ダン・ブラウン著

ラングドン・シリーズ第三作目執筆中と書いてあるのを何かで読んで、それから彼の作品に「パズル・パレス」というのがあるのを見つけて、図書館で予約して待つこと暫し!ようやく到着しました。
「デセプション・ポイント」より待ち時間がずーっと長かったのですから、待っている間これが「ラングドン・シリーズ三作目なのかな?」と、楽しみにしていましたが、なんとこれが彼の処女作ですと!
全く作家の事を知ろうとしないで作品だけを漁っているとこういう頓珍漢!10年も前に発売された本だそうです。
ところがです、こと私に関してはこれはちっとも古くはなっていませんでした。
聞くところによるとかなり勉強していても「情報関連情報?」に関しては日々情報遅れになっていかざるを得ない!若い子には追いつかない!というのが昨今の実情という変化の激しさだそうですが。
早い話私はこのアメリカの情報戦略と暗号関連についてのお話部分ではただただ「へぇえぇ・・・?????!!!!!」の世界でした。
デセプション・ポイント」の方が読める部分がまだ多いくらいでした。しかもこの作品の方がかなり新しいというのにね。
アメリカのNSA内部とスペインの二部構成になっているとはいえ、殆どを占めるこの情報統制機関(でしょう、ほとんど?)の有り様には全く私は蚊帳の外?なんて生易しいものではありませんでした。
作中の彼らがPCに向かってやっている事の大半は私には「?」なんですから。言っちゃいますけど、「ガントレッド」って、私にとっちゃ「クリント・イーストウッド」と=ってだけですからね。
10年前に作家が手に入れられる情報に立脚した作品でさえこうなんですから、もし今度の作品が今の「コンピューターと情報とに関係した何か」だったらそれはもう完全お手上げの世界です。
「パズル・パレス」はただ、役職に応じて右往左往し、人間関係によって右往左往する人のドラマがこんんなハイテク?世界にもごく普通に生々しくあって、そのドラマと、縦糸になるスーザンとディヴィッドの心配しあうか細い糸によってのみ私の読書意欲をつなぎとめてくれた!という感じでしょうか。
どんな世界になってもそこに住む人間の本質が変わらなければ?「そう何とか読める!」でもミュータントばかりの世界になったら・・・!
それにしてもこのデビュー作?この作品からして彼は内部情報通好みだったんですね。知識に関する欲望の膨大さがこの人の作品の最大の特徴ですが、多分「ダ・ヴィンチ・コード」で一番大きな油田を掘り当てたのでしょうね。知識の種類においても読者層の幅広さにおいても。大向こう受けする素材のね。だから今後に期待します。
「パズル・パレス」を楽しめる層はやっぱり薄いんじゃないかな。
付いて行きたい気は勿論?あるんですよ。でもできたらもうちょっと普遍的な知識の掘り下げ方に期待したいです。
ただこれだけは書いておかないと・・・と思うのは、この物語の本当の後半部分ストラスモアが死んだ後からの畳み込み方がとてもスピードがあってわくわく気分を盛り上げてくれたということです。
急に面白くなりました。それとディヴィッド(スペイン)の部分!ここは楽しく読めました。サスペンススパイ物定番商品という感じでしたが。
ハラハラ感も、うーんという驚きも、程のいいロマンスも絶対手堅い何かを彼は持っていますから。
ラングドンなら文学的な、芸術的な、古典的な何かを読者に堪能させてくれるでしょうから。間違いない?
あと、日本人の名前の考察をもう少し真摯にしていただきたいものですよ。トクゲン・ヌマタカは古風とはいってもまだなんとか?エンセイ・タンカドって何?でも、この名前が出た時直ぐ日本人じゃないでしょうね、まさか?って思っちゃったのがちょっと悔しい?

さて、今年はこの本が最後の読書になりました。
正月は「指輪物語」を再々読して楽しもうかな・・・と、予定です。