ブランケット・キャッツ ブランケット・キャッツ
重松 清朝日新聞社 2008-02-07
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重松清著

お名前は本屋さんでよく見ていました。でも最近「極上掌篇小説」でこの方の短編読まなかったら、多分まだ取り付いていなかったかもしれません。
出版関係の会社に勤めている甥が「ほのぼの系が好きならお薦め。」と、言っていましたっけ。全編を通じて感じられる柔らかさがこの方の持ち味かしら?
大体私は猫より犬派です。
赤ん坊の時の猫の可愛さは確かに・・・認めるのにやぶさかではありません。以前ダンボールにもう抱きしめたくなるような猫の子が6匹、「どなたか飼ってください!」と描かれて道端に置いてありました。通る人皆思わず「可愛い!」と、抱き上げるのですが・・・。
「猫も必死だから、産まれたときは本当に最高に可愛くなるのよ。」と通りかかったオバサンが言っていました。
私は猫を飼ったことが無いのですから猫の眼差しについて言える立場ではありません、が、犬のことなら・・・犬の目は最高です!と自信を持って言えます。動物というものを家の中で飼うということに常に「?」を持っていなかったら、またこれほど旅好きで家を空けることがしょっちゅうでなかったら、絶対犬を飼っているところです。

最近は外を全く知らない猫が居るらしいですね。友人の息子さんは一人暮らしで猫を飼っていますが、飼ったときから1度も外に出したことが無いそうです。「家の中しか知らないのだから、問題ないのよ。」と、彼女は言いますが、可哀相でならないと思うのは私の先入観のせいでしょうか?
さて、この物語に出てくる猫は本当に凄い!です。どんな親友よりも、どんな戦友よりも、利口で頼りになります。心を解いてくれもしますし、生きる道を教えてもくれます。猫に出来ないことは無い?
猫好きの人なら、我が意を得たりと文句無く肯定するのでしょうか?
1話では切なく、2話では悲しく、3話では淋しく、4話では切なく、5話では頼もしく、6話では素晴らしく、7話ではいじらしく・・・物語は猫の周りで展開します。
それにしても、そもそもレンタル・キャットって本当にあるのですか?寡聞にして私はこの商売を知らないのですが・・・私も助手席に乗せるどっしりとした年老いたブランケット・キャットがいてもいいな。運転しなくなってもう7年経つけれど・・・北海道の真っ直ぐに続く道を気の合う落ち着き払った猫ちゃんとならまたドライブできるかも・・・なんて。年取った猫というと直ぐに昔の化け猫の映画を思い出すんですけどね・・・ホントは。
1話ずつ、1匹ごとに、ふうっと猫が身近に寄ってくる感じ。
ひょっとして私猫好きだったのかも・・・なんて錯覚が錯覚じゃなく思えたりして。
犬だったらもっと会話しちゃって湿っぽくなってしまうのかもしれない。犬は確実に同情してくれちゃうもの。だから私はこの物語の中では旅に出たブラウンクラシック・タビー、アメリカン・ショートヘアーの猫がなんとも好きだな。男気があるじゃないの!
猫も犬も野生の呼び声に目覚める時がやっぱりあるのだろうか?そして1度目覚めて放浪の味を知ったこのタビーは「旅―」となってもうレンタル猫では居られないんだ。そうさ、そうでじゃなくちゃ
猫とはいえないでしょ?なんて思いつつ、一寸猫に詳しくなったかしら?いえ、これは特別中の特上の夢の猫さんたちで、猫好きの人にも憧れの猫さんのはずだよ・・・。ペットが見させてくれる夢の中でも極上の夢を7匹の猫さんに見させていただきました。