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畠中 恵角川書店 2007-09
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畠中恵著

「しゃばけ」シリーズではありませんが、これも妖怪時代ファンタジー?の1冊です。
そしてやはり楽しい読み物ですと言っていいでしょうね。
「付喪神=器物の怪で、生まれし後、百年の時を経て精霊を得るものがいる。もはやただの“もの”ではなく、物の怪の名が付く妖だ。」
と本に書かれています。その付喪神が沢山住み込んで?いる損料屋出雲屋が舞台です。このなかなか一筋縄ではいかないが人の良い?付喪神が結構な働きをしてくれて、ま、一件落着となるまでがお楽しみです。
最初の序で付喪神の立場が明かされ、第1章で彼らが活躍して一つの事件が解決され、その章でまたこの物語を通しての中心となる一つの謎が提出されます。残りの章は順番に活躍する幽霊や道具の名が当てられているのですが、それが全部色の名だというのが妙ですね。謎の「蘇芳」は色の名であり、香炉の銘であり、探すお人の俳号でもあるのですが畠中さんは蘇芳色がお好きなのでしょうか?と、ふと思ったのは私の母が花蘇芳が好きだった事を思い出したからです。余談。
私はこの本を読み出した時、この1章目でてっきり付喪神が活躍する一種の探偵小説の短編集だと思いかけました。でも蘇芳で物語が繋がっていくのがわかって、じっくり腰を据えました。でも読み終わって何故かかえって少しがっかりしました。
短編で、彼ら付喪神の働きを小刻みに色々なバージョンに工夫して見せてもらえた方が面白かったんじゃないかな?という気がしました。一つ一つのお道具がそれぞれに活躍する探偵物?
蘇芳を追っていく道筋が妙にまだるっこく思えたからでしょうか。1章の勝三郎の事件を解決したスピードの方が捨てがたい。それは確かに手軽すぎるかとも思わないでもないけれど、付喪神の出し入れ(貸し出し回収の工夫も読みたい!)が、またその報告の面白さが、その方が生きたのではないかという気がするからです。この後の章で清次とお紅の気持ちが中途半端に分からない(読むほうは先刻承知!)のをずーっと引きずっていくのが妙にまだるっこしく思えてね。その分清次の動きが鈍くなりました。
「江戸っ子でしょ?しゃきっとしなさい!シャキット!」みたいな気分でいらだっちゃったのです。ちゃっちゃと動けばチャチャッと解決できるでしょうに?
付喪神がそれぞれ個性を持って描き分けられているのだから、こうもりの根付の野鉄みたいに飛べたりするものまでいるのだから、話もスピードアップできるんじゃないの?なんて。皆これもあれも、主人公の二人がきりりとしない所為ですよ。
何はともあれめでたしめでたしになったこの出雲屋の二人のためにも、すっかりやる気十分になっている付喪神さんたちの為にも、粋な威勢のいい、きりっとしたお話をと、楽しみに待っています。