童謡詩人 金子みすゞ―いのちとこころの宇宙 童謡詩人 金子みすゞ―いのちとこころの宇宙
矢崎 節夫JULA出版局 2005-01
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矢崎節夫 監修

友人が「良い本あるのよ、持ってきてあげたわ。」と言ってこの本を差し出した時、私は一寸引きました。
「わぁ、立派な本ね、でも読む本に追われているから何時読み終えてお返しできるか・・・長くなっちゃ悪いわ。」
「いいのよ、あげてもいいくらいなの、何度も読んだから、お宅に措いて好きなときに読んでくれれば良いから。返すの忘れてもいいわよ。」
そんなんでよければ、と言ってお借りしました。

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金子みすゞさんの詩、好きです!幾つも知っています。めぐり合うたびに好きだなぁ!と、思います。でもそれは今まで出会い頭の衝突!みたいな形で読んでいたからです。ここまで立派な本になって彼女の人生まで書き込まれていると・・・と、思うとちょっと憂鬱になったのは何ででしょう。彼女の短い人生を知っていたからかもしれません。彼女自身もただ作品だけに眼を向けて欲しいと思っているでしょうに?私の知っている彼女の詩はどれも掌に大事にそっと措いて優しくなでてあげたいようなものです。そして心の中でそっと リズムを刻んでつぶやけばいいものです。
この立派な本の中の、私の当然知らない詩たちは、ひょっとしてとっても見事な詩なのかもしれない?っていう気になったからかもしれません。彼女の人生を描いたドラマも舞台も見る気にはなれなかったのですから。
出会ったときにふっと優しい暖かさを感じたり、ハッと不思議なかわいらしい角度に首を傾げたり、見知らぬ心の目を見開かされたり・・・そんな驚きが欲しい詩人です。大上段に読ませていただくのは妙にそぐわない・・・?下手に紐解けば粉々に砕けそう。
2ヶ月もほっておいた後で気が引けて流石にお返ししなくては・・・と、読み始めてみれば、やっぱりそこにあったのは紛れも無くみすゞさんの詩でした。詩の通りの手跡と魂と。
時々何かの弾みで引き出しから飛び出してくるなにがしかのみすゞさんの残した小さな断片が、その時どきの私へのプレゼントみたいな歓び?
みすゞ全集の方でなくて良かったのかな?と全作品に一ぺんに出会わなくて済んでほっとしました。この人の詩は出会いの形が必要です。「あぁ、こんなところに落ちていた!」みたいな。最もそんなこといっていたら、めぐり合わないままになってしまうものも・・・ジレンマね。
96ページまでで、その先は遠慮しました。
「ひかりの粉」は降ってきたときあびるもの!