浅倉卓弥著

この本を図書館に予約したのは今年の「このミステリーがすごい!」大賞の広告の横に第1回大賞受賞作として載っていたからです。
だからこの賞の作品を読むなら「第1回の受賞作から読むか?」という乗りだったのですが・・・もう4年ほど前の受賞です・・・のに?20数名待ちました。・・・ってことは着実に読まれている本なのかな?・・・って、思いました。
昨日友人と会って食事をしている時に「今、ミステリー大賞を取った『四日間の奇跡』っていう本を読み始めたのだけれど、半分近くまで行ったのにどこがミステリーなのか分からないのよ。」と言ったら、「それって吉岡君の映画の?」
「え、映画化したの?」「私見たよー、そんなに前じゃないのだけれど、余り覚えていないけれどピアニスト役で吉岡君が出たのじゃないかなぁ・・・」「それだ!ピアニストの話だもん。」
吉岡君の一応ファンなんですけれど、その映画の情報は全く私に無くて、「映画化されたんなら本当に話題だったんだ!」と私の時代遅れ?をちょっとばかり嘆きました。あたしゃ、ヤッパ、遅れてるんだね~。
彼女に会うまでに読んでいた前半部分は淡々と進んで、ドラマ的には天才ピアニストが指を失い、知的障害の娘を引き受けるに至った経緯とその娘の才能を見出して慰問と言う生きがい?らしいものを見出して生活している現況が静かに述べられていくだけなので・・・と言ってしまえば身も蓋も無いけれど・・・丁寧なカタリ部分が続いていて、私はこの小説面白くなるのかしら?と、危ぶみ始めていたところでした。
でも映画化されたと聞けば、やっぱりミステリー!が始まるのだ?と、ちょっとわくわくですよ。
それにここまでのところこのピアニストを吉岡君が演じたというのも不足はありません。影が薄く暗いでも優しい青年ですもの・・・ん、うってつけかも?です。
と言うわけで今朝旦那が11時まで起きてこなかったので、何もせずに朝の七時から読みふけって、読みきりました。
だけどここからは敬輔はすっかり吉岡君の顔になってしまっていました。「北の国から」の語りの乗りになっちゃったんです、参ったなぁ。ありがたいことに?他の役が誰だったかすっかり忘れてくれていてよかった!
そしてもっとありがたいことに後半は一気に読めました。
浅田次郎さんの「椿山課長の7日間」を思い出したし、少年と少女の体が入れ替わるTVドラマとか母と娘の体が入れ替わる映画とか・・・幾つも類似作品を思い浮かべては・・・しまいました!
しかしこの作品の「脳」に関する沢山の知識(彼が自分で調べたこと、白石医師との会話、藤本さんや倉野先生との会話などから)や音楽のかかわりや知識などが丁寧に挟まれていてそれが重厚な厚みを与えていたし、何より舞台になったセンターというかホームと言うかこの場所の設定のうまさが生き生きしていてこの作品を際立たせていました。ちょっと羨ましすぎるような善意ワールド!だけど。
「入れ代わり」の描写を読む時には確かに類似作品の描写を思い出さないわけではなかったけれど、この作品は真理子という人の饒舌さと千織の言葉の無いのとの対比が面白いトーンになっていて、真理子さんの饒舌さには同じおしゃべりの私でも参っちゃいました。降参って感じ?
人を傷つけない饒舌ってとても難しいのに。
多くしゃべると多く不仲・・・っていうのが私の戒めなんですがね?
最も敬輔君が殆どしゃべらないのだから、真理子さんが喋り捲らなければこの話は進みません?!
それに倉野先生の造形が美しくて読んでいて敬輔君ならずともこの先生に傾倒する気持ちを持てたこともこの作品への傾斜を加速させたと言えるかもしれません。
いいテーマが浮かび上がってきたなと言う嬉しさでしょうか。
死とか心とか魂とか脳とか不思議な物をいっぱい考えさせて、優しく生きる人をちりばめて・・・読後感が柔らかかったなぁという嬉しさも。
多分前半の作品の底流を形付ける部分がちょっと長く感じられたことは確かだが(後半は夢中で読めました、念の為)それもこの作品の最後の感動を呼び起こすには必要だったのかもしれないなぁと素直に思うことにしました。書くほうもかなりの気骨と我慢を要したに違いないし。丁寧さが凄いよ!
吉岡君が演じたと言う映画近いうちにTVででもしてくれないかな。もうDVD有るよって?
ミステリー大賞まだ新しい?賞だから、追いつける?