編納められています。その中の最初の4編は内幕物とか馴れ合い物とか言う言葉が頭の中でちらちらしました。
そういえば昨日友人から夏休みになると新聞や小説雑誌で「お薦めの読書」特集などするけれど、業界は今危機感からか、なりふり構わず・・・みたいね。競合する出版社の出版物をお薦めに入れていたりするのよ。細かく見てみると面白いわよ。」とメールが来ていました。
この4つの業界物を読んだところですので腑に落ちました。
「その売れっ子作家の次作をその会社は狙っているのよ、きっと」なんてね。しかも編集者さんたちは結構きつい揶揄を受けているのに・・・「このモデルは俺かな?」なんて思いながら出版にこぎつけたのでしょうかね?そう思うと売れて銭になる作家の凄さが凝縮されていると読めます。自分を笑えてこその毒です。だからこの短編集ではこの4作でまず笑いましたけれど、余り気持ちのいい笑ではないのです。題どおりですね、まさに!
それに「選考会」ではどきりともしたのです。この頃「なんでこんな本が売れたのか?」と思う本が結構ありますからね。「Movies Memoranda」の「ジャージの二人」で述べたとおりです。あの作品を思い出すと私も「寒川先生」の線を行っているのだろうなって納得です。でもマァ、それぞれの時代ってこともあるしね。友人が言っていましたっけ「定年になったら旦那は時代劇チャンネルにお守りしてもらっているの。現役時代には馬鹿にしていた黄門さんまで見ているのよ、全くもう」って。好みは好み時代遅れでも面白くない物は面白くない!好きな物は好き!
だからこの後の作品はだいたい笑えたけれど、印象と毒でこの4作に負けた。それらは他の作家でも読めそうだけれど、この4作は今絶頂の東野さんでなくては発表できないかも、だもの。大体において男の人の方が楽しめる作品集です・・・かな。「ストーカー入門」なんてホント、笑えましたけれど・・・やっぱり何処か笑えない(笑いたくない)って感じかなぁ。
今まで気にしたことは無かったけれどこれからは「その本はどこの出版社から出たか?」も要チェックだね。
たまたまこの作品をチェックしましたが、同類の作品が後二作あるんですね。「毒笑小説」「怪笑小説」と。
ただこの作品群は自分で読むと皆何処かで笑えるけれど、読んでもらっても面白くないかもね。星新一さんの作品をTVで色々料理しても自分で読んだ時ほど面白くないように。といっても同じ毛色だというつもりはありません。