ソロモンの犬 ソロモンの犬
道尾 秀介文藝春秋 2007-08
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道尾秀介著

「シャドウ」「片眼の猿」に次いで三作目。で、この作品が今のところ一番好きかも・・・なんて思いながら読み始めた。この作者の文章は前にも書いたけれど、妙に?読みやすい。素直なテイストって言っていいかなぁ。
それにこの作品の底に流れる「不審」感が魅力的。
何だろう、なんだろうって、それは、その感じは何だろう?って思いながら引きずられていく。
会話で作る空気に不審が匂う。
主人公のあいまいな性格がこの作品のあいまいさを増幅して、はやく隠されているものを分かりたい一心で先へ先へ読み進む。
「犯人はこの4人の中にいる?」「本当に?」
「じゃぁ、犯人が割れる?どこで?」
そうしてこの作品に緊張感が生まれる。意外と?この作者は技巧派じゃない?ごく日常的な学生生活が続いて・・・分かりやすいはずの会話がそうは見せない。
でも果たしてこの会話は分かりやすい会話なんだろうか?字面だけ見ればね、でもあいまいな不審が掻きたてられるでしょ。
で、流れ込むのが最後のあれ。
テーマとか主張とかはなくても雰囲気に迷わせて読ませる、これも面白い・・・って思っていたのに、なんてことの無い結末に一寸肩透かし、って、あれ最初のフェイント許していいのかな?ごく穏当な結末・・・これなら確かに確かだけど・・・これで良いのか?たわいなさ過ぎな感も。
マン・マミーヤ!が出色だから許してもいい、かも。
あの動物学・生態学ホントでしょうね?それなら許してもいい、かも。
だけど私にはまだ「シャドウ」かな。
オービーの動きを読んでいて我が家の愛犬を思い出したので一枚挿入

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