ダイイング・アイ ダイイング・アイ
東野 圭吾光文社 2007-11-20
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東野圭吾著

東野さんは今絶頂期の作家なんでしょうか。この本「出た!」即「予約登録」やっと手元に。でも今現在の段階でまだ560人も予約しています。「流星の絆」は800人待ちを記録しているようです。私は確かまだ「夜明けの街で」が200人待ち「黒笑小説」が20人ほどの待ちですか。こんなですから本当は「待ち」の無い彼の作品からどんどん読んでいけばいいと思うのですが・・・油の乗っているのは「今」かもしれない?東野さん、私はこれが5作目になります。
読む気になれば本当に作品はいっぱいあります。
「赤い指」も犯罪事件でしたが、家族の事件といった趣でした。
この作品は犯罪者の贖罪がテーマだと思いました。
最後まで引っぱるミステリーは読み応えありましたし、自動車事故と加害者の記憶喪失とが織り成す謎の解明は一寸オカルトなテイストも加味して一気に読ませる力がありました。
読後感もだから「赤い指」より気分は楽?で(親だからね)、一つずつ真実に近づいていく主人公の雨村慎介という男の執拗さと悪さ小利口さが魅力でもありました。全く悪い男がいい人より人をひきつけるのってなんででしょう?これも永遠の謎ですか。
それにしてもよっぽどいい男だったのでしょうか?どうしても解からないのは瑠璃子の復讐のあり方です。瑠璃子は江島に「あなただったのね、私を殺したのは・・・」と言うまで慎介だと思っていたのでしょう?それでは復讐のあり方が慎介の場合の複雑さと、江島とわかってからの直裁さの間にある物はなんでしょう?慎介には何を望んだのでしょう?(状況的に仕方なかったと、思ってみる?)この辺がわからないですねぇ、しかもこの部分がかなり引っぱる・・・作者のサービス精神?まさかね?猟奇性を狙ってみた?
一人の女性を轢き殺してしまった二つの車、その二人の運転者と二人の代理犯人・・・面白い設定でした。実際この手のすり替えは明るみに出た以上のものが実生活の中には隠れているのでしょうね。
とてもありえるリアルな設定です。そこに被さる被害者そっくりの女性の謎、その目の魔力・・・オカルトか?とその部分で一寸退くきましたけれど、変なところが随分あるようでしたけれども、読み終わってみたら・・・テーマに妙な納得感がありました。
多分大抵の読者がそう思うかもしれませんね。
やっぱり罪は直ぐその場で償いを始めなければ駄目なんだ!と言うことでしょうか。(犯人を)隠してやる、護ってやるということは却って傷を深くするという当たり前すぎる納得になって胸にしっかり降りてきました。交通事故死も殺された本人家族にとっては殺人にまぎれもありません。もし無念に死んでいく人がその間際に犯人にあの「ダイイング・アイ」を捩じ込めたら、「死刑論議」(それにしても最近やたらに精神鑑定が多すぎじゃありません?無罪になった人がまた事件を起こしたら鑑定を要求した弁護士はどんな責任を負えるのでしょう?)を省いて犯人を罰することが出来るのに・・・でもそば杖を喰らう危険もあるなぁ・・・実際精神を病まずにいられないような社会に私たちは住んでもいるし・・・交通事故は運が悪かったと言いたいような状況もあるし・・・と、まぁ色々様々な事を思っていました。作家の若い(私より10歳も!)才を感じさせられました。以前の作品を読んでいないのですが作家が多作だと・・・楽しみにしているくせに・・・一寸雑にならなければ・・・いいけどなぁ・・・って思ってしまいます。

流星の絆 流星の絆
東野 圭吾講談社 2008-03-05
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夜明けの街で 夜明けの街で
東野 圭吾角川書店 2007-07
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使命と魂のリミット 使命と魂のリミット
東野 圭吾新潮社 2006-12-06
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