青い鳥 青い鳥
重松 清新潮社 2007-07
売り上げランキング : 7202
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る by G-Tools

aoitor.jpg

  重松清著
この作家の2冊目です。
で、簡単に、「ブランケット・キャッツ」より好きでーす!
「物凄くよかったでっす!」と、小学生みたいに言っちゃいます。
このところいい本に「当たり!」通しです。
「まほろ駅前多田便利軒」並によかったです。
「他に切り口は無いの?」って自分に突っ込みたいくらいですが・・・
「カシオペアの丘で」というのを今待っているところなのですが、これは私には初のこの作家の長編です。この本が余りに感動的だったので、ワクワクして首を長くしているところなのです。
さて、この青い鳥は8話で構成されているのですが、柱は村内先生という吃音の、だけど生徒に寄り添うことをのみを考えている先生です。
小学校から高校まで、いや現在ではまだ子供としか思えない大学生までかな?各クラスに是非とも一人配置していただきたい先生です。そうできれば・・・!
問題を抱えている生徒の所にまるで降ってわいたように!誂えたように?この先生が現れます。
そしてその生徒とこの先生の織り成す数日のふれあいが奇跡のような感動をもたらすのです。勿論出来すぎです。でもその生徒のために本当にこうあって欲しいなという祈りが通じたような嬉しさを感じつつ読み進みました。
先生の伝えることは「そばにいるよ」ということ!
上手くしゃべれないから本当に「大切なことしか言わない!」こと!
色々な意味で糸が切れ掛かっている子をそれぞれの人生にしっかり結びつけて先生は去っていきます。
本当に危機に現れて乗り越えられる見込みが付くと「間に合った!」と安堵して先生は去っていきます。
私自身はここまでの危機に陥ったことが無く学校を卒業してしまったので、先生にもめぐり合わなかったのだなぁ・・・と、少々がっかりです。
でもそこまで行かなくても、問題を抱えていなくとも、この先生が8話の間でそれぞれの生徒に伝えたことを読むだけでも何か得るところがあるのではないか?いつか何かの時の一助になるのではないか?とありがたく思えてしまった本です。
先生が真っ赤になってつっかえつっかえ言う言葉はスルスルと流れてくる言葉より耳にしっかり引っかかります。伝えようとする人の必死さが伝わらなければ、自分にかまけきって溺れかけている人には聞こえっこありません。
どんないい言葉を言われても、耳に残らなくてはお終いですものね。
耳に痛かったり、刺さったりした言葉は忘れられないものです。それと同じことかもしれませんね。
でも先生が言うことは大切なことだけなんです。大切なことってそんなに多くはないんですね。
これはありきたりの筋書きかもと思いながらも「カッコウの卵」では先生に後光が射しました。ありがたいと涙で先生が去っていくバスを見送りました。
こういう先生を養成する教育課程って出来ないものですかねぇ・・・絶対必要。