宮部みゆき著

さてさて、続けて不思議ワールドの小説ということになりました。
図書館の都合です!
あやしうらめしあなかなし」の後に「あかんべえ」を配本してくれるなんて図書館もやるもんだ!浅田次郎さんのこの小説の後の口直し、迎え酒?
宮部さんの「あやし」の系譜ですが作品的には「ぼんくら」「日暮し」の系譜かな。
超能力系脱力系お楽しみ系・・・なんて勝手に系をつけていますけれど、何しろ懐が深くて様々なジャンルの作品を量産できる凄い才能なんですから、読むほうもそれなりに系統つけて整理しなくっちゃ。
亡者さんを見える人の定義が面白い!自分と同じ苦悩を背負って死んだ人の亡者なら見えるっていうの?同じ過ちの淵に佇む人の前に現れるっていうの?
『あやし」の系譜と書きましたが、あやしのような悲しみや苦しみが深くなく読めるのは亡者さんたちが自分たちが成仏できなかった理由を忘れちゃって春風駘蕩?それにおりんちゃんの健気さもあるのでしょうね。そのあたりで脱力系と思いましたが・・・作者にとっても肩の力が抜けている?・・・だから「ぼんくら」などを思い出して脱力系かな?
そうそう何度もおりんが「ふね屋に居座る5人の幽霊全部が見えるのは何故だろう?」と不思議がるのが命題のように繰り返される「謎」となっているが、そこのところが私には腑に落ちない。だって「死にかけて三途の川まで行って水を嘗めたからじゃないの?」って、そのたびに突っ込みながら・・・それとも他に何かあるの?って。それなのにぃ・・・
だからちょっとまどろっこしい感じが付き纏ったけれど、亡者さんたちとの会話がおかしくて一気に読んでしまった。
一気に読んではしまったものの、感想がなかなか書けない。いい気持ちで読み終えて優しい気持ちで居るのだからそれでいいのかも。
この伝で行けば三途の川で老人が言っていたように?亡者の見えない私は何の陰りも持っていないんだろうなぁ・・・つまんないなぁ・・・。
イエイエ、亡者さんを見ないですむのは実にありがたいこって・・・といいたいところですが、ここに出てくる亡者さんたちは怖いどころか・・・そりゃおどろ髪さんも興願寺の住職も怖かったけど・・・笑い坊さんが近くに居てくれると何かとなぁ・・・なんて。
だけど、あれ?これでいくと皆さん成仏してしまっても、おりんちゃんの能力は残っているわけで・・・それとも孫兵衛さんと一緒に能力も成仏しちゃったかな?いやいや残っているはずさ。病気上がりに商売困難で家の近くしかうろついていなかったから、家付き亡者しか見ていなかったろうけれど、今後は出歩くたびに?ってえことは、続編がある?期待!そうすればおつたおばさんみたいに一歩手前で踏みとどまれる人も出ようし、孫兵衛さんみたいな人をまた手助けすることも出来ようってことね?亡者さんたちは自分がさ迷うわけを殆ど忘れちゃっていて優しいのだもの。おみつさんにもお梅ちゃんにも泣かされちゃう。これこそハートウォーミング性善物語!
「あかんべえ」の続編もいいけれど、でもね、私はどうせならお初さんの方が待ち遠しいのだけどな。